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番外編 告白 4 Ver.奥山

「何がそんなにいやなんだ?たかがオモチャで。柳田とは使ってたんだろうが?」 今はステアリングを握りながら、家路についてる真っ最中だ。 夕飯はどうするか、と考えるけれど、どうも、話が違う方向に流れてしまった。けれど、あまりの嫌悪を示すその理由を聞き出したいのも事実だった。 「オレの学生時代の話を知ってるのに嫌なことを聞くね。学校でも散々、岩切に使われたし、児嶋に拉致られた時も使われた。その直前に徹にも使われてたのに…… オレにとって、それは逃げられない鎖みたいな代物なんだよ。そんなの突っ込まれてたら、走れないし、逃げることが出来ない恐怖感がある。嫌な思い出しかないのものを、好きになれるわけないだろ。」 それは、もっともな意見でもあった。ただ、相手次第だと思うが。 「そっか。でも、柳田や俺相手に逃げる必要はないだろ?たまに無自覚に、他の人間に色目を使うからな。そのお仕置き用にすることにしよう。今後は俺しか使わないし、俺以外の誰かにそんなことをさせもしない。程よくお仕置きした後は、美味しくいただくだけだ。」 「なんで、お仕置き確定の前提で、話が進んでんだよ?それに他人に色目なんて使ってない!!」 翔が前を向いたまま、反論してくる。 「逆に、経験させてやりたいくらいだよ。突っ込まれた方の立場を経験するべきだよ。ディルドみたいにゴツくはないから、軽く経験してみたら?試しに入れながらヤッてみる?」 静かだが、しっかりとした口調で恐ろしいことを言う。 「俺のそんな姿を見て、おまえ、楽しいか?」 この俺が、そんなものを突っ込まれて、悶えてる姿を想像しただけで、自分で吐き気がしてきそうだ。 「……楽しむ為じゃない。どんなものか、を知って欲しいだけ。徹も、何故か喜んでいたけど、そんなに嬉しいものなの?入れられてる方は辛くて仕方ないのに。」 「辛いのは無理強いされていたからだろ?プレイだと思えば、また、それも違ってくるだろう?それに、おまえは、半端なくエロさが増すんだよ。感じてる姿とか、悶えてる姿は、すげぇ、そそるんだよ。 クソッ、こんな話してたら、ヤリたくなっちまったじゃねぇか。」 中途半端だが、下半身が疼いて少しだが、形を変え始めていた。腕の中で、啼かせて、喘がせて、甘く抱きしめて、己が安心したいのだ。この男は、自分のモノなのだと。 「お風呂くらいは入らせてよね。」 返ってきた言葉が、あまりにもマヌケだったが、食事よりも、セックスを優先することはよくわかった。 「なんか、おまえ、冷静じゃね?」 「……そんなことない。エネマグラ入れながらのチャレンジが楽しみなだけ。自分だけが欲情してると思ったら大間違いだから。」 たぶん、翔も同じように下半身が疼いているのだろう。膝を合わせてもぞもぞしている。 「でも、今日は大きなオペがあったじゃないですか。疲れてるんだからゆっくりと休んだ方が良いとも思うんですけど?」 「疲れてるからこそするんだろうが。それを吹き飛ばすくらいの痴態を見せてくれるなら、スッキリして眠れるだろうよ。俺はバリタチだから入れるのはごめんだからな?」 『チッ』と舌打ちをされるが、そんなことはどうでもいい。 少しだけ、アクセルを踏む足が強くなった。

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