110 / 114

番外編 告白 6

「……やっべぇなぁ、コレ、モロに当たるもんなんだな。これがネコちゃんにとっては気持ちよくて仕方なくなるんだろ?なんか痛てぇ……」 バリタチの奥山からすれば、挿入される側の気持ちなど、さっぱりわからないだろう。普通の男性であればみんなそうであろうが、奥山にしても生粋のゲイで男を抱くことに悦びを得ている人間には、女の気持ちはわからなくても、男の躰についてはそれなりに理解しているだろう 「なに?気持ちいいの?じゃ、そのまま歩いてみようか?辛さがよくわかるよ?」 「それは遠慮しておく……まぁ、そりゃ……当たってる場所は良いけど、他は辛い。こんなん入れてセックスなんか痛くてできねぇよ。絶対ずっとケツが痛くなる。俺はない方がいい……」 それで啼かされてる身としては複雑な心境だ。誰だって最初は痛い。そんなことはわかっている。じゃ、あんたのぶっといのを入れられてるオレはなんなんだ? 「じゃ、それは慣れたら、にしてあげる。今日は抜いてあげるよ。楽しみが増えたね。」 残念だけれど、エネマグラを奥山の中から抜き出す。その排泄感に似た感触にも、ぞわっとしたのか、軽く息を吐き鳥肌を立てている。それを見てクスッと笑ってしまった。 「……なんか、おまえ、最近変わったな。」 「そう?オレだけを見て、愛して欲しいだけだよ?それに、抜く時、気持ち良さそうな顔してたけど、そんなに良かった?」 何ごともないように、エネマグラをティッシュに包んでサイドテーブルに置いた。いいわけあるか、と吐き捨てるように告げる。 「充分なほど見てるし、おまえにしか興味はない。だから、おまえも俺だけを見てればいい。」 四つん這いの状態から、体勢を入れ替えるように奥山の匂いの染み付いたベッドへ、押し倒される。 上目遣いに奥山を見上げながら、 「なに?もし、オレが他所(よそ)を向いたら、また浮気するの?自分に自信がないの?誰かさんを夢中にさせるような、ケダモノみたいなセックスするくせに。」 「あれは浮気じゃねぇよ。あの時のおまえはただの同居人だったじゃねぇか。あの頃、簡単におまえを抱けてたら、あんな遊びはしなかった。それに、柳田を除けば、他の男達よりよっぽど紳士的に奉仕してるつもりなんだがな。」 「そうだね。一人一人はそうじゃなくても、集団で来られるとケダモノみたいだったかも。ギャラリーがそれを見て抜いてるっていうのも異様な光景だったし。」 「嫌なことは思い出さなくていい。おまえは俺を咥えこんでれば良いんだよ。」 「言い方が下品。」 「俺は、おまえの過去を変えることは出来ないし、それは心の傷になっていると思う。でも、この先は自分の幸せを考えて、一緒に愛し合っていけばいい。」 「うん。そっちの言い回しの方が良いよ。その傷を敬吾が塗り替えていってくれるんだよね?」 「当たり前だ。俺はおまえを手放す気はないから、覚悟しておけ。」 「あんたもね。オレはしつこいよ?前回の時で、自覚したからね。」 「それが一番の敵だな。死んだ人間の思い出は美化されてくからな。」 「一度捨てられてるけどね。だからこそ、そのしつこさを自覚出来たわけだし。オレはさ、こんなでも、失う怖さは今でも抱えてるんだ。」 オレの抱える闇について、話す時期が来たのだと思った。

ともだちにシェアしよう!