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第2話

「ちゃうちゃう! もっとワキしめて」 「ちゃうちゃう! もっとワキしめて」 「もうちょっと口開けてみて、そうそう」 「背筋伸ばして!」 「もっと睨みきかせる感じで」  ……何をやっているのだろう。アヤは言われるまでもなく睨みのきいた形相になってきた。  リョウは三脚に自前のミラーレス一眼をセットし、位置や角度の微調整を行うと同時に、アヤへ怒涛のダメ出しが続く。 「顔! 油断してきてるで!」  すっかり無になっていたら、きっちり見抜かれてしまった。後で覚えてろよ、の一念で、撮影を切り抜けるアヤだった。ただ早く時間が経つのを祈るような気持ちで撮影を乗り切った。 「ふふふふ~。やっぱり似合うなあ。もともとこんな感じの顔立ちやもんなあ」 「こんな感じの顔立ちって」  出来上がった写真のデータを早速パソコンに移し、大きなモニターで眺めては悦に入っているリョウは、もちろん狼男のまま。そんなリョウを横目に、アヤは撮影が終わった安堵の一服。煙草にべっとりと口紅がついて、再び口をつけるのが不快だ。 「これはアヤがカッコいいけど俺が薄目なってもてるしなぁ……あ、この写真が一番二人ともいい感じやない?」  嬉々とした表情でアヤに向かって声をかけるが、言うまでもなくアヤは興味がない。 「なぁアヤって……」  少し拗ねた声色でリョウが言えば、冷めた視線が刺してくる。 「気が済んだら呼んで」  アヤは煙草を灰皿に入れ火をもみ消すと、そう言い残してベッドに潜り込んだ。

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