4 / 5

第4話

 取引条件通り、このままで事が開始するようだ。つけ耳ともふもふ手をつけたままのリョウはやはり可愛げしかなく、被虐心を擽られてしまう。つけ牙のついた歯であちこち噛んだり、黒くて長いつけ爪で引っ掻いてやると、いじめられワンコは切なげに啼いた。 「アヤ、痛い……優しく、して?」  身を縮めて逃げるように捩りながら、潤んだ瞳で懇願してくる姿は、はっきり言って逆効果だ。 「この牙も、爪も、どなたがおつけになったんでしょう」 「う……」 「触らないほうがよろしいですか?」 「……ううん、触って」 「どこを?」 「全部……俺の全部、アヤのんにして」 「おねだりが上手ですね」  アヤの目が極限まで細まった。  お望み通り、内から外から責め立てる。下半身だけ剥き出しにされたリョウに、必要部位だけ露出させたアヤが折り重なる。  リョウの目じりに雫が溜まる。もともと赤をあしらったメイクをしているからわからないが、きっとメイクの下も赤く上気しているのだろう。今にも泣き出しそうな表情は、辛そうでもあり、愉悦のそれであるようにも見える。  ぎっちりと埋め込まれた質量を感じ、リョウの全身が幸福感で満たされる。長い間会えていなかったこれまでのことを思い、そして今こうしてひとつになれている悦びを噛み締めると、涙がこぼれそうになる。 「痛むの?」  せっかく珍しく気遣ってみたアヤだったが、 「あ、ううん……気持ちいい」  そう答えるリョウの蕩けるような笑顔があまりにも愛おしすぎて、結局いつものように制御が効かなくなってしまうのだった。 「あっ、めっちゃ奥、それヤバい」 「いつもここ突くとヤバい、って言う」 「だって、ここ、うう」 「苦しい?」 「苦しい、けど、気持ちい……っ」 「そんなに締めたら動けない」 「動かんといて、待って、あ――」  瞬間、頭が真っ白になった事だけは覚えている。冷たくて優しい手が、頬を撫でたのも。  ぼんやりとしていた意識が急にはっきりしたのは、強い刺激が襲ったから。 「えっ! ちょ、今いったとこ」 「俺はまだだよ」 「知ってるわ……あかんて、ちょっとだけ待っ」

ともだちにシェアしよう!