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第5話

あれから4日過ぎた。 体の感覚が、変だ。ずっと快感を与えられているような、どこもかしこもビリビリと痺れる。 体がおかしくなるといけないと、正樹は晴人の拘束を時折解くが、それ以外では基本的にあのままだ。 気を使うところが違うだろ。 「ねぇ、謝らないと、ご飯あげないよ?」 今日は晴人の目の前まで椅子を引いて来て、そこに座って頬杖をついた正樹が不満気に話しかけていた。 そう言えば、ここに来て1度も食事をしていない。水も飲んだか?意識がない時に何か入った気がしたから、水は飲まされたのか?人って寝ながら飲めるのか? 晴人は相変わらず、今のない言葉しか出せなかった。 「このままだと、点滴で栄養取る事になるよー。後、管とか入れて無理矢理。」 目を開けるのも怠いし、正樹の顔なんて見たくもない。 暗闇の先から、正樹のため息が聞こえた。 「流石に俺じゃそれ出来ないから医者呼ぶけど。あーあ、医者にこんな可愛い格好の晴人見せたくないなー。」 まさか、本当にこのままなのか…。 でも、何故、謝らなければならないのか。理解できない。 「とりあえず死なない様に出来るかな?先生と相談だな。こういう時の為に、押さえてる医者いるんだよー。」 正樹が本当にそうしそうで、正直ちょっと怖い。 怖いけど…、屈したくない。屈したら、また繰り返しだ。 「そしたら愛し合えないけと、晴人をずーっとこの部屋のオブジェに出来るな…あれ、それも悪くないかもな。」 ふむ。 そんな声が聞こえそうな呑気な声色にまた腹が立つ。 負けたくない。負けたくない。 でも、頭、気持ち良すぎて、止まらな過ぎて、死にそう…。 「晴人がオブジェなら、結花ちゃんにこの状態の晴人の写真撮ってもらおっか?」 あ? 思わず、目を開けてしまった。 「あー、やっぱこれが効くの?自分で言って少しムッとするな。…まぁ、それも追々ぶっ潰すから良いけど。」 不穏な言葉を残し、正樹は懐からスマホを取り出した。 「もしもし、はな写真スタジオですか?」 え 「あの、出張でお願いしたいのですけど、」 「ぅ、」 はな写真スタジオ。結花が勤める写真スタジオだ。 「はい。そうです。あと、カメラマンの指定があって」  「あっ、…っ、あ、まっ、き…!」 ガチャガチャと暴れると、正樹は唇に指を当て『シー』っと言う。口の端が上がっている。 「…め…さ、い…!ま、さき…、ご、め…ん!」 久しぶりに今ある言葉を話そうとすると、喉が乾いて言葉がもつれる。 鎖がガチャガチャ鳴る音に声が負けてしまう。焦燥感が募る。 「もー、煩いな。すみません、ちょっと待ってもらっていいですか?」 「あっ、…ゲホっ、…っ」 鎖の音が煩かったらしい。正樹が電話先に待つ様に伝えて、スマホから耳を離した。 「なに?晴人。」 「…」 焦っていて気づかなかったが、いつの間にか玩具が止まっている。晴人が何も言わないと、あたりは静かだった。 勝ち負けがあるかはもう分からないが、正樹は明らかに勝ったという顔をしていて、ムッとしてしまう。 「…あれ?何もないの?じゃ、」 晴人が何も言わないでいると、正樹は不服そうに片眉を上げ、再びスマホを耳に当てようとする。 「ま、まっで!」 「何?」 「…ごめ…さ…い。」 「聞こえない。」 聞こえているくせに。晴人は奥歯を噛み締め、感情を押し殺した。 正樹の、余裕そうな笑顔に腹が立つ。 「出てって、ごめん…なさい。もう勝手に、消えません。」 「本当?」 「…は、反省してます。」 「ふふ、そうなの。」 反射で正樹を睨みそうになるがぐっと堪えて、コクリと頷いた。動きに合わせて首元の鎖がチャリッと鳴るのが嫌だった。 「だから、こっち、来て…。解いて。ス、スマホは…置いて…ください…。」 早く右手のスマホを置けよ! バクバクと心臓がなる。正樹を見つめるのが最善だとは分かっているが、つい正樹の持つスマホを凝視してしまう。 まだ、通話中なんだよな? 「えー、そんなに俺としたい?」 したくねーよ! 「し、したい…したい、からっ!」 「ふふふ、かぁーい!」 ピッ 正樹がスマホを切り、椅子から腰を上げた。ペリペリと勿体ぶって玩具を外し、その後は晴人の両手の鎖が繋がれたフックをカチャカチャと解く。 正樹にキスをされて、恭しくベットに寝かされた。 逃げたいが体が痺れて動かない。 「ふっ、ぁ…っ!」 ちょっとは何かしら準備するのかと思いきや、正樹は無防備に仰向けの晴人に急に挿れきた。 衝撃に思わずのけぞってしまい、それを見た正樹が満足気に笑う。 「いっ、…うっ、うぁ…ん、んん!」 晴人の体を知り尽くした正樹は玩具と違う。適切に攻めたてられ、また口から喘ぎ声が漏れてしまう。 「晴人、『正樹のこと好きー』って、言って。」 「…っ、あ゛っ、んっ…っ」 「はーやーくー。」 罰とでも言う様に、弱いところをグリグリとつかれる。 「あっ、やめっ、」 「言って」 「…っんんっ、ま、正樹のこと、好きっ…っ、ん…!」 「うん。」 「す、好きっ、ま、…っさき…!ん、ぐっ」 「ふふ、もっかい。」 「ふっ、ぅ、う゛ぅ…、まさっ、きっ、すき…っ!」 正樹は幸せそうに笑って何度も何度もそのセリフを晴人に言わせる。 ガクガクと揺れて、もうきっと何も出てない。しかし正樹に止める気配はない。 「んっ。はぁー嬉しいなぁ〜。」 チラリと見えた正樹の顔は、悦に入り恍惚としていた。猟奇的な笑顔だ。ゾッとする。 「…っ!ふぅ…。ほら、晴人、止めないで。もう一回。」 「ぁ゛っ、ぁあ゛っっ‼︎すっ、好きぃ…っ!んっ、ごめっ、…っ!」 永遠とも思える時間の中、止めると何度も攻められる。 晴人は涙を流して譫言を繰り返した。 好き、すきすきすき…。正樹、好き。好き。好き好き好き好き…す、好き? 酷い快感と、意味が分からない言葉。 頭が変になりそうだ。 「ははははははっ‼︎ご褒美。刺青、また入れてあげるね。」 正樹の満足気な声が耳障りだ。

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