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第3話

『んん、起きない、ねむい、』 と、朝シバを起こすと 駄々を捏ねて中々起きなかった 寝起きにここまでぐずることは少ないと思いつつ久しぶりにおねしょでもしたかとベッドを確認したけど濡れてなくて 単純に寝不足なのかもしれない 最近忙しいしな……シバの休みも1週間以上取れない日もある いや、いい人材が居たらもちろん雇いたいんだけどなかなかいい人材がいない 「シバ、今日後から来るか?俺先行ってるからもうちょい寝ててもいいぞ」 『んん、や、置いてかないで、』 と、ぐずぐずと眠そうに唸る 「じゃあ起きな」 『んんん、ー、』 と、シバは唸りながら またすぐに寝てしまった 朝飯は車でゼリー飲料でも食わせればいいし ネクタイは会社に着いてから巻いてやろうと、 俺は自分の準備をする そして家を出る15分前 あれ、まだシバ起きてねえのかと気付き 「シバそろそろ顔洗って着替えな」 と、もう一度シバを起こすと 観念したのかシバはもぞもぞと起き出して 顔を洗ったり準備をし始めた 俺もシバが車で色々できるように準備しておこうと ゼリー飲料やヘアスタイリング剤や鏡などを準備して 「シバー、そろそろ行くけど大丈夫?」 『ねくたいぃ、』 「ネクタイ持った」 『んん、髪もやってない、』 「スタイリング剤も持った」 と、伝えると シバはとりあえずワイシャツをきてさっさと着いてくる 「忘れ物ないか?」 『あれもった、パソコンもってるからとりあえず大丈夫』 と、ちょっとバタついてギリギリになってしまったが どうにか家を出て 車に乗るとシバはバックミラーやら俺が入れた手鏡を覗きつつ髪をセットし始める 5分くらいでセットを終わらせたから 「朝飯、ゼリー飲料だけどそこ入れてるから食っとけよ」 『うん、』 と、シバはゼリー飲料をパキ、と開けるが 『……あ、』 「なに?どうした?」 『……おしっこ、』 「は?なに、行ってこなかったの?」 『…時間なかったんだもん』 「トイレ行く時間くらいあったろ」 『でちゃう、』 「出ちゃうじゃないだろ、どうすんの。会社まで我慢できない?」 『できない、でちゃう、』 「ええ、じゃあどっか寄るからちょい我慢して」 『んん、おしっこ、』 「ぐずんないでシバ。お前がしてこなかったのが悪いんだろ」 『急いでたら忘れちゃったんだもん、』 「早く起きねえからだよ」 『だって、……、もれちゃう、』 「シバ、ちょい待って、あー、ほら、コンビニあったから」 と、伝えると シバは中心を抑える脚をバタバタしながら耐える 『んん、もうでちゃう、』 「もうちょいだから」 と、駐車すると シバは急いで降りて 俺も付いて降りて トイレ借ります、と店員に伝えて シバは急いでトイレに駆け込む 俺は適当に食いもんとか買って先に出ると ちょっとしてからシバが戻ってきて 「間に合った?」 『ちょっと、でちゃった』 「ええ、でちゃったの?濡れた?」 『パンツちょっと濡れた、』 「我慢できなかったかー、会社ついたらパンツ替えような」 『んん、パンツぬれてきもちわるい、』 「どれくらい濡れた?」 『おしりまでは濡れてない』 「うわ、結構出ちゃったやつ?」 見せて、と片手でシバのベルトを外して 前を開こうとするが 既にじっとりしてる 「パンツだけじゃねえじゃん」 『だって、染みてきた』 「タオルで拭いときな」 シバは後ろからタオルを取ろうとしたが 途中でやめて前を向いて 遠くを見る 「どうした?」 『なんか気持ち悪くなってきた』 「え、なにが?」 『酔った、』 「ええ、もう会社着くけど、我慢できるか?」 と、シバは口元を抑えながら頷く 結構やばいやつじゃん 車を止めると シバはすぐに車から降りたけど 気持ち悪くて動けないようでその場に座り込む 「気持ち悪い?大丈夫?」 『んん、ぐらぐらしてる、頭が、』 よしよし、と背中を撫でる 『…だっこして、』 「だからもう無理だって、運べねえ」 『………、』 シバは悔しそうに下から睨んでくるから よしよしと頭を撫でてやる 「…そんな顔すんなよ、気持ち悪いの治るまで一緒にここいるから」 『……ちょっとマシになってきた。きょうへいの部屋で少し休んでもいい?』 「あぁ、パンツも替えるから結局俺の部屋行かなきゃだしな、」 『……そうだけど』 と、シバは立ち上がって少しだけきょろきょろと辺りを見回す 「どうかしたか?」 『なぁ』 「なに?」 『怒んないで欲しいんだけど、』 「……なに、どうした」 なんかやらかしたか またおしっことか漏れそうか、と少し身構えるが 『おれ、ジャケット忘れてきた』 「…なんだ、そんな事かよ」 『…そんな事じゃない、』 「今日ジャケット無しだな…って取引先行くんだっけ?」 『うん、』 「シバの着替え持ってねえしなぁ…下も結局濡らしちゃってるし」 『…んんん、だって、』 「いいよ、取引先俺かヤナギが行くから。お前は適当な服着て他の仕事しな。取引先って別に今日はシバじゃなくて大丈夫なやつでしょ?」 『うん、今日は新商品のサンプル渡すだけ』 「じゃあそうしよ」 こいつ今日調子悪そうだからあんまり他の所行かせたくないしな 「大丈夫か?気持ち悪いの治った?」 『ちょっとだけマシになった、』 「よし、じゃあ俺の部屋行こうな」 『……部屋で、座って抱っこならしてくれる?』 「そうだなー、座ってならできるからちょっとしようか」 『うん、』 と、シバは俺の袖を持って立ち上がってついてくる やっぱり疲れ溜まってんのかな、 ちょっと本気で面接増やして早く新しく入る人決めなきゃなー

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