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第4話

「朝飯食いな。ゼリーとさっきコンビニ行った時に適当に買ったやつとかもあるから」 『……いらない、』 と、着替えさせ 抱っこして背中を撫でながら言うが シバはまだ食欲が無いのかふるふると首を振る 「まだ気持ち悪いか?」 『……んん、そうでも無いけど、少しでいい、』 と、シバはゼリー飲料を少しだけ飲んで渡してくる 「もう要らねえの?」 『うん、いらない。仕事行ってくる』 と、伸びをして 仕事に向かう事にしたらしい 「シバ、辛かったら早上がりしてもいいぞ、今日」 『平気、あした休みだし』 「まぁ、辛くなったらおいで。あとヤナギもう来てたら呼んどいて」 『はーい』 と、シバを送り出して 濡らしたパンツとスーツを片付けようと手をかける 結構ぐっしょりになってんな、パンツ やっぱりそろそろ時期的におもらしパンツ履いて欲しいんだけどなあ 後で洗いに行こうと考えていると ドアがノックされヤナギが入ってくる 「社長、呼びました?」 「あー、呼んだ。今日さ、シバが取引先に新商品届けに行く予定だったんだけどヤナギ代わりに行けねえか?」 「いいですけど、シバくん今日私服でしたね」 「あー、ちょっとな。さすがに私服で取引先行かせらんねえからさ。悪いな」 「別に誰が行っても大丈夫だしいいですよ。久しぶりに汚しちゃったんですね、スーツ」 と、俺の手にあるシバが濡らしたものにヤナギの視線が刺さっていることに気がつく 「いや、単純にジャケット忘れちゃっただけ……これは、まぁ、ちょっとな」 「寝坊ですか?シバくん朝飯食ってないのかお腹ぎゅるぎゅる鳴らしてましたけど」 「ええ、食いもん渡したのに」 「時間ある時に食うように言っときますね」 「頼んだ。あと午後の面接、一緒にお前もするだろ?」 「あー、それ、本気で必要ですか?面接」 「え?なんで?」 「社長見てないんすか、履歴書」 「見てねえ」 「朔夜くん、…いや、あきらくんですよ、面接来るの」 「えええ、」 ◇◆ 「しゃっちょー!ひさしぶり!柳瀬さーん!会いたかったっす!」 「……いや、面接受けるテンションじゃねえな?」 「え?オレ普通に合格だと思ってきてるんですけど」 「いや、迷うけど」 「なんで!オレイケメンじゃん!」 「いやいやいやいや、だってあきらくんキャストじゃなくて社員だぞ?」 「知ってるよー」 「社員に別に顔の良さは必要ないかなー、俺だって別にフツメンだし…」 「いや、柳瀬さんかっけえっす。癒し系っていうか」 「だから社員に見た目関係ねえから」 「いや、でもそれ関係なくオレ採用しない理由無くないっすか?いおりんとも仲良いし」 「……お前シバいじめんじゃん」 「もういじめて無いって!それに社長が私情挟むのはどうかなー」 「うっせええ、」 面接というかほぼ売り込みというか売り付けの時間を得てあきらくんを採用する事に決めた 「よっしゃあ、いおりんに会って帰ろー」 「いじめんなよー」 と、あきらくんを送り出してため息を吐いた 「まぁ、あきらくんならある程度慣れてるしいいと思いますよ」 「ヤナギ、あきらくんの管理任せるなー。めんどくさかったら瀧に振ってもいいけど」 「責任持ちますよ…、その代わり、と言ってはなんですが、」 「うん、なに?給料上げる?」 「じゃなくて。そろそろシバくんの管理、社長したらどうですか?」 「いや、俺シバの事甘やかすし」 と、私情挟むのなんて分かりきっていたから 今までずっとヤナギに教育係を任せていた 「いや、そろそろ俺のポジション、シバくんに半分くらい、せめて1/3くらいあげたいなーって。シバくんもしっかりしてきてるし、だいたい俺がそろそろキャパオーバーっす。その上あきらくんの管理まで…」 「給料あげてもダメか?」 「社長、たまにそういう社長っぽい金で解決しようとするの悪い癖ですよ」 「いやー、俺シバに厳しくできねえもん」 「別に俺にも厳しくないっすよ、だからシバくん相手にも俺相手みたいにすれば」 いや、そういうもんか? シバ相手だと俺なんでもやってやりたくなるからなあ…… 「だってシバだぜ?」 「いや、シバくん家ではどうか知りませんけど仕事ちゃんとできますから!」 「……シバ甘やかさねえ自信ねえ…」 「……これを機に聞いていいですか?」 「何を?」 「社長とシバくんって…どういう関係なんですか?」 「………わかったよ、シバの管理は俺がするから。ヤナギはこれからあきらくんの管理よろしくな。できるだけ早く使えるようにして欲しい」 「…わかりました、任せてください」 と、これからはヤナギがあきらくん 俺がシバを管理する事に決定して ヤナギが社長室を出ていった それと入れ違いでシバが入ってくる 「おお、シバ、どうした?」 『なんかあきらくん来たんだけど』 と、なんだかぷんぷんと怒っている様子で 言ったシバ 「あー、そうだな。なんかされた?」 『……ほっぺた抓られた。あと私服だったからおもらししたって言われてバカにされた』 「違ぇのになー、おいで」 と、ソファに座ってシバを落ち着かせようと 抱っこしてやって背中を撫でてやる 「シバー、あきらくん雇うことにしたから」 『……なんで、』 「シバの仕事が少しでも楽になるように」 『………、』 「それになんだかんだ仲良いじゃねえか、あきらくんと」 『……そうだけど…………、なぁ、匡平、』 「なに?」 『あきらくんのこと、あきらくんって、呼ばないで。俺の事は苗字なのに』 いや、シバは苗字っていうより愛称っていうか 「お前のことだって名前で呼ぶだろ?祈織って」 『……えっちな時だけじゃん、』 「……わかったよ、新月だろあきらくん」 『……うん、』 「じゃあ、そう呼ぶから、新月って」 と、その時 ぎゅるぎゅる、とシバの腹がなる 「なぁ、腹減ってんの?」 『……べつに、』 「すげえ腹なってるけど」 『……昼、食ってないから』 「じゃあ食いに行こ。大事な話もあるし」 『大事な話?』 「仕事のこと」 『………悪いこと?』 「悪くねえよ。何食いたい?」 『………スープ』 「そんなんでいいの?」 『うん、食いいこ』 と、シバの背中をぽんぽんと叩くとシバは うん、と頷いて立ち上がった 「シバ、機嫌治った?」 『……治ってねえし。そもそも悪くなってねえもん』 と、ぷんぷんと言ったシバ 腹減ってイライラしてんのかな? 私服だと子供みてえだな、本当に

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