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第8話

夜中におねしょをしてしまい 泣いていたシバは 抱っこをして背中を撫でているうちに 眠ってしまって ただその後眠りが浅かったようで まだ起きずに眠っていた 一応おねしょしてないかパンツの中を確かめたが濡れていなくてとりあえず安心する 昨日おもらししてしまったから夜もおねしょをしたのだけかもしれない 単純に寒くなってきたからか それとも寝る前のココアがダメだったのか まぁしてしまった物は仕方ない 起きたら忘れていたらいいが しかし、10時過ぎ頃だろうか 『きょうへい、!』 と、寝室の方から声が聞こえて シバが目を覚ましたか、とそちらに向かう 「シバおはよう、どうした?」 『起きたら匡平いなかったから、』 「先起きてただけだよ、シバももう起きるか?」 『うん、起きる』 と、シバはベッドから降りたところで身体を震わせた 『おしっこ、』 「我慢できるか?」 『うん』 と、急いでトイレに向かったシバ 間に合うだろうか 間に合わなかったらまた泣くかもしれない、と 少し不安になりながらも リビングで待っていると 『間に合った、』 と、安心したように戻ってきたシバ 昨日から失敗続きでシバも少し心配だったんだろう その顔を見て俺もとりあえず一安心だ 『なぁ、』 「どうした?朝飯…って言ってもちょい遅いけど食う?」 『うん、食べる』 「何食いたい?」 『スープとか、温かいの』 「なんかシバ昨日から液体しか食ってなくね?」 『……そんなこと、ない、』 と、目をそらすが 昨日の朝はゼリー飲料 昼はスープに夜は野菜たっぷり入れたうどん 「ちゃんと食わないと元気出ないぞ」 『元気だもん』 「そうか?」 『きょうへい、』 「なに?」 『お休みにした?』 「そうだよ、休みにした」 『じゃあ車検も一緒にいく?』 「一緒に行くの?別にいいけど。車検行って飯も食って帰ろうか」 『うん、』 「あと健康診断、次の休みでいい?」 『うん、別にいいけど』 「じゃあ予約しとくなー」 忘れないように早めに休み決めて予約しなきゃな、と思いながらシバの分の朝飯を用意していると シバは俺の後ろを付いてウロウロする 「どうした?シバ」 抱っこか、と聞こうとしたが 『…べつに、』 「なに?甘えたいの?」 『ち、がうもん、』 と、言いながらもシバは リビングのソファに座って 俺を待っている間に指をしゃぶり始めてしまった あー、久しぶりに癖が出てる 寂しい時や疲れてる時 それこそ甘えたい時にもシバは昔からおしゃぶりをする癖がある おもらしが減ってきたのと同じペースで減っていたのに 昨日から失敗続きで少し不安定になっているのかもしれない ちゅぱ、と小さく音を立てながら 指をしゃぶるシバ 「シバ、指噛んだらダメだからな。痛くなるぞ」 『…噛んでないもん、』 昔シバに与えた大人用のおしゃぶりは シバが噛むから壊れてそれ以来買ってない でも、結局おしゃぶりを与え無くても癖になっている指しゃぶりで噛んで痛くするならもう一度あの赤ちゃんみたいなおしゃぶり買ってもいいかもしれないな 「シバ、指しゃぶりやめようぜ」 『や、』 「やじゃねえの、指痛くなっちゃうからダメだって」 『やだ、』 「シバ、お前おしゃぶりも卒業しただろ。指しゃぶりすんならまた赤ちゃんみたいなおしゃぶり買ってくるからお前それ使えよ」 『や、赤ちゃんじゃねえもん、』 「赤ちゃんじゃねえなら指しゃぶりもしない」 『や』 「シバ、噛むから指ダメだって」 『だって、………』 「シバ、飯食おうな。お腹空いてっから指しゃぶんだよ」 ほら、できた と、食卓に かき玉の味噌汁と ご飯やウィンナー サラダ等も並べる 食うかわかんねえけど 特にこの時期寒いからって生野菜食わねえからなー まぁ味噌汁に多少だが野菜も入れてるし 『玉子はいってるー』 「お前玉子好きだろ」 『うん』 「ご飯も食えよ」 『……食わない、』 「なんで?お前昨日から食欲ねえな。なに?体調悪いの?」 おもらしもするし 『わるくない』 「じゃあなんで食欲ねえの?」 って食欲ねえわりには腹ギュルギュル鳴らすけど 『食わないだけ』 「なんで食いたくねえの?」 『……』 「シバの為に俺作ったんだけどなあー」 『……だって、………くうよ、全部』 「まぁ、調子悪いなら無理して食わなくてもいいからな、食えるだけ食え」 『うん』 と、シバは箸を持って味噌汁から食い始めた 食うかな、と思っていたが ウィンナーやらもちゃんと食い始めてとりあえず安心する 「シバ、食えんじゃん」 『食えるもん』 と、シバは結局全部食って 満足、とばかりにソファに移動して座る 『たくさん食わされた』 「いいだろ、おまえも、結局腹減ってたんだから」 『……匡平が作るの好きだから、いっつも食いすぎちゃってやなんだもん』 「なんで?」 『なんでも』 ふん、と何故か不機嫌に言って ソファのクッションを抱えて寝そべった 指しゃぶりもとりあえず収まったか やっぱり腹減ってたんだな 「シバ、抱っこは?」 『……いまは、いい』 と、クッションに顔を埋めた ええ、抱っこ拒否されんの結構ショックなんだけどな シバなんか元気ねえんだよなあ

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