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第17話

うまあ、と、フレンチトーストをうまそうに食ってて シバはおれの真似をして先に会計を済ませて また俺が立ち上がるのやら手伝ってくれた 『こしいたい?』 「うーん、まぁな」 『お昼の時も迎えにくるからな。途中で痛くて帰りたくなったら言ってよ』 「うん、わかった。シバありがとな」 『うん。あ、あと、ちょい待ってて』 と、どこかに行ってしまったシバ そして 『これつかいなよ』 と、エントランスからクッションを持ってきて俺の背もたれに置いてくれる 「持ってきてくれたのか?」 『うん。匡平腰痛いから』 「シバすげえ優しいじゃん」 『かいぬしだからな』 と、なんだか誇らしげに言うシバがかわいくて頭を撫でる 『今日はおれがずっと一緒にいてやるから』 「うん」 と、頭を撫でさりげなくネクタイを直してやる 『あ、でも、おれ今日お昼のあと送迎入ってるから匡平1人にするけど平気?』 「あぁ、平気だよ。心配してくれてありがとな」 ◆◇ 午後になる頃には だいぶ腰の痛みがマシになってきていて ゆっくり動く分には問題なくなっていた 「社長だいぶ動けてますね」 「まぁ1日安静にしてたからな」 「仕事来てる時点で安静じゃないですけどね」 「座ってるだけだし」 「ずっと座ってんのも腰に負担かかりますし」 「まぁ適度に動いてるし」 「本当に働きマンっすよね。こんな時ぐらい休めばいいのに」 「シバが心配すんだろ」 「…つか一体何やったんすか、ぎっくりって」 「…いやべつに。重いもん持っただけ。歳かもなー」 「いやいや、社長見た目より若いじゃないっすか」 「…いやー。うん。ほら、ヤナギもう休憩入ってもいいぞ。シバそろそろ帰ってくるし」 「お、いいんすか。じゃあお言葉に甘えて」 と、ヤナギは足早に社長室から出ていく 早く休憩に入りたかったのか そういや家のペットカメラ、新調したって言ってたから早くアサリを見たいのかもなー そしてしばらくして シバは少し心配そうにしながらも送迎から 帰ってきたら真っ先に様子を見に来た 『匡平へいき?腰痛いのどう?』 「もうだいたい治った。普通にしてる分には問題ねえよ」 『本当?無理してない?』 「無理してねえよ。あ、でも抱っこは明日まで待ってな」 『今日はおれがかいぬしだから抱っこしねえもん』 と、いうシバは 飼い主と言う割には尻尾を振っている幻覚まで見えるほどワンコだ 『なぁ、なんかして欲しい事ある?おしっこいく?連れてこうか?』 「いや、さっき行ったから平気。つかもう歩けるし」 『コーヒーいれる?それとも書類の、瀧さんにできてるか聞いてこようか?』 「あー、じゃあ瀧に聞いてきてもらおうかな。その前にシバ今戻ったばっかりだろ。ちょっと休めば?」 『平気、先に瀧さんのところいってくる』 「おー、ありがとなー。瀧のとこから戻ったら少しだけ休憩しようか」 『うん』 行ってくる、と社長室から出ていこうとするシバがジャケットを脱ぎハンガーにかけようとした時に少し腰を揺すった 「シバ」 と、引き留めようとするが パタパタと出ていってしまったシバ 帰ってきたらトイレか聞いてみよう、と考え せっかくだから今日はシバに色々頼んでみるか、と 回る椅子に座って待っていたが 『きょうへい、』 と、なんだかしょぼんとしたシバが入ってくる 「どうした?」 『おしっこ、もれた、』 「え、うそ。どこで漏れた?わ、本当だ。スーツ濡れたな」 『……エレベーターの、前できゅうに漏れちゃった』 「あー、おしっこ忘れてたか?ほら、着替えよ」 『……んんん、もう、いやになった、』 と、しゃがみこむ 『…ぐすっ、んん、もう、やだ、』 あー、落ち込んじゃった 今日は朝にほぼ寝たままおもらししたが 気合い入れて頑張っていたのに 気持ちが切れてしまったのか しかも今日は普通のパンツ履いていたようで 全部びしゃびしゃになっていた 「シーバ、お着替えしよ。冷たくなるだろ」 『や、もうやだ、』 「シーバ」 よっこいしょ、と椅子から立ち上がり シバのところまで歩いて腕を引いて立たせる 『…や、』 「シバ俺の事色々してくれてたからおしっこ忘れちゃっただけだから」 『…おれ、かいぬししてたのに、』 とりあえずタオル、と棚からタオルを出すにもいつもより遅い動きになってしまって情けない タオルを出して とりあえず脱がせようとシバのベルトに手をかけるが 『や、自分でできる』 と、首を振る 「じゃあまず、手だけ拭こうか」 と、中心を抑えていたであろう 濡れている手をタオルで包んで拭いてやる 『匡平腰痛いからやだ、』 「じゃあ俺椅子座ってやるから」 と、回る椅子を転がしてきて そこに座ってシバのベルトに手をかけると シバは観念したのか 自分でスーツを下ろす 『おしっこ、もらした、』 と、鼻をぐすりと鳴らす 「でちゃったな」 後で清掃にも連絡しなきゃなー エレベーターの前やらここまでの廊下も濡れてるだろうし 「パンツ、脱ごうか」 と、下着に手をかける 「シバ、俺まだしゃがむと腰痛いから足あげられるか?」 と、聞くとうなずいて 片脚ずつあげるから 脚からパンツとスーツをまとめて抜いて とりあえず水分先に拭き取ろうと 乾いたタオルで足から拭いていくが もじ、と少し脚が動くのがわかる 「もう全部でた?」 『…わかんない、』 「じゃあ押さえててやるからおしっこ出してみな」 と、先っぽのところにタオルを当てると ちょろちょろ、と少しおしっこを出す やっぱり残ってたか 『わっ、で、た、』 「よし、すっきりしたな」 温かいタオルで拭いてやろうと ウォーターサーバーで新しいタオルを濡らして 1度拭いた下半身をもう1度拭いていく 「シバ、お尻拭きにくいから後ろ向いて」 『や、』 「やじゃないよ、ほら、俺動けねえもん」 『お尻、見られるの恥ずかしいから、』 「ちんちんは恥ずかしくねえの?」 『…恥ずかしいけど、』 「じゃあ後ろ向いて。ちんちんはもうキレイになったから」 『んん、なさけない、』 と、シバは後ろを向くから おしりの割れ目の所も温かいタオルで拭いてやる いつも会社でおもらししたら 片付けてもぐすぐす泣いて落ち込むから 抱っこで落ち着かせる事が多いが今日もだいぶ落ち込んでしまっている 今日は抱っこできねえんだけどなあ 「シバ、俺腰痛くてシバがすげえいろいろやってくれるから情けねえなあってずっと思ってたんだぞ」 『匡平は、情けなくない、』 「でも何するにもゆっくりしか動けねえしシバの事抱っこできねえし情けねえだろ?」 『そんな事ないもん、』 「そうか?シバ俺の事励ましてくれて優しいじゃん」 『それは、本当の事だから』 「シバも、俺がシバに色々やってもらったからトイレは忘れちゃっただけだよ、情けなくねえよ」 『…なさけなくない?』 「うん、情けなくねえ」 替えの下着とスーツを棚から出し シバが泣き止んでいる事を確認して お気に入りのパンツを履かせてやる 「シバ、お着替えしたらもう1回瀧のところ行けるか?」 『うん、行ける』 「そしたらまたお願いしますしようかな。シバ偉いなー、前はおもらししたら泣いちゃってたのに」 『おれ、大人だし…かいぬしだから』 「ありがとなー。じゃあ瀧のところ行って戻ってきたら少し休憩しような」 『うん、行ってくる』 と、シバは再び元気よく社長室から出ていった どうにか飼い主モード続行できたな 腰が完全に治ったらめちゃくちゃ甘やかしてやろ

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