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第33話

『っんんっ、やぅ、っはぁっぁ』 と、シバがうなされている声で目を覚ます 「シバ?どうした?」 起きな、とシバを揺すって起こすと ゆっくりと目が開いて 俺のことを捉えて大きく息を吐く 『っはぁ、ゆめ、っ』 「どうした、怖い夢みた?」 『追いかけられた、きょじん、』 あぁ、映画見たやつ、と どうやら映画の夢を見て追いかけられてうなされていたらしい 「大丈夫か?」 よしよし、と頭を撫でて 汗ばんでいたから拭いてやると ぎゅっと抱きついてきた 「怖かったか?」 『夢だから、平気』 平気と言う割にはまだ動揺しているようで よしよし、と背中を撫でてやる おしっこしてないかな、と背中側から下着のゴムを引いて中に手を突っ込むと 汗とは言い難いほど濡れていて 『おしっこ、出てるから触らないで』 と、本人にも自覚があったようで じっとりと湿ったおねしょパンツから手を追い出される 「シバ、替えようか」 と、ベッドにバスタオルを敷いて シバを寝させてパンツを脱がせた所で気付く 「シバ、新しいパンツ履く前におしっこ行っておこうか」 『や、おしっこない』 「あるかもしれねえじゃん。そんなに沢山出てないし」 『や。ない』 夜中トイレ行きたがんないんだよなぁ、シバ タオルをぬるま湯で濡らして拭いてやっていると 『喉乾いた』 と、ポツリと呟くシバ 「ちょっとだけ飲むか?」 『うん』 「じゃあその前におしっこ行っといで」 『やだ、出ない。寒いしやだ』 と、まだパンツを履かせていないのに頭の上から毛布を被る 「ちょ、シバ。じゃあおむつしよ。そしたら飲んで寝ていいから」 『おむつは嫌だって』 「じゃあおしっこするだろ、そこで」 『そこ?』 「シバの寝るとき用のトイレあるだろ」 『や、あひるさんは使わない』 今日は昨日と違って寝ぼけてないから嫌がるかとため息を吐く とりあえずもう一度おねしょパンツだけ履かせて 「シバ、お湯でいいか?」 『…水がいい』 「お湯。ゆっくり飲もうな」 と、ウォーターサーバーからお湯と水を半々でインサートカップに入れて渡すと シバはゆっくりとそれを飲むと少しだけ落ち着いたようだった 『水が良かった』 「水だと一気に飲んですぐおしっこしたくなるだろ」 『だってやなんだもん』 「シバ、全部嫌はだめだ。おむつするか、トイレ行くか、そこでおしっこしてから寝るか、どれか選びな」 『……おしっこ、してから寝る』 「トイレ行くか?」 と、聞くとシバはふるふると首を振る 『それ、使うから見ないで、』 「うん、見ねえよ。シバがおしっこしてる間、これ向こう置いてくるから」 と、シバの身体を拭いたタオルを見せる 『うん』 と、シバが頷いて じゃあ置いてくるかな、と部屋を出ようとしたが 『きょうへい、やっぱり怖いから行かないで』 「怖いの?」 『うん、やだ、1人はやだった』 抱っこ、とすぐに手を伸ばしてきて さっきまで見ていた怖い夢の余韻か 甘えたそうにするシバの背中を撫でてやる 『トイレは、行きたくない。寒いし怖い』 「そっか、じゃあそこでおしっこしよ」 『………うん、』 と、シバは立ち上がるから 邪魔そうだから1度パンツを脱がせてやると ゆっくりとしゃがんであひるのおまるに跨った 『おしっこない、やっぱりでない』 「本当に無いか?お腹の下、ちょっと力入れてみ」 『んっ、見るな、見ちゃやだから』 と、言われた通りに力を入れたのか 少し息を詰めるような声 「分かってるよ、見ないからおしっこ早くしろ」 そして間もなく パタ、パタパタ、と、おまるの中のシートの上に水が落ちる音が聞こえる そしてすぐに量を増やし しょろろろ、と水が流れる音がした シバはアヒルの横の取っ手にしっかり掴まり背筋をプルプルと震わせた …今更ながらおまるでおしっこって はずかしいよな、そりゃ シバが嫌がるのも仕方ないか いや、でもこれで徐々にでもベッドの上でおしっこ出す癖が抜ければおねしょもきっと減るだろうし 先程おねしょしたばっかりだか そんなに量もなかったらしい すぐに止まったようで シバはぷるぷるとちんちんを振ってから立ち上がる 『おしっこ、したから、ちゃんと』 「シバ、偉いな。ベッドじゃなくてトイレでおしっこできて偉かったぞ。これでおねしょ大丈夫だな」 と、もう一度パンツを履かせてやると すぐに抱きついてベッドに横になる 「まだ怖いか?」 『……怖くねえ、』 「どんな夢だったんだ?」 『巨人に追いかけられてんのに、おれの立体機動装置が、動かなくなって…捕まった』 「おお、こわかったな、それは」 『おれ、逃げようとして、脚ばたばたしたんだけど逃げられなくて、怖くておしっこ漏れた』 「そっか、助けてやれなくてごめんな」 『夢の話だし』 何言ってんだ、とシバは笑った どうやらもうあんまり怖さは無くなったらしい 「お前ホラーとかは意外に怖がんねえのにな。シバって何が怖いの?」 『んん、こわいの?えっと、虫と、暗いのかな』 「寝る時の暗いのは怖くねえ?」 『きょうへいと一緒だから怖くねえ』 「へえ。俺と一緒に住む前は寝るときどうしてたんだ?」 『電気とかテレビ付けてた。つか昔はそんな怖くなかったし、暗いの。まぁ、そんな言うほど怖くねぇ。できれば避けたい程度。つか怖い物の話すると寝れなくなるからもうやめよ』 「おお、そうだな、悪い悪い」 おいで、と背中を撫でてやるとすぐにくっついてくるシバ 「シバ、寝れなかったらすぐ起こせよ」 『平気、きょうへいと一緒なら寝れそう』 と、今日もかわいい俺の飼い犬は すぐにすーすーと寝息を立てて寝始めた よしよし、と背中を撫でてやると 寝ながらもぞもぞ動いてきゅっと更にくっついて来る いや、マジでかわいすぎかよシバ

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