46 / 212

第46話

『おねしょ、してない』 と、起きてまずパンツの中を確認すると濡れてなくて よっしゃ、とベッドから降りる 『きょうへい、』 どこ行ったんだ、ときょうへいを探すと お風呂場の方からバシャバシャと水の音が聞こえてくる 『きょうへい、』 「おお、シバおはよう」 『おはよう、何してんの?』 「シバのおねしょマット洗ってんの」 『…なんで?』 「覚えてねえか」 『なにが?』 「シバ昨日寝ぼけてベッドの上でおしっこしたんだけど」 『……覚えてないし、うそだし』 「シバ最近おしっこあんまり上手くできないからちゃんとできるようにしようなー」 『……できるもん』 なんだよ、 おねしょしてないと思ったのに なんだか悲しくなってしまった 『おしっこ上手にできるし、』 できるし、と早速トイレに行くことにして トイレでちゃんとおしっこをした なんかちょっとしか出なかったな、 やっばりきょうへいが言った通り 寝ぼけてベッドにしてしまったのだろうか 早くきょうへいの所に戻ろうと すぐにパンツを上まで上げてきょうへいの所に戻る 「おしっこしてきたか?」 『……してきた、』 「じゃあパンツ替えような。大人用パンツ履こ」 と、きょうへいはおれのパンツを脱がしてくる 「シバ、パンツちょっと濡れてんだけどちびった?」 と、パンツの内側の湿っている所を見せながら聞いてくるから恥ずかしくなる 『ち、がう、』 「ちげえの?じゃあなんで濡れてんの?」 『聞くなよ、そんなん』 「なんで?教えて。シバ」 『や、いわない』 「教えてくれねえの?言えねえ様な恥ずかしいことしたのか?」 『ちがう、けど、…』 「じゃあ教えて」 『……おしっこして、すぐ、パンツ上げたから。急いでこっち、きたかったから……ちんちんに、おしっこ付いたままパンツ履いただけだし、』 「ちゃんとちんちん振らないでパンツ履くとパンツ濡れちゃうってシバわかるだろ?」 と、中を見られて 恥ずかしい思いして 本当に子供が言われるやつみたいな事指摘されて せっかくトイレでおしっこしてきたのに、 急いでたから忘れちゃっただけじゃんと ちょっとムッとしてしまう 『…そんなん、ちょっとじゃん』 「お前のパンツ誰が洗ってると思ってんだよ」 『……ほっといて』 「ほっとかねえ」 と、ちんちんの先っぽをおしりふきで拭かれてから大人パンツを履かされる 『恥ずかしいこと言わないで欲しいのに』 「言われんの嫌ならシバも頑張ろうな」 『…だって、』 だってそう言われると 恥ずかしいし 嫌だし 自分でできるのにって思ってるのに できない気までしてくる 『……できるし』 「シバ、今日は会社午後からだからゆっくりしような」 と、おれの汚した物を洗濯機に入れて回すと 下を向いていたおれの頭をぽんぽん撫でてから手を掴んでリビングに連れていってくれる 『今日は会社一緒に行く?車?』 「今日はってほぼ毎日一緒に行ってるだろ」 『そうだけど』 「ほら、寒いからスウェット履いときな」 『なぁ、きょうへい』 「どうした?」 『一緒に、朝ごはん食べよ』 「…シバ、わかってるから。全部一緒にしてるだろ?どうした、昨日から」 『……なんでもない、』 わかってる、 いつも一緒に寝てくれるし いつも朝ごはんも一緒に食べる、 会社も、ほとんどいつも一緒に行くけど… 最近は仕事中も一緒のこと多いし。 『なんでもないから、』 でも、不安になる だって、急にいなくなったりするじゃん 「なんでもねえの?」 『なんでもない、』 どうしたら、きょうへいは おれと一緒にいてくれんのかな 「なんでもないならいいけど」 『うん、なんでもないから』 どうしたら、きょうへいはおれから離れないでくれんのかな なんで、きょうへいは、 おれと一緒にいてくれんのかな 「シバ、朝ごはん。何食いたい?」 『…いらない、食べない』 「なんで、一緒に食うんじゃねえの」 『いらなくなった』 「具合悪くなったか?」 『わるくないけど、』 「じゃあちょっとでいいから食いな」 と、おれのおでこを触って 熱が出てないか確かめるきょうへい きょうへい、おれのこと心配してくれてる 「何なら食える?ココアのむか、豆乳のやつ」 『うん』 甘くしてやるからな、と多めにココアパウダーも入れてくれる 『きょうへいってなんでおれにそんな優しくしてくれんの?』 「は?そりゃお前が心配だからだろ、当たり前だろ」 そうなんだ、 おれ、そんな心配してもらってんだ きょうへい、おれのこと心配だからずっと一緒にいてくれんだ 『おれ、きょうへいに優しくしてもらうのすき』 「お前なんかかわいい事言うな」 『なんで?本当のことじゃん』 「そうだなー」 と、頭を撫でてくれて ココアをおれの前に置いてくれる 『きょうへいは何食うの?』 「んー、適当に」 『おれパン焼いてあげる』 と、きょうへいの分のパンをセットして フライパンを持つきょうへいの後ろに行く 「シバ、火使うからあっち座ってな。お前たまご本当に食わねえの?」 『…いい、いらない』 「そっか。じゃあココア飲んでな」 『手伝うけど』 「いいよ、お前できねえだろ?本当に今日は くっつくな」 と、笑われる そんなくっついてるかな? 手伝いたかったのになー、と思いながら 食卓できょうへいが入れてくれたココアを飲む うん、おいしい甘い きょうへいまだかな、と チラッとキッチンの方を見るけど きょうへいはまだ料理中で視線は合わなかった 『きょうへい、ほっとかないで』 「ほっといてねえよ、シバ」 『…そうだけど』 こっち見てくれねえのかな あ、 「何見てんの?」 と、きょうへいと目線がぶつかると笑われる 『…だって、』 「寂しいのか?」 『うん、早くきょうへいも一緒に食お』 「お前食ってねえじゃん」 と、お皿に盛り付けてようやくこっちに来てくれた 『ココア飲んでるし』 「甘い?」 『甘くてうまい』 「シバ甘いの好きだもんな」 『うん』 「甘えん坊だし」 『甘えん坊じゃねえし』 「まぁ、俺はシバが甘えん坊でもいいけど」 『……きょうへいはおれが甘えん坊だから一緒にいんの?』 「そうだなー、お前俺がいないと泣くだろ?」 『…泣くかもだけど、』 「ほっとけねえよな、本当に」 そっか、きょうへいは おれが甘えるから一緒にいてくれんだ 甘えてる間は一緒にいてくれるって事かな

ともだちにシェアしよう!