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第58話
『きょうへい、』
と、まだ隣で眠っているきょうへいの上に乗って起こそうとするけど
きょうへいはまだ寝てて
んんん、と眉間に皺を寄せる
『きょうへい、朝だよ』
「んん、そうだな、」
と、もにもにとお尻を揉まれて
おむつを確認される
「シバいっぱいおしっこでてんな。外してやるから風呂行っといで」
と、眠そうに俺のおむつを脱がせて
またすぐベッドに横になる
『なぁ、きょうへいは?きょうへいはシャワーいかないの?』
「いかねえよ…もうちょいしたら起きるから。シャワー浴びてきな」
『んん、その前におしっこ連れてって』
「じゃあアヒルさんでしな。見ててやるから」
『……きょうへいちゃんと起きててよ』
「わかってるから」
と、きょうへいが見ていることを確認して
あひるさんに跨ってみたけど
『おしっこ無かった』
「そっか。じゃあシャワー浴びといで。お前昨日風呂入んないで寝ちゃったから」
きょうへいはあくびしながら起き上がって俺の手を引いて立たせてくれる
『きょうへい起きんの?』
「起きるよ。あんだけ騒がれたら起きるって」
『騒いでねえよ』
「とりあえず起きて後で昼寝する」
『昼寝すんの、きょうへい』
「する、寝みぃもん」
ほら風呂行くぞーと
きょうへいは俺の手を引いて
バスルームに突っ込んでさっさと行ってしまったから
仕方なく自分でさっさとシャワーを浴びて
リビングに戻ると
きょうへいは朝ごはんを作っていていつも通りだった
『きょうへい、シャワー浴びてきた』
「そっか、シバ、後で買い物行くぞー」
『買い物って』
「旅行行くから。それに必要なもの買いに行く」
『ふーん、お昼寝は』
「朝飯食ったら。シバ、おむつ持っといで。履くやつ」
『おむつしたくねえなあ』
「いいけど2回おもらししたら今日もおむつだぞ?」
『うん』
やったー、おむつ履かなくていいんだ、と
念の為もこもこパンツに脚を通して
スウェットも着る
朝ごはん、と食卓に座ると
目玉焼きとトースト
プチトマトにタコさんにされたウィンナー
「シバ、ちゃんとトマトも食えよ」
『おれ子供じゃないからタコさんじゃなくてもウィンナー食えるよ』
「タコさんのがお前好きだろ」
『…そうだけど』
おれ子供だと思われてんのかな、やっぱり
まぁ美味いからいいけど、とタコさんをフォークでぶっ刺して食う
きょうへいはおおきな欠伸をして
コーヒーを飲む
『きょうへい眠いの?』
「あぁ、眠い」
『朝なのに?』
「眠い日ぐらいあるだろ」
『そうだけど』
きょうへい抱っこ、とフォークを咥えたままきょうへいの上に乗ろうとしたら
「飯食い終わってから」
と、怒られてしまう
『もう食うよりきょうへいに抱っこしたくなった』
「シバー、残さない。俺せっかく作ったんだぞ?タコさん食べてって言ってるし」
『んんん、』
タコさん食えるし、と食って見せると
「ほら、あーん」
と、お皿に残ったトマトを
あーんと口を開けて食べると
目玉焼きもフォークで切って食べさせてくれる
トーストは、と
「ジャム?イチゴでいいか?」
『うん』
「ほら、ジュースも飲む。ビタミンC」
と、最後にオレンジジュースも飲んで
おれが残そうとしたのもきょうへいはちゃんと全部食べさせてくれて
「うまかった?」
『うん』
「赤ちゃんじゃないなら自分で食おうなー」
『赤ちゃんじゃねんだけど』
「じゃあ明日からは自分で食えるな」
『うん』
今日だって自分で食えたけど
先にきょうへいに抱っこしたかっただけだし
『全部食べたから抱っこ』
「その前におしっこ行ってこい」
『なんでえ、たべたじゃん』
「シバ起きてからはおしっこしてないからそろそろ出るだろ」
『じゃあおしっこしたら抱っこする?約束する?』
「約束するから」
と、言われて急いでトイレに行っておしっこをする
そんなおしっこしたくねえけど、と思いながらもトイレでちょろちょろおしっこをして
急いできょうへいの所に戻る
「おしっこでた?」
『でた』
「ちゃんとちんちん振った?」
『ふった!おれ今日ちゃんと全部出来てんだけど?』
「そっかそっか。おいで」
と、ようやくソファで抱っこしてくれて
やっとだ、ときょうへいに抱きついてため息を吐く
『きょうへい、おれちゃんと自分で出来るから赤ちゃんじゃねえんだけど?』
「シバできねえだろ?」
『今日は自分で起きたしシャワーも自分で浴びたし』
「そっか?シバ自分でご飯食えんの?」
『食えるよ』
「おしっこも?漏らさねえ?」
『漏らさない。きょうへいに言われなくてもちゃんとおしっこ行けるしちゃんとちんちん振ってパンツ履くし』
「そっか、えらいじゃん」
『うん、赤ちゃんじゃねえし』
だから赤ちゃんにしないで欲しい
「じゃあ赤ちゃんじゃねえから抱っこやめるか?」
『……なんでそんな意地悪言うんだよ、抱っこは赤ちゃんじゃねえって言ってんじゃん』
「うそうそ、ごめんな」
と、きょうへいは俺の背中を撫でてくれたけど欠伸をしていて
『きょうへい今日眠そうだな?』
「昨日寝るの遅かったんだよ」
『帰ってすぐ寝なかったの?』
「帰ってシバのお着替えしてシャワー浴びて…まぁその後色々やってた。ネット予約の確認したり」
『ネット予約?なんの?』
「だから旅行だろー」
『あぁ、どこ行くの?』
「箱根。いいだろ、温泉。ゆっくり出来るし」
『温泉すき。楽しみ』
「だろー、だからちょっと寝かせて」
と、きょうへいは言ったから
おれも赤ちゃんじゃないからきょうへいの事寝かせてあげることにして
きょうへいの上から降りて
寝室に毛布と枕を取りに行った
『きょうへいお昼寝していいよ』
「お、持ってきてくれたんだ」
『うん』
「起きたらまた抱っこしてやるからな」
と、きょうへいはおれの頭を撫でてくれた
『うん。やくそくね。おやすみ』
と、よく寝れるように
きょうへいがしてくれるのを真似してちゃんとおでこにキスもする
まぁ、おれ赤ちゃんじゃねえし
きょうへいがお昼寝してる間くらい大人しく待ってよ
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