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第69話

『うわ、すっげええ、』 と、大涌谷に来て ロープウェイに乗ると窓に張り付いて外を見るシバ 寒いからか 大涌谷に行く人が少ないようで ロープウェイは貸し切り状態でシバははしゃぎ切っていた 『なぁ、きょうへい見ないの?』 「…いや、俺はいい」 『なんで?すっげえよ。キレイだよ』 おいでおいでーと手招きをしてくるが 「…いや、いいって」 『…きょうへいもしかして』 「なんだよ、」 『高いの怖いの?』 「………」 『へえぇえ』 「なんも言ってねえだろ」 シバはすぐに俺のすぐ隣に腰を下ろし 顔を覗き込んでくる 『きょうへいのかっこ悪いところ初めて見た』 「うっせえ」 するとシバはにんまり笑って俺の顔を見て 『きょうへい怖がってて可哀想だから手繋いでやるよ』 と、こそりと耳元で言って ポケットに突っ込んでる俺の手を捕まえようとポケットに手を突っ込んできて 手を繋いでくれる いや、実際のところ高いところは苦手だが シバのかわいい行動にもうどうでも良くなってきた 『怖いの無くなった?』 「シバ、怖いからもっとこっち来いよ」 と、ピッタリと肩が密着する所にシバを座らせ ポケットの中でシバの指をすりすりと触ると 少し驚いたようにぴくりと反応する 人差し指を掴み すりすりと根元の辺りを撫で そのまま人差し指と中指の間をふにふにとつまみ今度は中指の根元をすりすりと撫でる 『…なに、その触り方』 「いや、怖いからシバの指すりすりしようと思って」 と、中指を軽く握り コスコスと上下に手を動かす 『…きょうへい、怖いの無くなった?』 「いや、着くまでは怖いかもな」 と、中指の先っぽを親指でくるくる撫で 爪の境目の所をなぞるように触るを繰り返す 『っ、きょうへい、その触り方やだ、』 「なんで?俺怖いんだけどダメか?」 『…こわいの?』 「怖いよ、シバ」 『しょうがない、』 と、少し潤んだ目で俺の目を見るから 面白くなりそのまま手を動かしていると ちらりと見える耳も赤い事に気付く 「シバ、」 と、そのまま耳元で名前を呼ぶと またぴくりと反応した 『な、なに?』 「もう、着くか?」 『わ、かんな、』 「どうなってる?教えて」 『な、んで…、おれ、』 「教えてくれないのか?」 『…きょうへいが、指すりすりいっぱいするから、』 と、顔を真っ赤にし 少しずつ言葉にしていくのがかわいくて もう少しいじめたくなる 「うん、」 『はずかし、だって、さわりかたえっちだから』 「それで?」 『な、んか、ちょっとだけ……お腹の奥むずむずして…あつく、なってる』 「どこ?」 『お腹の……きょうへいが、いっつもいっぱい突いてくれるとこ、あと、まえも、」 「前って?」 と、聞いてみると 俺ら以外に誰もいないことなんて分かりきっているのに シバは少し周りをキョロキョロと見て確認し 俺の耳元でこそりと、 『ちんちん、』 と、恥ずかしそうに伝えてくるから 思わずに笑いそうになる 「シバ」 と、俺も耳元でもう一度シバの名前を呼び 「俺が教えて欲しかったの、窓の外どうなってるかなんだけどな?」 と、耳元で言ってみると 既に赤かった耳が 益々色を増す 『な!』 「外、どうなってるか教えてって。後どれくらいで着くのか」 『…ぅ、わ、きょうへいの、意地悪』 「高いところ苦手なのは本当だぞ?」 『きょうへいのバカ』 「ごめんって。怒った?」 『きょうへいが意地悪するから、勃ちそうじゃん、』 「勃ちそうなの?」 『きょうへいのせいでちんちんむずむずする……あー、もう』 ともぞもぞと腰を動かしてイライラしながらも 手は繋いでくれていて 「シバ可愛かったからしょうがねえだろ?」 『おれだって、きょうへいと手繋げてうれしかったのにさー。なんでいじわるすんだよ』 「ごめんな?シバがかわいいから触りたくなったんだよ」 『……おれだって、きょうへいと手繋いでたいのに、そんなことされたらムラムラしちゃうから手離すしか無くなっちゃうじゃん』 「じゃあもう繋いでくれないか?」 『……きょうへい、怖くてかわいそうだからつないでやるし』 と、ポケットの中でキュッと手を握ってくれる 『ほら、もうすぐ着くよ。立てる?』 「あぁ、立てるよ」 『おいで』 と、かっこよく言ってくるが 少々笑いそうになる お前、勃ちそうじゃなくて勃ってんじゃねえか 「シバやさしいなー、かっけえじゃん」 『おれ、たかいのへいきだし。きょうへいに優しくしたいんだもん』 と、ロープウェイを降りる直前まで手を繋いでくれていた 降りた瞬間鼻をすんすんと動かす 『温泉のにおいする』 「おお、よくわかったじゃん。硫黄のにおいな」 『きょうへい高い場所だけどへいき?』 「あぁ、着いちゃえば平気」 『へええ、』 と、さっきまですぐ隣にいたのに少し離れて歩くから近付こうとするとまた少し離れる 「シバは?ちんちん勃ってるけど平気?」 『……うっさいなぁ。今おさめてるからほっといて』 シバの勃起かわいいと触りたくなるが さすがに外だし我慢して 1歩前を歩き隠してやる 景色のいい所まで歩くと 『おおお、すっげえ』 と、多少イライラしていたシバも 景色に夢中になる 「ほら、さっき行った芦ノ湖」 『あー、結構遠くまできてんね』 「ほらシバ。写真撮るからそこ立って」 『顔だけ撮ってね』 「なんで?」 『まだ、……勃ってるし』 「本当だ。シバ勃起ちんちん」 と、そこも写るように写真を撮る 『とらないでっていってんのに』 「シバかわいい」 『うるさいもん』 ふん、とそっぽを向いて シバも景色の写真を撮り始める 「シバ、腹減ってる?玉子あるから食お」 『たまご?』 「黒たまご」 と、黒たまごが売っている方に歩き出す 『黒たまごしってる、さっき調べた』 「おお、食いたかった?」 『うん』 「お前玉子好きだもんな。ちょっと待ってな」 と、シバを待たせて玉子を買いに行く 『わぁ、黒』 「な、真っ黒。自分で剥ける?」 『うん、できる』 と、玉子を渡すと すげええ、と少し触って 『どこで割ればいいの?』 と、首を傾げる 「ええ、貸して」 と、シバから玉子を受け取って、玉子と玉子をぶつけてヒビを入れ 半分くらい剥いて少し塩をかけてシバに差し出すと かぷ、とかぶりつく 『うま』 「うまいか?」 『うん』 「1個食うと寿命7年伸びるって」 『ええ、そうなの?』 「あぁ、売店の人が言ってた」 『……じゃあきょうへいは、3こ食べて』 ほら、と自分の分の玉子を受け取って 早く俺に食うように言う 「いや、3個も食わねえけど」 『だめ、だってきょうへいおれより9個上じゃん』 「は?あー、年齢?」 『うん、おれも1個食べちゃったからきょうへいは全部で3個な』 「そんな食えねえって」 『やだ、食って。きょうへい』 「そんな俺長生きしなきゃダメか?」 『だめに決まってんじゃん。きょうへい俺より長く生きなきゃ』 「ええ、シバより長く生きたくねえんだけど」 『……なんでよ』 「シバいねえとさびしいし」 『おれの方がきょうへいいないのやだし』 と、なんの意地かわからないがぷんぷんと怒りながら言って 『卵もっと買ってくる!』 と、走って行ってしまって 追加で2個の玉子を買ってくるシバ 『はい、きょうへい。食べて』 「じゃあそんな食えねえからシバが1個食ってな」 と、また割って剥いて差し出すと かぷりと玉子を食べる 「うまい?」 『うん、うまい……あ、』 「どうした?」 『おれも2個食べたら意味ねえじゃん』 「いいじゃん。長生きしよ」 『……きょうへいの方ががんばれよ』 「そうだなー、シバの事置いてけねえもんな」 そっか、9個も離れてんのか俺とシバ だからかわいくて仕方ねえのか

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