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第83話

「んん?また多いな」 と、洗濯物を片付けていたら シバのパンツが多い事に気付く 最近大人パンツ履きたがるから履かせてるけど 漏らしたって言わないし スーツも濡らしてないから漏らしてないと思っていたが 洗濯に出されるパンツの枚数が多い 昨日は3枚 今日は4枚だ スウェットも2枚あったし 夜中に濡らしたのか? 濡らしたなら起こせばいいのになんで今更隠すんだ? 夜中だと俺も熟睡してるしなー おしっこくさくねえかな、とパンツの股間部分に鼻を当ててにおいを嗅ぐがおしっこのにおいはしなかった おしっこ漏れそう、とかも言わないから 頑張って意識してトイレに行ってるのだろう それはいい事なんだけどなあ… 『きょうへい、ねよ』 と、風呂を終え 頭を拭きながらシバがリビングに来る 「ちゃん乾かせよー」 と、頭を拭いてやってドライヤーを当てる 「シバ、」 『なに?』 「寝るときのパンツ何にした?」 『あの水色の、ナノボクサーのやつ』 「お前あれ好きな。大人パンツで大丈夫か?」 『平気。おしっこしたくなったらおきるしおねしょしない』 と、シバは言ったが 頭を乾かしていたためシバは後ろを向いていて どんな顔をしているのかわからなかった 「そっか」 おねしょしたら起こせよ、と言おうか迷ったが おねしょしない、と本人も言ってるし ここ何日か布団を濡らしていないのも事実だ そんな言われたら嫌だろう、と 口を噤んだ しかし夜中 ごそごそと 毛布が動く感じがして目を覚ます 俺に背中を向けているがすんすんと、少し鼻を啜っているシバ 「……シバ、どうした?」 と、さりげなくベッドの下の方を触ってみても濡れてない しかし、ぴた、とシバの素肌に手が触れる 太もも?スウェット履いてねえのか? 『きょうへい……おきた、だけ』 「おしっこしてきたの?」 『うん、』 背中から抱きしめてやると シバはおれの腕の中で向きを変えて抱きついてくる よしよし、と背中を撫でて さり気なく尻の方を触ると やっぱりパンツしか履いてなくて 少し毛布をまくってみると 薄暗くてよく見えねえけど 水色じゃなくて濃い色のパンツを履いている事がわかる ネイビーか?それにナノボクサーじゃなくて普通のボクサーだ 「シバ、起きたなら俺のこと起こしてもいいからな?」 と、そのまま尻を撫でるが 『…起きただけだし、大丈夫だもん、起きて、おしっこしただけ』 「トイレまで行けたか?暗かっただろ、廊下」 『…あひるさん、使ったから』 「そっか。よくできたな」 『うん、』 「脚、寒くねえ?」 と、下のスウェットを履いていないシバの脚を絡める 『寒くない、』 と、シバはやっぱりなんにも言わずに脚をすりすりと少しだけ動かした ちょっとパンツに出てしまってから目を覚ますのだろうか それならそうで起こせばいいのに シバからしたらおねしょをしていないから起こしたく無いのだろうか よしよし、と背中を撫でていると次第にシバは眠りについてゆっくりな息になった ◇◆ 翌朝、起きたら隣にシバはいなくて あの後はおねしょしてねえな、とベッドを触る 先起きたのか? と、ベッドから降りると ピチャッと何かを踏んで足を上げる 「濡れてる」 と、俺がちょうど降りたところにぽたぽたと水滴が垂れていて アヒルに続いていた アヒルの中を確認すると 夜中にした後、また上からおしっこをしたであろう、 中のペットシーツにまだ新しい水たまりがある とりあえず床をふこうとベッドの下から タオルやらを取り出そうとするが 「ん?」 と、何やら見つけてそれを引っ張り出す 「…これは、」 股間部分がぐっしょりなってるシバの水色のナノボクサーに同じく股間部分にシミがあるスウェット よくベッド濡れなかったな、と思うほどの大きさのシミだ こんな所に隠しやがって、と それを持って床の水滴を拭きながら寝室を出る 多分アヒルの前にビシャビシャ漏らして それを何かで拭いてそのまま風呂に持ってったであろう、水滴は風呂の方までぽたぽたと続いていた 朝起きて限界で出てしまったのだろうか 隠さないで起こせばいいのに 脱衣場につくと シャワーの流れる音がしてシバがシャワーを浴びている事がわかる 俺はさっさとシバが汚した物を濯いで バケツに入れ漂白剤に付けておく その後はさっさと手を洗い身支度をしていると 『きょうへい、』 と、シャワーから出てきたシバが もじもじと近付いてくる 「シバおはよう」 『ベッドの下の、』 「洗ったけど」 多分洗面所で付けているスウェットやパンツを見たのだろう 『きょうへい、』 「シバ、昨日も言ったけどおねしょしたりおもらししたら起こしていいからな?お前洗うの大変だろ?」 『……やだ』 「は?なにがやだ?」 『……違うもん』 「違う?」 『おねしょしてねえもん!おもらしもしてねえし』 「…パンツびしょびしょになったんだろ」 『でも……違うし、おねしょじゃないし、おもらししてねえもん。きょうへいの意地悪』 「意地悪ってお前な…」 『もうおもらしもおねしょも治ったからほっといて』 と、シバは ふん、と膨れてしまった なにが気に食わなかったんだ?

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