92 / 212

第92話

『なぁあ、どこいくの?』 「近くだよ近く」 『ちかくって?』 「いいだろ、お楽しみ」 と、車に乗り込んでドライブという名のちょっとしたお出かけをしていた どこ行くかな、とちょっと考えながらぼーっと車を走らせるがいつもの道だ 白ブリーフを履かされてちょっと不機嫌だったシバは ちょっと車を走らせているうちに忘れたようで今は行先の方に気がいっているのだろうか 『なんかね、あきらくんの話なんだけどね』 と、不意に口を開いたシバ なんだ?と耳を傾ける 「うん、」 『あきらくんへんたいじゃん?』 「うん?そうだな?」 と、突然の言葉にちょっと混乱する 『あきらくんはね、へんたいなのにおれがおもらしするといつもかわいそうって言うんだよ?』 「…は?うん、それが?」 『きょうへいは言わないよなって。きょうへいはおれがかわいそうじゃないの?』 「シバがおもらしした時か?」 たしかにそんなかわいそうって思わねえな? かわいそうよりかわいいって思うし 『うん、おもらししたおれ見てかわいそうっておもう?』 「いや、べつに」 『匡平はそうだよなあ……だからおれにこんな恥ずかしい白いブリーフ履かせんのもかわいそうって思わないんだろうなあ』 いや、前言撤回。 結構怒ってた 「シバがおもらししたパンツ隠すからだろ」 『なんでかわいそうっておもわないの?』 「なにが?白ブリーフ履かせてることにたいして?」 『まぁ、うん』 「かわいそうじゃない。シバが悪い子だったからお仕置だし」 『……んんん、ごめんなさいしたじゃん、』 「俺何回も注意したろ」 『………じゃあおもらししたらかわいそう?』 「べつにかわいそうじゃねえなあ」 『…なんで、』 「かわいそうって思われてえの?お前」 『べつに思われたくないし言われたくない』 「じゃあいいだろ」 『…うん、まぁ。きょうへいはわかってるんだなー、おれのこと』 「シバがおもらししたら俺がすぐ片づけてやるだろ?かわいそうとかおもってる暇ねえし」 『…そうかも、』 「だからかわいそうって思わねえし白ブリーフも自業自得だと思ってる」 『………こんなの、子供パンツじゃん、』 「赤ちゃんおむつ卒業したからちょうどいいだろ」 『おれは大人パンツ履きたいの』 「シバには大人パンツまだ早いんだよ」 『……なんでそんな意地悪言うの』 「大人パンツ汚して隠しちゃう恥ずかしい子供にはまだ早えの」 『よ、ごして、ないし、』 「それにシバがいつも履いてるお兄さんパンツより子供パンツのが上だぞ」 『そうなの?』 「そうだよ、お兄さんパンツはトイレ行けるようになってきたら履くパンツ」 『これは?』 「シバが失敗しないか最終確認するパンツ」 『最終確認おわったら大人パンツ履かせてくれんの?』 「そうだな、シミつけなくなったらな」 『……じゃあ、これ履いててもダサいって言わない?』 「言わねえよ」 本当はダサくてかわいいって思ってるけどな 『……しょうがないから我慢する、』 最近意識してトイレに行くのはいいけどやっぱり近いんだよなあ、トイレ それに気付くの遅いからちびる事も多いしな おもらしさせると困るから俺もしょっちゅうシバをトイレに行かせちゃうから おしっこ溜めるトレーニングが出来てないってのもあるだろうけど 我慢する、と言った割には気に食わないようで もぞもぞと尻の脚の付け根のゴムの辺りをいじるシバ お前のナノボクサーとか履いてるからそんなブリーフとかたち変わらないだろと思ったけど やっぱり色と素材感だろうか ブリーフの方が厚手だからもぞもぞとするだろうな ピッチリ感も少ないだろうし ただ、厚手な分ちょっとちびってもズボンまで汚さないでパンツに収まりそうな気もする まぁ、俺もブリーフ履いてた頃の記憶がほとんど無いから履き心地とかよくわかんねえけど 『ブリーフやだなあ』 「そんないやなの」 と、不意に口にしたシバ 我慢するってさっき言ったのにおむつより嫌がってんじゃねえか、これ 『やだ』 「なんで?」 『中学生の時、母さんに頑張ってお願いして変えてもらったのに』 「へえ、なんてお願いしたの?」 『…よく覚えてねえけど、かっこいパンツにしたいって』 「へえ、いいよってお母さん言ってくれた?」 『………いっくんまだブリーフの方がいいんじゃないって、なかなかゆるしてくれなかった、』 「へえ、」 いっくん かわいいんだけど、なんだそれ、と笑いそうになるのを耐えながら何とか受け答える 『でもみんなもうボクサーとかトランクスだし、体育で着替えんのはずかしいっていってお願いして変えてもらった』 「へえ、そうだったんだ」 『なのに今はおれが履いてんのはブリーフ。しかも白』 相当白ブリーフ嫌なんだな、こいつ…… 「シバ、そんな嫌なの?ブリーフ」 『やだ』 「じゃあお仕置にちょうど良かったな」 『……いじわるだ、』 「今日は諦めろ。シバが悪い子だったからだろ」 『……だって、』 「それに俺はシバの白ブリーフ嫌いじゃねえけど」 『なんで?変態だから?』 「シバが恥ずかしがってんの見るの楽しいから」 『へんたいじゃねえか』 「シバ、そんなこと言っていいのか?」 『……だって、ごめんなさい』 「シバはパンツ汚さないように気をつけろよー。ほら、そろそろトイレ寄ろうか」 と、広い駐車場のコンビニを見つけて入る 『おしっこしたくない』 「早めに行っといで。白ブリーフなんだから」 『やだ、言わないでよ』 「シミつけたら目立って恥ずかしいぞ」 『…わかったから。つか結局どこいくの?』 そういや決めてねえなあ まぁいいか、適当に考えよ

ともだちにシェアしよう!