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第102話
『なんだよー、コーヒー入れようと思ってたのに、』
と、こたつに入ってテレビを見ていたが
特に面白いのもやってなくて
暇になってしばらくはゲームをやりながらみかん3つくらい食べたけど
やる事ねえしきょうへいいなくて暇すぎて
そのまま横になって寝る事にした
きょうへいはこたつで寝ると風邪ひくからダメっていうけどそんなん知らない
だってもうやだし
しかし、
『あつ、』
次目を覚ました時
ちょっと逆上せたように顔が熱くなっていた
あつい、汗かいた、
喉乾いたかも、と
起き上がった時に
べちゃ、と手の下で変な音がして首を傾げる
『ん?なんか、』
と、こたつの布団を少しだけ持ち上げると
もわっと中から知ってるにおいがした
『…うそ、』
びしょびしょになってる、
汗かいたと思ったけど明らかに違った
ちょうど股間の辺りとおしりの下がぐっしょりと濡れていてスウェットの色が変わっていた
おれ、こたつで
『おねしょ、…しちゃった、どうしよう、』
どうしよう、
こたつでおねしょなんて、どうやって片付ければいいかわかんないし、
きょうへいの言うこと聞かないで
こたつで寝たからだ、
いつも出したおしっこすぐ冷たくなるけど
こたつの中だから、おしっこも変にぬるくて
濡れているところがじっとりと張り付いて気持ち悪い、
ちんぽも、おしりも、
太ももも、
背中も少しぬれてる、
『…どうしよ、』
早く片付けなきゃ、
シャワー浴びてキレイにしなきゃ、
じわ、と涙が滲んで余計悲しくなった
『…きょうへい、』
早く帰ってきて、
ぐすぐすと鼻水まで出てきて
止まらなくてどうしようもなかった
どうしよう、
その時だ、玄関が開く音がして
今まで貼り付けられたみたいに動けなかったのに
すぐに身体が動いて玄関まで走って行った
『きょうへい、っ、』
「おお、シバ。ただいま。どうした?泣いてんじゃん」
『だって、』
「あーあ。ぐしょぐしょだな。上も下も」
『きょうへい、おれ、』
「おいで。抱っこしよ」
『…ぬれて、っ、おれ、』
「いいから。おいで」
きょうへいも濡れちゃう、と首を振るけど
きょうへいはおれの腕を引いて
よしよしと背中を撫でてくれる
『おしっこ、いっぱいついてるのに、』
「じゃあ風呂行くか?流してやるから」
と、手を繋いで風呂まで連れていってくれる
きょうへいの顔みたらますます涙が止まらなくなって何だか恥ずかしかった
1人でお留守番できない小さい子みたいではずかしい、
『きょうへい、』
「シバ、スープ買ってきたからお風呂のあと食べような」
『うん、』
「おしっこ全部流れたか?気持ち悪くねえ?」
『…うん、』
「そしたらもう泣くのおしまいな、約束通りいっぱい抱っこしてやるし」
『うん、』
おしっこを洗ってくれた後はすぐにタオルで拭いてくれて
白いパンツを出されたけど首を振ると
おむつを履かせてくれる
おむつは赤ちゃんだけど
さっき失敗して悲しいからそのままにした
『きょうへい、』
「どうした?」
『おれ、おしっこ漏らした、』
「そっか、びしょびしょになって嫌だったろ」
『…うん、』
新しいスウェットを着ると
リビング行くのにも手を引いてくれて
きょうへいは何かきょろきょろと辺りを見回す
『きょうへい、スープ食いたい』
「うん、いいけど……お前どこでおもらししたの?そっちも片付けなきゃだろ」
と、言われて
身体がキレイになって忘れかけていた
おねしょした場所の事
言わなきゃ、と口を開くけどまた悲しくなって
どうしよう、と目をそらす
「どうした?」
『…きょうへいが、こたつで寝ちゃダメっていったのに、』
寝たから、
「…あ、こたつか?」
『おねしょ、』
と、きょうへいはすぐにこたつをまくっておれの失敗を確認する
「あー、やっちまったな」
『……ごめんなさい、』
「まぁそろそろこたつ終わりの時期だし、後でこたつ布団洗濯行くか。大型ランドリーならできるだろ」
『…ごめんなさい、』
「あ。お前みかん3つも食ったの?」
『…暇だったんだもん、』
「みかん水分多いからな。沢山でちゃったな」
『ごめんなさい、』
「よし、じゃあさっさと片付けて飯食お」
『…うん、』
きょうへいはとりあえず吸水、と
おれのおもらしの上にタオルを敷いてくれた
「こっちおいで」
と、リビングの方のテーブルにスープを出してくれる
「お前の好きなやつ」
『きょうへいはおれの好きなのなんでも知ってんな』
「わかりやすいだろ、お前の」
『おれはきょうへいの全部はわかんない』
「そうか?」
『コーヒー、苦いのとすっぱいのどっちがすき?』
「コーヒーか。あんまり考えたことねえけど苦い方が好きだな」
よかった、当たってた
いただきます、とスープを食べると
やっぱりおれの好きなスープの味で
ちょっと嬉しくなる
おいしい、これおれのすきなやつ
寝てたしいろいろ悲しくなったから気付かなかったけど
俺結構お腹すいてたんだ
きょうへいもスープとパンを食べていて
せっかくきょうへい帰ってきたし、
きょうへいと一緒にお休みするからもう泣くのやめよう
そうだ、午後はコーヒーいれようと考えたけど
布団の洗濯に行かなきゃだった
せっかくきょうへい帰ってきたのに、
きょうへい疲れてるのに、布団洗濯行くの大変かな、
やっぱりおれ1人でいこうかな、
コーヒーは夜でもできるし
『きょうへい、おれ、やっぱり1人で布団洗濯いこうかな、』
「なんで?場所わかんの?」
『…カーナビとかで、調べるけど、』
「ええ、一緒に行こうぜ。洗濯ドライブデート」
『でーと、』
「そうそう。大型ランドリー行って近くの店で甘い物とか食わねえ?」
『甘い物、食べたい』
「よし、じゃあ一緒に行こうな」
『…うん、疲れてない?』
「疲れてねえ。それに元から今日はお前と休みの予定だっただろ?」
『うん、きょうへいにゆっくりして欲しかった』
「そうだったのか?ごめんな、仕事入れて」
おれのためじゃなくて普通にきょうへいにゆっくりして欲しいから謝って欲しいわけじゃないんだけどな
『うーん?おれ、なんかうまくできないな?』
「なにがだ?どうした、急に」
『きょうへい、疲れてたりしたら言ってよ?』
「わかってるよ、大丈夫だから気にすんな」
と、きょうへいはわしゃわしゃとおれの頭を撫でた
やっぱりきょうへいにとっておれ飼い犬だし子供だし赤ちゃんなのか、
きょうへいにこういう風にされんの嬉しいけど、おれもきょうへいにこうやって嬉しくなって欲しいんだけどな?
やっぱりうまくできない
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