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第122話

飲みすぎたかも、 『汰一、おしっこしてくる、』 と、居酒屋の個室から出ようと立ち上がる 「おしっこって子供かよ。行ってらっしゃい」 と、汰一が手を振るから うん、と頷いてトイレには向かおうとする いつものクセでおしっこって言っちゃった、 きょうへいがおしっこっていうから そっか、おしっこっていうの子供なのか、と 思ってたら 「フラフラしてるからついてくよ」 と、肩を支えられ トイレの前まで着いてきてくれる汰一 『んん、でちゃいそ、』 「祈織相変わらずトイレ近いのな」 トイレが見えた所で じょぼぼ、とパンツの中におしっこが零れたけど 個室のトイレだったから1人で入って残りのほとんどはトイレにちゃんとおしっこできた 『…ちょっとでちゃった、』 パンツの中にちんぽをしまうと ひんやりして気持ち悪くて 思わず1人でぽつりと呟いてしまった お兄さんパンツにしててよかった、 大人パンツだったら前のところ濡れちゃってたかも トイレを流して手を洗って出ると 汰一はすぐ目の前で待っていてくれていた 「そろそろ店出るか、祈織フラフラだし」 『ふらふらじゃないよ』 「フラフラだろ」 と、お会計を済ませて 2人でお店を出る 「水飲んどきな、フラフラだし」 と、汰一がペットボトルの水をくれて ぐびぐびとそれを飲むとちょっと顔が熱い感じがマシになって もっと、とそれを飲むと 「飲みすぎ」 と、汰一に笑われてしまった 「どうする?帰る?」 『んー、かえろうかな』 パンツ濡れちゃったし 「そっか、じゃあ俺最寄りここだけど。祈織は?」 どうしようかな、とiPhoneの時計を見ると もう23時前できょうへいお風呂入っちゃっただろうな 『タクシーかな』 「まぁ祈織フラフラだし、1人で電車乗せるの不安だしな。あ、俺ん家くる?飲み直し」 『え、いや、それは、』 「明日休みだろ?」 『そうだけど、』 お泊まりはできない、 だって、お酒飲んでるし 今日はおねしょしちゃう気がする けど、汰一におねしょしちゃうから泊まれないって言うのは恥ずかしいな、 『えっと、おれ、かえろうかな、』 「なんで?」 『それは、いえのひと、しんぱい、するかも、』 「心配って大人だろ?」 『そ、うだ、けど、』 「いいじゃん、…かえる?」 『今日は、泊まるって言ってないから…今度にする、』 「そっか、じゃあそうしよ。タクシーの所まで送る」 と、汰一が言ってくれて ちょっと申し訳無くなったけど 汰一の後ろをついて歩き出した時だ なんだか じわじわと下半身が暖かくなる 『あれ?』 なんだ?と下を向くと じわ、と太ももの内側のところが温かくなって じわじわと履いていたズボンにシミを作る とおれが立ち止まった事に不思議に思った汰一が振り返って 「え、?…あ、濡れて…漏らしたの?」 と、おれの下半身を見て言う 『えっ、うそ、なんで、』 と、慌てて股間を掴むけどもう遅くて ぴちゃぴちゃ、と水が2滴ぐらいこぼれた所でおしっこは止まった 「あー、どうした?大丈夫?じゃ、ないよなぁ…酔っちゃったか?」 『ご、ごめん、えっと、』 どうしよう、とじわりと涙が滲んだ もらした、外で しかも汰一の前で、 「と、とりあえず俺ん家行くか?近いし…」 『ご、ごめん、かえる、』 「いや、そんなんでどうやって帰るんだよ、つかとりあえず来い。人の目もあるし」 と、腕を引かれてどんどん進む汰一に連れられて歩いていく 『ちょ、た、汰一、おれ、かえるっ…も、らしたし、』 「いや、だから、そんなんでタクシー乗れねえだろ」 『むかえ、きてもらうから、』 「いや、同居人にそんな姿見せんのかよ」 と、グイグイともう引きずられるように 汰一の家まで連れてかれる きょうへいに、おもらし姿なんて見られ慣れていた、 あいたいな、きょうへいに、あいたい 濡れて恥ずかしいの、早くキレイにして欲しい 汰一の家までは急いで来たから10分しないくらいだったけど その間汰一はずっとおれの腕を引いてくれていた 『いえ、ちかい、ね、』 「あー、うん、よかった、近くて」 「とりあえず風呂入っちゃいな、着替え適当に出しとくから」 と、家に着くとすぐにお風呂まで案内してくれる ここまで来ちゃったらお風呂借りるしかない、と 言われた通りさっさと服を脱いで パンツだけになると パンツが水を吸ってたっぷたぷになってるのがわかる これ、洗った方がいいのかな とりあえず漏らしてしまった下半身だけさっさと洗って出ると タオルと新しそうなパンツとジャージが用意してあった 『……、』 なさけない、申し訳ない、と思いながら それを身につけてリビングだと思われる方を覗く 『たいちー?』 「おお、祈織でた?早いな」 『汚れたところだけ洗ったから、』 「そっか」 『…あのさ、』 「どうした?」 『…着替え、ありがとう』 「おお。気にすんな。よく考えてみれば祈織昔からトイレ近かったし、よく漏らしてたし。なんか今更」 『…そういうこというなよ、漏らしてないし、』 ちびったくらいじゃん。汰一の前では 「ごめんごめん。大丈夫?気持ち悪かったりねえ?」 『…うん、大丈夫。あのさ、』 「なに?」 『袋、くれない?コンビニとかのやつ』 「なに?いいけどどうした?吐きそう?」 『いや、ちがう。パンツとズボン……濡れたやつ、持って帰るから』 「は?いいよ、そんなん。洗濯するから朝かわいたら履いて帰ればいいじゃん」 『…ううん、やっぱり帰ることにしたから』 「いや、もう遅いだろ?なんで?」 『…今更だから、いうけど。おれ、お酒飲むとおねしょするから、あんまりお泊まりしたくない』 「は?おね、」 『もらしたの、見られたし……汰一友達だから、』 「な、に?おねしょすんの?」 『うん。だからごめん。やっぱり帰る、』 「え、いや、俺は、……気にしねえけど」 『……でも、ごめん、今日は帰る、また今度遊んで』 「わかったよ、気をつけてな。大丈夫?タクシー呼ぼうか?」 と、汰一は笑っておれの頭を撫でてくれた おもらししたのに、汰一優しい、 『あ、ありがとう。今度会った時にかえすね、借りた服』 「おお、気をつけろよ」 『んー、ありがとう』 タクシーは断って 袋をもらって濡らしてしまった物を入れて 汰一に手を振って汰一の家を後にした 汰一助けてくれて嬉しかったし 汰一に言ったお泊まりできない理由は本当だけど それよりも何よりも 今は早くきょうへいに会いたかった

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