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第123話

祈織おっせえ、連絡もないし、 と、時刻は23時40分 いや、友達同士で遊んでるところに水をさすのはちょっと気が引けるが やっぱり心配でついついLINEを送ってしまう だって相手はあの祈織に告白した友達だし… 今はもう普通の友達かもしれねえけど……… 何時頃帰るか分かったら連絡して と、束縛にならないようにちょっと考えつつも束縛のようなメッセージを送ってしまって少し後悔したがすぐに 今、家に帰ろうとしてるとこ、もうタクシー拾う と、返信があり、とりあえず安心する つかタクシーじゃなくて迎えに行くし、と すぐに電話をかける 「もしもし、タクシー拾った?」 『え、いや、いまひろう、』 「迎えいくから。どこ?」 『え、もう遅いしいいよ、帰れる』 「いいから。場所送って」 『…わかった、お願いします』 と、電話を切って直ぐに ここのコンビニで待ってる と、言葉と一緒に地図が送られてきて すぐに車に向かう 大丈夫かな、漏らしてねえかな 酔ってんのかな と、もしもの時の為の色々を持って 言われたコンビニに向かう コンビニまでは20分しないくらいで コンビニの前につくと コンビニの前のポールに座るシバの姿を見つける 俺の車に気付いたようで すぐに駆け寄ってくるシバ 「お待たせ」 『きょうへい、ありがとう、来てくれて』 と、すぐに助手席に乗り込んで コンビニで買ったのかコーヒーをくれる 「案外酔っ払って無さそうだな」 と、チラッと祈織の事を見た時に違和感 「…お前、そんな服だっけ」 『きょうへい待ってたらだいぶ酔いさめた、』 「なぁ、」 と、俺の言葉は無視して窓の外を見る祈織 いや、これって… 『きょうへい、帰ったら抱っこする?』 「なに?抱っこしてえの?」 『うん』 「じゃあ抱っこしような」 『…早く帰りたいなあ』 と、シバは窓の外を見ながら呟いた 「楽しかった?」 『うん、まぁ』 「そっか、良かったな」 『本当は、ちょっと汰一の家、泊まろうと思ったんだ』 「そうなの?……まぁ、お前が泊まりたいなら……仕方ねえけど………連絡はしろよ?」 いや、やっぱり嫌かもしれない いや、嫌だな だってそいつ……昔祈織に告白したんだろ、 今は友達だとしても泊まりはちょっと嫌だな いや、かなり嫌だな 余裕ぶって連絡しろよとか言ったけど 実際に連絡きたらスマホのGP見て家まで迎えに行ってたかもしれない 『でも、きょうへいに会いたくなったから帰ってきちゃった』 「……へえ、そ、か」 と、不意に言われたかわいい言葉に動揺し なんも言葉が出てこなくなる んだよ、それ 可愛すぎんだろ…… 家の駐車場に着くと 車から降りた祈織は少し伸びをしたが なんだ、荷物が増えてるしやっぱり服が違う 『きょうへい、』 と、かわいらしくシバは傍に寄ってきて すりすりと俺の手を掴む 「なぁ、祈織、何持ってんの」 『……へや、ついてから、』 「…わかったよ」 と、エレベーターで上がり部屋まで行き リビングに向かうと 大きめのコンビニ袋を持ってもじもじしてる祈織 「祈織。抱っこすんだろ」 『…する、』 「その前に言うことあるだろ?」 と、ソファに座って その前にシバを立たせて視線から逃げられないようにすると シバは顔を逸らしてコンビニ袋を差し出す それを受け取るとずっしりと重みがある事が分かる 「どうした?これ」 と、袋を開きながら聞いてみると 袋の中は案の定 ぐっしょりと濡れているパンツとズボン そしておしっこのにおいがする 『…ごめんなさい、おれ、外で、おもらし、した、』 「どこで?」 『…居酒屋でて、すぐに、』 「お酒飲んだんだろ?おしっこちゃんと行かなかったの?」 『い、行った!でも、トイレの前でちょっとだけ、パンツに出ちゃった』 「ちょっと?」 『…トイレ、行ったあと、お店出て……汰一が酔っ払ってるからって水くれたから』 「うん、」 『酔っ払ってんの、なおしたくて水いっぱい飲んだ』 「それで?」 『……そしたら、パンツさっき濡れちゃってたからよくわかんなくて…いつの間にか全部でちゃった、』 「そっか、じゃあ祈織友達の前で外でおもらししちゃったんだな?」 なんだこれ、 なんかすげえムカつく 俺のいない所で祈織がおもらしして、 俺以外のやつに祈織のおもらし姿を見られたっていうのが こいつだって外でおもらししてショック受けてるのについつい意地悪をしてしまう 『だって、』 「その友達以外にも見られた?漏らしたの」 『…パンツと、ズボンがびしゃびしゃになった所でおしっこ終わったから…多分汰一以外には見られてない、』 そういや靴は濡れてなかったもんな 「そっか。びしゃびしゃになってその着替えどうした?」 『…汰一の家が近くだったから、シャワーとか着替えとか貸してくれた、』 いや、しょうがないし そうするしか無かったって言うこともわかるのになんで俺イライラしてんだ すっげえ心狭いじゃねえか… 『ごめんなさい、きょうへい、おれ、外でおもらししました』 犬の癖なのか お座りの姿勢になって 俺の事を見上げながらもう一度謝ってくるから 「そっか。シバ。ちゃんと言えてえらいな」 と、シバの頭を撫でてやる 『おれ、おもらしして、なさけないし、悲しかったから…すぐにきょうへいに会いたくなって…泊まんのやめてすぐに帰ってきたんだ』 「俺に会いたくなったの?」 『…うん、きょうへいに、おもらししたって言うの恥ずかしいし…怒られるってわかってたけど、早くきょうへいに会いたかった』 いや、なんでそんなよくわかんねえけどかわいいこと言ってんだこいつ 「…祈織、ごめんな、怒って。辛かったもんな」 『おれが、わるいこと、したから』 「祈織、約束してたな、抱っこしよ」 『怒ってるの、許してくれた?』 「祈織はちゃんと謝ったもんな。俺が八つ当たりしてただけだよ」 『八つ当たり?』 「…ほら、抱っこ」 と、手を広げるとシバはすぐに抱きついてきて 「あ、その前に着替えよ。お前また漏らす」 『も、う漏らさないし』 「友達に借りた服だろ」 『…うん、でも抱っこ、』 と、ようやく抱っこしてもらえると思ったのに 想わぬすんどめで愚図り始めてしまったから 「じゃあ抱っこで下お着替えしようなー」 と、すぐにそのままパンツとジャージをまとめて下ろして 机の下のカゴから履くタイプのおむつをだして とりあえず履かせておく 『きょうへい、だっこ、はやく、なぁあ』 「抱っこしてんだろ?」 『でもやだ、もっとすりすりすんの、』 「どうした、赤ちゃんかよ」 『ちっげえもん、おれがどれだけ我慢したかきょうへいわかんないじゃん』 何をだよ、と少し笑いそうになりながらも 背中を撫でてやると ようやく落ち着いた様で 身体から力を抜く 『うーん、もう眠い』 「風呂は?」 『汰一の所で軽くシャワー浴びた』 「うん、じゃあ歯だけ磨いて寝ようなー。明日休みだしゆっくりしよ」 『ねえ、おれのこと寝かせんの?』 「なんで?」 『せっかく明日休みなのにエッチしねえの?』 「…お前今日酔ってるから。おしっこ漏らすだろ」 『…だって、それは…』 「明日しよ、今日はお前もう眠くてぐずぐずだし」 『…きょうへいに優しくして欲しいのに』 「ぎゅってして寝るから。優しくするぞ?」 『ん、じゃあそうする』 と、納得してくれた所で 歯を磨きに洗面所に連れていった 今更ながら酒飲むとより甘えん坊になるな、こいつ 寝る前にトイレ行ってくれるかなー

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