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第126話

昨日の夜祈織とケンカをしてしまった まぁまたゴム付けてやったら 機嫌を損ねたんだが… いや、祈織にしたらその方がいいじゃん。セーフセックスだろ その方が楽だろうし… 今日は休みだから1日機嫌とるかなー そんな事を考え 先に目を覚まして身支度を整えていた時だ 『なぁ、きょうへい。おれ実家帰ることにした』 と、もぞもぞと起き出してきた祈織は 欠伸をしながらぐしぐしと目を擦り そんな事を言い出した なんだ、帰るって 出ていくって事か? 「は?なんで?どうした、急に。なんで?」 そんなに昨日のセーフセックスが気に食わなかったのだろうか、と 頭が回らないでいた 『ええ?普通に帰るだけだよ?』 「帰るってなんで?理由は?」 『いや、ちょっとお父さんぎっくり腰になったみたい』 「……え?」 『もう歳だな、お父さん』 「え?なに?帰省するって話?」 と、そこでようやく勘違いに気付く 別に昨日のセーフセックスで機嫌を損ねたからここを出ていくという訳じゃなかった ただ単に帰省するという話をしていただけだ なんならきっと昨日寝る前機嫌を損ねた事はもうすっかり忘れている様だ 『うん。まぁ電車で20分しないくらいだから帰省って程でもないけど』 「……お前ん家川崎だっけ。いいよ。送ってく」 『別に行けるよ』 「1人で電車乗れねえだろ、お前」 『…そうだけど……あ、じゃあきょうへいも一緒にくる?なんもねえけど』 「は?なんで?」 『なんでってべつに?きょうへいだっておれのこと実家連れてってくれんじゃん』 「いや、それは年末年始じゃん。迷惑だろ、お父さん大変な時に行ったら」 『なんか男手欲しいって言ってたからいいんじゃん?』 「いや、急に行ったら迷惑じゃねえの?」 『あー、じゃあ連絡しとく』 と、LINEをさっさと送ってしまう 『お、待ってるって』 「ええ、行かなきゃじゃん」 『いや?』 「嫌じゃないけど緊張すんだろ」 『なんで?』 「なんでって。…髭剃ろ」 これはもう行くやつだな、と 休みだから剃らなかった髭を剃りに洗面所に戻ると祈織も着いてきてシャワーを浴びるのか服を脱ぎ始めた 「おねしょは?してねえ?」 『うん、してない』 「お、1週間じゃん。えらいな、お前」 『おねしょしないの思い出したからなー』 と、嬉しそうにパンツを脱ぎ捨てるから 「ほら、シャワーの前におしっこいっといで。じゃないとシャワーの途中で出ちゃうだろ」 『えええ、めんどくさ』 「お前最近シャワーするとすぐおしっこするからそれも気を付けろよ」 『…わかったよ』 と、しぶしぶと言った感じで裸のままトイレに行ってから戻って来てシャワーを浴びた 「お前ん家住所どこ?つか駐車場ある?」 シャワーから出てきた祈織に聞いてみるが あんまり考えていない様子だ 『あー、家にはない。うちの車停まってる』 「タイムズとか近くにあるか?」 『それは多分ある』 と、住所を聞いて調べる 車だと40分くらいか これならトイレも多分大丈夫だな。念の為1回休憩挟むか なんか嫌に緊張するな スーツとか着てった方がいいのか?いや、変か 男手必要ってなんかやるのか? それなら動きやすい方がいいよな? そんな事をごちゃごちゃ考えているうちに祈織は出てきて 「あ、土産とか持ってった方がいいよな?お前の家何が好き?甘い物苦手とかあるか?」 『甘い物好きだと思うけど別にいいよ、そんなん。近くだし』 「ええ、でも必要だろ…」 『つか家帰んの久しぶりだなー』 「…そういやお前全然実家帰らねえよな?」 『うん。3年振りくらい』 「いや、帰れよ。近いんだから」 確か1回姉ちゃんに赤ちゃん産まれたって帰ったことあったな? 『ええ?だって帰る理由なくない?』 「親だってお前の顔見たいだろ」 『孫ができてからおれなんてほっぽらかしだよ、うちの家』 「いや、一人息子だろ、お前」 『つかきょうへい着替えないの?』 「…いや、何着てこうか迷って」 『なんでもいいけど、別に。あ、なんか、家具動かすの手伝って欲しいっていってた。お風呂リフォームするんだって』 「じゃあ動きやすい方がいいか」 『まぁ、普通ので…ってきょうへいスーツなんか着てこうとしてたの?』 と、かけてあるスーツを見られて軽く引かれる 「いや、初めて実家行くんだからそうだろ…大事な息子預かってんだし」 『そっか?いや、そうなんだ』 「そうだろ」 『きょうへい緊張してんの変な感じ。おれまでもぞもぞしちゃうじゃん』 「…やめろよ、なんか変な空気になんだろ」 なんか付き合ってる相手の家に挨拶行くみたいな空気になってんじゃん… いや、そうなのか? いや、違うか? …まぁ言われた通り普通の服、と ちょっとちゃんとした普通の服を選んで 着替えて 『きょうへーい、朝ごはん食べてこ。昼ごはん?』 「おぉ、そうだな」 と、道中で朝飯兼昼飯を食って お土産を買っていく事を決めて 祈織の身支度が整い次第向かう事にした 「…なぁ、タバコ吸っていいか?」 『やめたじゃん、きょうへい』 「…いや、落ち着かねえから」 『なんで?なんかすげえ緊張してんの?』 「するだろ、」 『…しょうがないからいいよ、吸っても』 と、許可を得てコンビニに寄ってタバコを買おうとすると祈織も着いてきて 「358番」 と、タバコとライターを買って外の灰皿の前で火をつけると 『おれもすう!』 と、俺の手からタバコを奪う 「いや、やめとけよ。おいしくないぞ」 『きょうへいだけ吸うの嫌なんだもん』 「…お前はやめとけって、身体に悪いし」 『…だから吸うんじゃん』 と、俺の言うことを聞かずに タバコに火をつけ吸うから ごほごほとむせていた 「ばか、まずいだろ、こんなん」 『…まず、』 「やめとけ。お前は指しゃぶりしてな」 『赤ちゃんじゃねえし』 と、ぷんっとそっぽを向き またむせながらタバコを咥えた祈織 タバコあんまり吸わせたくねえんだよなあ 身体に悪いし と、自分の事は棚に上げ 祈織の頭を撫でた

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