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第137話
「…忘れてた」
と、高橋からのLINEを見て思い出す
合コンのセッティング、
頼まれていたんだった
「ヤナギ、ちょっといいか」
「はい、なんでしょう」
「仕事の事じゃねえんだけど…」
と、仕事の合間にヤナギを誘い出し
相談をしてみる事にした
「…ていう経緯で紹介?というか合コンセッティングする事になったんだけどヤナギ行けないか?瀧とか誘って」
「合コンっすか?しばらく行ってないけどいいですよ。瀧とかも喜ぶと思いますよー」
「おお、行ってくれんの?」
「はい、社長の頼みですし」
「助かる。じゃあ領収書だけ貰ってきてくれるか?店とかめんどくさかったら俺が予約しとくし」
「じゃあ俺も探してみますので何件かピックアップして社長にご相談しますね。お相手の方の好みとか社長のが分かると思うので」
「あぁ、お前がいてくれて本当良かった」
「そんな大袈裟な。やっぱりシバくんとかには言えないんですか?」
「あいつには言えねえって。ヤナギもシバには内緒にしといてな」
「はーい、了解っす。なんかあったらまたご相談しますね」
と、ヤナギが社長室から出ていくタイミングで入れ替わりでシバが入ってくる
『…ヤナギさん、きてたの?』
「…あぁ、サンプル持ってきてくれたんだよ」
『ふーん、』
この前お見合いの件で心配させたばっかりだ
余計な心配かけさせないでおこうと
祈織には言わずに誤魔化すことにした
まぁ俺が行くわけじゃねえし…
「シバ次送迎入れてるだろ。行く前にトイレいっときな」
と、言うと何故か睨んでくる
「なに?どうした?」
『…なんでシバって呼ぶの?2人なのに』
「あぁ、ヤナギと話してたから」
『…ふーん、』
と、どうやらお気に召さない様子だ
「祈織、今日帰ったらお前の好きな物にしよ。何がいい?晩飯」
『しゅうまい、』
「焼売かーそしたら買っとくから持って帰ろ」
そしたら行っといで、と
背中を押してとりあえずトイレに行かせようとしたが
『トイレ今行ってきた』
「あぁ、そうだったか」
『…きょうへい、』
と、何か言いたげだから
1度待ってみる
「どうした?」
『…パンツ、』
「パンツ?」
『濡れたんだけど、』
「あー、なに?おしっこ漏らしちゃってたか?パンツ替えよ」
『漏らしてない、濡れただけ』
と、膨れて言う
ちょっと間に合わなかっただけだから本人的にはセーフなんだろう
嫌がるしださいからやめていた白ブリーフをそろそろ復活させてやろうかと
ちょっと意地悪な事を考えつつ
祈織のベルトを外してパンツを確認する
あー、結構出ちゃってんな
最近結構調子良かったし
家で漏らしてからは失敗なかったのに
「ここの所調子良かったのになー」
ズボンもそのまま脱がせて
タオルを濡らして、
濡らしてしまった所を拭いてやる
『…だって、』
おねしょは相変わらずしたりしなかったりだが
増えている気もしていた
「あー、もうすぐ俺の誕生日か」
『…おれのおもらしで誕生日実感すんのやめてくんない?』
「ごめんごめん。寒くなってきからなって」
送迎行くから念の為、とトレーニングパンツを履かせてやると
やっぱりお気に召さない様で
もしゃもしゃと少し股間のもこもこしている部分を触ったがそのままスーツも履かせてやって
ベルトまで閉める
「おいしい焼売調べとくから」
『…うん』
「お前焼売もすきだよな」
『皮がすき』
「肉まんとか小籠包は?」
『好き』
「今度中華街行くか」
『昔遠足で行ったことある』
「へえ、俺もずっと行ってねえや」
身なりが整ったところで祈織の顔を見るが
まだやっぱり浮かない顔をしていた
「どうした?元気ねえな」
『…べつに、いつもこんなもんだよ』
「そうだっけ。せっかく顔いいんだからもっとかわいい顔しとけ」
と、ちょっとだけほっぺたを摘んでやる
『きょうへいおれのことかわいいっていうよね』
「…そりゃそうだろ」
『かわいいの好きなの?』
「まぁかわいくねえよりかわいい方がすきだな」
『おれが1番かわいい?』
「なんだよそれ」
なんでそんな恥ずかしい事聞いてくるんだ?
よく考えないで言ったかわいい顔という言葉に少し後悔しつつ
頭を撫でてやる
「ほら、送迎もう時間だろ。行っといで」
『…わかったよもう』
と、ちょっと膨れながらも部屋から出ていく祈織
そりゃもうお前が1番かわいいに決まってるけど
そんなかわいいとか言うの照れるだろ
と、そこまで考えた所で
この前高橋に言われた言葉を思い出す
「久我くん全然言葉にしてくれなかったし」
「だから不安になるんだよ、久我くんと付き合う女の子は」
あいつ戻ってきたらちゃんと言ってやろ
祈織が1番かわいいに決まってるって
この前だってお見合いの事で不安にさせたばっかりだ
ちゃんと伝えなきゃいけねえな
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