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第146話

昨日からずっと違和感みたいな物があって 朝からずっと考えていた 祈織って俺以外とした事ないよな? 童貞って前言ってたし 朝確認したらやっぱり童貞だったし 俺の考えすぎだよな? 昨日の祈織の言葉が妙に引っかかっているだけだった おれやっぱり、 きょうへいにこうしてもらうのが1番好き そりゃそうだろ、 俺意外とお前した事ないだろって、 考えすぎだと思う ただ、なんだって、 1番好きって いちばんって、2番とかあるのか? いや、ただの言い回しの問題だよな? それか自分でやるよりって事だよな? 考え事をしていたせいで 朝祈織の機嫌を損ねたが 会社に着いてから少し会話をしているうちに祈織の機嫌も直り 今は送迎に行っていた はぁ、とため息をついたタイミングだ 「しゃちょおー、ちょっとこんど瀧さんといく出張の件で」 と、あきらくんが入ってきた 「あぁ、長野の出張な」 「はい!」 「ちょっと待ってな。ええー、資料どこしまったっけ。あー、シバに持たせたままだ。待って。原本あったはず」 と、ガサガサと急いで資料を探しても出てこない どこやったっけな 「なんか散らかってますね、ここ」 「…あー、そうだな」 「めずらしい」 「あ、あったあった」 はい、と資料を渡す 「いおりんとケンカでもしました?」 「…いやべつに、」 「いおりんもさっきなんか泣いてたよ」 「は?仕事始める前には機嫌直ってたぞ」 「なんちゃって」 と、言ったところで あきらくんがにやりと笑った 「…騙したな」 「ええ?」 「…べつにケンカしてねえって」 「なんかあったんすか?」 「…いや、あきらくんに言う話じゃねえし」 「なんで?オレいおりんの友達ですよ」 「…いや、ただの俺の考えすぎなだけだから」 「ええ?いおりんなんかしたの?」 「…いや、あきらくんに聞くのはあれだと思うが」 「はい、なんでも聞いて」 「あいつ…浮気とかしてねえよな?」 「ええ、いおりんが?する訳ないじゃん。社長にべったりなのに」 「いや、うん、それならいいけど」 「なんでそんなよくわかんない事考えてるんですか?いおりん浮気なんて、…あ」 「…あ?」 「いや、浮気って気持ちの問題じゃないですか?」 「なに?なんか知ってんの?」 「いおりんと約束だからなんも言えない」 「なんだそれ…言え」 「…じゃあオレ仕事戻ります!」 と、あきらくんは逃げるように社長室から出ていった やっぱり何かあるのか と、不穏な感情が広がる ◆◇ 『きょうへい、先に帰るよね?』 と、ひょっこりと顔を出した祈織 「あ、あぁ、」 あの後まともに仕事が手につかなかった 『おれ今日やっぱりご飯食べて帰るから、先食べてていいよ』 「誰と?」 『誰って、あきらくん。なんか誘われたから』 「そっか、」 あきらくんか、とさっきのあきらくんの不審な行動を嫌でも思い出してしまう 『きょうへい?どうかした?』 「…祈織、お前」 『うん?』 「浮気した?」 『…は?』 「いや、悪い、変なこと言ったな」 きょとんとした祈織に やっぱり勘違いだった、と訂正しようとした時だ 『……、え、と』 と、すぐに目を泳がす そして、 『…あきらくんから、なんか聞いた?』 「いや、なにも、」 聞いてない、 あきらくんは結局言わなかったから 『…ちがう、しなかったから、おれ、ちがうって思ったから』 「しなかったのか?浮気」 『…おれ、きょうへい以外の人とするの、やっぱり浮気なの?』 「…何したんだ?」 『いわなきゃ、ダメなの?』 「言え」 『だって、おれ、きょうへいと……つきあってねえじゃん、』 「は?」 『だから、ダメってわかんなかったんだよ、そんなん、』 と、祈織は目を逸らしながら言った いや、たしかに付き合ってねえけど 言わなくてもわかってんだろ 俺はお前の事が好きだし お前だって俺の事を好きだと思っていた だから、そんなんわざわざ言わなくてもわかってると思っていたが 俺の勘違いだったようだ 祈織は俺以外とそういう事をしても なんとも思わないのか? 『でも、おれ、』 「…もういい。出てけ」 『え、きょうへ、…ねえ、ごめん、おこらないで。おれちゃんと謝るから』 「祈織。今は1人にして」 『え?なんで?きょうへい、おれ、きょうへいと一緒に、』 「…祈織、」 『やだ、きょうへい、』 「祈織、俺今1人になりてえんだけど」 と、もう一度伝えると 俺の腕に伸びかけていた祈織の手がビクリと止まった そして、祈織を残し社長室を後にした 色々、1人で考えたかった

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