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第147話

きょうへいを怒らせた きょうへいを怒らせてしまった どうしよう、どうしよう と、いつまでその状態でいたのだろうが 「あ、いおりんいたいた。もうすぐ資料終わるからそしたらご飯いこ、奢るから」 『……』 「いおりん?」 『おまえ、きょうへいになんか言った?』 「………だから謝ろうと思ってたけどご飯誘ったんじゃん」 『言わないって約束しただろ!なんで言うんだよ!』 「だから…言っては、ないし…」 『もうあきらくんなんか嫌いだ、おれと関わんな』 「ちょ、いおりん!」 早く帰ろう、早く帰ってきょうへいにちゃんと謝らなきゃ そう思って 急いで車に向かった きょうへいに謝らなきゃ 急いで家に帰って車を駐車場に停めて気付いた きょうへいの車が無い 『なんで、』 どうしよう、どうしようと思いながらも すぐにきょうへいに電話をかけたが 繋がらなくて 何回もかけたけどきょうへいは出なくて 諦めて留守電にメッセージを残す 『きょうへい、おれ、帰ったけど……きょうへい、どこいってんの、おれ、きょうへいに話したいんだけど、…話したいっていうか、』 と、続きを伝えようとしたが 留守電の時間になってしまい 続きを伝えられなかった 探しに行こうか いや、でも帰ってきたきょうへいとすれ違いになるかもしれない ここにいてもどうしようもないから 部屋に戻って見ることにして 1度部屋に戻るが 当たり前のように鍵がかかっていて 電気が着いていなくて いつもの部屋なのに 寂しく見えた おれきょうへいいないとやだ と、LINEを送ろうとしたけど 送るのをやめた おれはきょうへいがいないといやだけど きょうへいはおれと一緒にいたくないんだ だから、帰ってこないんだ おれが、きょうへいのいやなことしたから でも、きょうへいが嫌だってわからなかった おれはきょうへいの事が好きだけど きょうへいはおれのこと、別に好きじゃねえし だから、 おれがきょうへい以外の人とえろい事しても きょうへいがいやなんて分からなかったんだ だって、きょうへいはおれの事、すきじゃないから ペットだから仕方なく一緒にいてくれるだけなのに それなのに、おれはきょうへいのいやなことをしてしまった 捨てられるのかもしれない もう、きょうへいはおれのこと要らなくなったんだ 『痛っ、てぇ…』 なんだこれ、 胸の奥、なんだかものすごく痛い なにこれ、 こんな痛いの、知らない 痛すぎて、涙が滲んだけど おれが泣くなんてちがう気がして 涙を飲み込んだ おれ、きょうへいに捨てられたくない きょうへい、 心配だから連絡して きょうへいが嫌ならおれが外いくから帰ってきて と、LINEだけして もう電話するのはやめた ◇◆ 今日は色々1人で考える 明日には帰るから心配すんな。 お前は家にいな と、きょうへいから返信がきて 返せなくなって 朝までずっときょうへいを待っていた 昨日の夜も何にも食べてないのにお腹は空いてなくて 寝る事もできなくて ずっとテレビを流しっぱなしのままソファに座っていた 今日は おれもきょうへいも休みだから 朝には帰ってきてくれると思っていたのに 朝になってもきょうへいは帰ってこなくて 寂しくなって玄関まで迎えに行った けどいつまで経ってもきょうへいは帰って来なくて そこでひたすらぼーっときょうへいを待っていた 不安なのかもしれない イライラしているのかもしれない なんでかじっとしてられなくて 体を前後に揺らしてしまう もしかしたら連絡くるかもしれない、と 携帯だけはずっと持っていたけど 連絡も来なくて ため息を吐いて携帯を床に置こうとした時だ 『…え?』 びしゃ、と床が濡れていた事に気が付く なんだこれ、と立ち上がると 床と下半身がびしょびしょに濡れていて しょろろ、と最後に水が零れて 床の水たまりを広げるのをやめた 『ぁ、おしっこ、』 忘れてた、行くの、 どうしよう、びしょびしょになってる なんで、おしっこしたいの気付かなかったんだ ますます自分がいやになる、 体、ゆらゆらしてたの、おしっこしたかったからだと今更気付いた きょうへい帰って来る前に片付けなきゃ 呆れられる、 とりあえず早くタオル、とびしゃ、と水たまりを広げた時だ ガチャりという音と共に おれの待ち望んでいた人、 きょうへいが帰ってきた 『きょ、』 「あ、漏らした?間に合わなかったか?ちょい待て、タオル取ってくるから」 『え、あ、自分でやるから、』 「お前歩くとびしゃびしゃになるだろ、片付ける所増えるから」 と、言われてしまって 大人しくそのまま待つことしか出来なかった 『きょうへ、…あの、』 「おねしょは?してねえの?ベッド大丈夫か?」 『…寝てないから、してない、』 嫌われる、きょうへいに 捨てられるんだ、こんなやつ 『あ、自分で、拭くから』 と、持ってきてくれた タオルを受け取って パンツとスウェットを脱いで 下半身は自分で拭く 「ほら、脚は拭いてやるからシャワー浴びてきな」 と、きょうへいはいつもみたいに言うけど いつもと違って目を合わせてくれない 「どうせ昨日帰ってから風呂も入ってないだろ」 『…うん、でも、』 「あと片付けとくから」 『…きょうへい、待っててくれる?』 「…あぁ、待ってる。ここも片付けなきゃなんねえし」 『…すぐ、シャワー浴びてくる、』 早くシャワー浴びて きょうへいにちゃんと謝らなきゃ せっかくきょうへいが帰ってきてくれたんだ

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