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第152話

(※嘔吐描写注意) 「ごめんな、ヤナギ。明日でも大丈夫な仕事は全部置いといていいから。ちょっと俺もシバも今日は無理そう」 寝ようと思っていたのに寝れなくて うとうとしているときょうへいがヤナギさんと電話する声がする おれが体調崩したせいで 仕事も行けなくなって 迷惑かけてる きょうへいに迷惑なんてかけたくない わがままだって言いたくないのに 嫌われたくないのに 自分ではどうしようもできなくなってるのが嫌で仕方ない 『……きょうへい、』 「あぁ、目覚めたか?」 『うん、』 本当は寝れなかったけど 「なんか飲むか?水しか今ねえけど」 『その前に、おしっこ、』 「あぁ、おしっこな。トイレ行けそうか?」 『うん』 起き上がってみたけど やっぱりまだ身体がだるくて きょうへいが支えてくれるけど 大丈夫、と伝えて 1人でトイレに行って フラフラするから座っておしっこをした 「おしっこ間に合ったか?」 『…間に合ったし、』 「そっか。どうする?マシになったなら家帰ろうか、その方がお前ゆっくりできるだろ」 『…うん、』 「じゃあ帰り道なんか食いもんとか買って帰ろうな」 『きょうへいも、一緒にかえるの?』 「当たり前だろ」 『…しごと、行けば?』 「なんでだよ?一緒にいるって言ったろ」 『もう…大丈夫だし』 「いや、一緒に帰る。だいたいこっからどうやって帰るんだよ、車ないだろ」 『タクシー乗る』 「タクシーでまた気持ち悪くなったら大変だろ。ほら、帰るなら行くぞ」 と、きょうへいは荷物を持って おれのジャケットも持ってくれて でもちょっと怒ってるのかおれの顔を見ないで歩き出した やっぱりおれのせいで仕事行けないのイライラしてるのかも 『……きょうへい、やっぱり大丈夫だから、仕事行って大丈夫、』 「お前なんなんだよ。さっきまではちょっとでも離れようとしたら怒ったくせに急に仕事行っていいとか言い出して」 『…それは、……もう、大丈夫だから、』 「大丈夫じゃねえだろ。そんなダルそうな顔して。帰るぞ」 と、きょうへいはおれの腕を強く引いたからなんにも言えなくなってついて行くしか出来なくなる きょうへいを余計怒らせた、 きょうへいイライラしてるし、 『…怒んないでよ、』 「怒ってねえよ」 『イライラ、してんじゃん』 「………」 きょうへいはなんにも言わずに おれの手を引いて 車に乗せると何も言わずに車を発車させた 余計怒らせてしまった、と悲しくて 黙って車に乗っていて窓の外を眺めていたけど やっぱり体調悪いのは治って無くて 車に揺られているうちに気持ち悪くなってしまう どうしよう、1度車を停めてもらおう迷ったけど そんな事したらどんどんきょうへいが仕事行くのが遅くなるから 我慢するけど気持ち悪くて 口を抑えていた 我慢、できる そう思っていたのに 胃がびくびくと動いて せり上がってくる感じ そして、 『…ぅえ、っ、』 ばしゃっと、手の中に溢れて びしゃっとワイシャツとスーツにかかる 苦しくてさらにげほごほとむせてしまうけど くるして息も出来なくて 混乱する どうしよう、吐いちゃった 汚しちゃう、まだでるかも 「あ!?大丈夫か!?」 と、直ぐにきょうへいが気付いてくれて タオルを渡されてきょうへいは直ぐに車を止めた 「あー、気持ち悪かったか、苦しかったな」 と、びっくりしてなんにもできないおれの口元に袋を開くけど もう出ない、と首を横に振ると 『きょ、』 「びっくりしちゃったな?大丈夫だから」 『あ、え、っと、』 「もう出ないか?」 と、聞かれ頷くと 汚してしまった顔と手を拭かれる 『きたない、から』 「そんな事よりお前が辛いだろ」 と、汚したスーツも拭いてくれる 『…ごめんなさい、』 「とりあえず家帰るけど車を動かして大丈夫か?気持ち悪くなったらすぐにいいな」 『うん、』 「窓開けておくから」 と、窓を開けてくれて 顔に風が当たると少しだけ楽になる 『ごめんなさい、』 また、迷惑かけた 「ごめんな、俺のせいで気持ち悪いの言いだせなかったよな」 『…だって、』 「やっぱり今日は帰ってゆっくりしよ」 『…きょうへい、ごめん、』 早く帰りたい、 汚してしまった服が気持ち悪い、 悔しくて泣きたくなる どうしよう、ときょうへいの顔を見ていると きょうへいも困った顔でおれの顔を見たあと 「ふっ、」 と、不意に笑った 『…え?』 「いや、情けねえ顔してるなって。ごめんな辛くてかわいそうなのに」 と、きょうへいは笑っておれの頭を撫でてくれる 『うん、いいよ、』 ようやく、笑ってくれた きょうへいが笑ってくれるの、嬉しい 「帰ったらすぐキレイにしてやるからちょっとだけ我慢な」 と、おれの頭を撫でて 車を発進させた なんだろ、 さっきまではずっともやもやしてたの ちょっとだけすっきりした 吐いたからかな? 『きょうへい笑った』 「お前だって今嬉しそうな顔してんじゃん。吐いてたのに」 『吐いたら治った』 「食ってなかったから逆に出なくて良かったな」 『うん』 なんか、きょうへいが笑ってくれたらなんでもよくなっちゃった 『きょうへい?』 「どうした?」 『やっぱり、帰っても仕事行かないで。おれと一緒にいて』 「だからさっきからずっとそう言ってるだろ?」 『そうだけど……明日、おれいっぱいちゃんと仕事やるから』 「そうだな、今日は2人でゆっくりしような」 『うん、そうする』 迷惑かけたってモヤモヤして仕方なかったけど なんかもう諦めついたのかも きょうへいと一緒にいたらおれはきょうへいに迷惑かけるし、わがまま言うけど きょうへいもきっとその事、そんなに嫌って思わないでいてくれてる気がする きょうへいが笑ってくれたから 自分の事嫌な気持ちがちょっとだけマシになった

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