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第162話

「疲れたな、」 『疲れた、』 製品の方に行き 思ったより話が長くなってしまい お互いちょっとぐったりしてしまった 「1度会社戻ってさっさと帰ろ」 『うん』 と、駐車場に向かって歩き出したタイミングだ 「あ、雨」 『ほんとだ』 「急ぐぞ」 駐車場まで徒歩3分もない これぐらいの雨なら、と思ってそのまま急ぐ事を選択したが どうやらその判断は間違えだったようだ 瞬く間にバケツをひっくり返したような雨になり 2人で走ってどうにか車に乗り込むが 「結構濡れたな、タオル」 『びしょ濡れになった』 「ちょい待って」 と、急いでタオルを取り濡れた所を拭くが スーツも結構濡れてしまって とりあえずジャケットを脱いで後部座席に置く 祈織も同じく顔やら肩やら拭いていたが 「ほら、貸せ。ちゃんと頭も拭く」 と、タオルを取って拭いてやる 「シャツまで濡れたな。寒くねえ?」 『ちょっとさむい』 「祈織のお着替え適当な服ならあるから着替えとくか。お前風邪ひくだろ」 『そんな事ないよ』 そんな事あるだろ、と とりあえずジャケットを脱がして シャツを脱ぐように促し後ろから祈織の着替えのスウェットを出す おもらしした時ようにとりあえずの着替え乗せといてよかったな 『つかきょうへいもちゃんと拭きなよ。風邪ひくよ』 「俺は大して濡れてねえから平気」 『濡れてるし』 「お前と違って髪短いから頭も拭いたらマシになるし」 『風邪ひくなよ』 「お前の後にちゃんとやるから」 と、心配させないようにエアコンを強めておく 「シャツびしょ濡れになってんな。中の肌着も濡れてる?」 『うん。冷たくなってる』 「じゃあ早く着替えちゃいな」 と、まぁ人通りもない場所だが一応外から見えないようにサンシェードをかけてやると 祈織も着替えようとボタンに手をかけて何個か外したが 不意にボタンをまた留め出した 「なに?さっさと着替えろよ?やって欲しい?」 『…いや。せまいし、いい。会社ついてから着替える』 「ええ、濡れてんだろ」 『きょうへいだって濡れてるし』 「俺は大丈夫だって。そんな風邪ひかねえし着替えないし」 『それに……スウェットで会社戻ったらへんじゃん、』 「雨で濡れたってみんな思うだけだろ」 『でも、』 なんだ?着替えたくねえのか? 狭いから嫌なのかもしれない とりあえず脱がそうと ワイシャツのボタンに手をかけるが 『やだ、着替えない。会社まで平気だから』 と、タオルを肩にかけ ふん、と背中を向ける その割にはくしゅっと小さくくしゃみまでしやがって 冷えてきている事がわかる 「濡れてんだろ?お前すぐ風邪ひくからとりあえず脱ぎな。お着替えいやなら新しいタオル出すから脱いでくるまっときな」 と、譲歩して後ろからタオルをとろうと身を乗り出すが 『いや。平気だもん』 「平気じゃねえって。冷えるとおしっこもしたくなるだろ」 『今したくないし』 と、急にきたイヤイヤ期にため息が出てしまう 「…祈織、とりあえず脱ぎな。濡れてんだから」 『…やだ、』 と、頑なで とりあえず俺だけさっさと拭くが 「なんで脱ぎたくねえの?」 『…せまいし…恥ずかしいから嫌なんだもん』 と、タオルにくるまった 恥ずかしいって今更すぎるだろ おむつ替えとか車でもしてるし 「わかった、もう会社帰るから帰ったらすぐお着替えな」 『…うん、』 と、下を向いていて頷いて 何やらしょぼんとしていた さっさと帰って着替えさせようと決め しばらく車を走らせた しかし20分くらいたった頃から もじもじと祈織が腰を揺らし始めたことに気付く 「…祈織、おしっこ?」 『…ちがう、』 「違くねえだろ。だから冷えるって言ったのに」 とため息が出てしまう 会社まであと10分くらいか 「どっか寄るから我慢できるか?」 『…おしっこじゃねえもん、違うし』 「嘘つけ」 『ちがうし。会社まで我慢できるし』 「違うのに何を我慢すんだよ」 『…ちがうし、』 「違うならトイレ寄らねえけどどうすんの?おもらししちゃうぞ」 『しない、』 「おもらしして車びしゃびしゃになったら明日祈織が運転で行くことになるけどいいのか?」 『だって…おしっこじゃねえもん』 この感じだとコンビニとか行ってもトイレ行かねえだろうな… 諦めてそのまま会社まで急ぐことにしたが 『んっ、』 と、時折波が来るのか 俺の目を盗んで股間を抑えどうにか耐えている様でおしっこしたいのは明らかだった 『くしっ、ぁ、』 と、くしゃみをしてすぐにまた股間を抑える あー、もうちょっとずつ出てんな、これは 「もうすぐ着くから。あとちょっと我慢な」 そう言ってやると ようやく小さく頷いて下を向いていた ちょっとでも動いたら出てしまうのか 会社に着くまでピクリとも動かず しっかりと股間を抑えていて ようやく会社に着いたタイミングで 祈織のジャケットと荷物を持ってやって降りるように促すと 膀胱を刺激しないようにゆっくりと降りる祈織 「5階のトイレで大丈夫か?」 『…うん、』 と、頷いたのを確認し エレベーターの5のボタンを押して5階に着くのを待つが じっと待っているのがつらいのかもじもじと脚を動かしていてもうおもらし直前だろう 「おもらししたら困るから抑えときな」 と、俺の言葉でようやく股間を抑え どうにか耐えて5階に到着する ただ、問題はここからだ トイレが見えて気が緩むと漏らす可能がある 「まだ我慢だぞ」 と、声をかけるとゆっくりと頷いて そろそろと歩きながら どうにかトイレまで行き なかなか前が開けられず 半泣きになってたから手伝ってやると どうにかおもらしせずにトイレにおしっこを流す しゃぁあ、と勢い良くトイレに水を打ち付け 『はぁあ、』 と、気持ちよさそうに息を吐くから 間に合ったか、と俺もようやくため息を吐いた

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