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第166話

「あれ?あきらくんなんでいんの?」 と、帰ろうとしたらあきらくんにばったり会って 思わず聞いてしまう 「ええ、仕事終わってから腹痛くてずっとトイレ行ってました。今ちょっと収まってるからさっさと帰ろうと思って」 と、げっそりしながらいうあきらくん なんか悪いものでも食ったのかな? 「帰んの?」 「え?なんで?帰りますよ。腹痛いし」 「い…シバ先行ったから待ってんじゃねえの?」 「いおりん?なんで?」 「いや、今日飯食いにいく約束してんだろ?」 「え、…あー、そ、?そうだったなー、うん。腹痛すぎて忘れてたなー。うん。すぐに連絡しときます」 と、あきらくんは青い顔をしてすぐに祈織に連絡をしたようで逃げるように帰って行った そんな腹痛えのかな そしたら祈織もさっさと帰ってくるかな そしたら腹空かせてるかもしれないし 飯待ってるかなー ◇◆ いくら待っても祈織は帰ってこなくて 結構遅い時間にようやく今から帰ると連絡があった あきらくんと会わなかったって事は1人だったって事か?と疑ってしまうが 迎えはいらないとの事だったので家で待っていると 連絡が来てから割とすぐ帰ってきた祈織 「おかえり」 『ただいま、きょうへい』 と、ちょっとぼけっとした顔の祈織がいう 結構飲んでんのかな 「遅かったな」 『あきらくん、こなかったから…えっと、知り合いに会ったから』 「知り合い?なんで?」 『ぐうぜん、あったから…ご飯食べてきた。あの、駅の、アトレの所で」 「アトレ?」 『上の階の、あのメキシカンのおみせの』 「あぁ、」 と、すぐに詳しく説明してくれて 疲れた、というようにすぐにソファに座る祈織に水を渡すとやっぱり多少酔っているようですぐに水を飲む 「あぁ、あそこな。知り合い。誰?」 『…あー、こうこうの、あの汰一、』 「そっか」 まぁいいけど、となんかもやもやするけど 深く追求するのも辞めて俺も買ってきたお弁当を温める 『きょうへい今ご飯なの?』 と、服を脱ぎながら聞いてくる祈織 「あぁ、そうだけど」 『おれも腹減ったからなんかくう』 「なんで?食ってきたんじゃないの?」 『食ったんだけど、なんか、』 と、シャツを脱ぐ祈織に違和感を感じる 「あれ?お前朝とワイシャツちげえじゃん。どうした?吐いて汚した?」 『…ちがうよ、吐いてない』 「じゃあどうした?」 『…朝、汚したの、情けないから着替えた』 「いや、お前1日それで働いてたじゃん。あきらくんとの予定だったんだろ?」 『いいじゃんべつに。…えっとあれ、外歩くのいやだったからきがえたの。うん』 と、祈織はシャツをくしゃっと丸めて背中に隠して目を逸らしながらそう言った いや、そうだけど 別にいいけど…ってかこんなこと聞く俺うぜえのかな なんか今日は違和感があって思わず聞いてしまったが ウザいと思われたくないと考えすぐにその話題を辞める 「シバも食うなら冷蔵庫になんかあるから温めな」 『お。くう』 と、すぐに冷蔵庫を開けて おれが適当に買っておいたスープと惣菜を選ぶ祈織 『おれの分も買っといてくれたの?』 「あぁ。あきらくん帰ったみたいだからもしかしたら祈織も家で食うかと思って」 『…きょうへい、ごめん。ありがとね』 と、すぐ隣に座ってすりすりと寄ってくる祈織 「うん。つかめんどくさくなかったらちゃんと連絡しろよ?まぁあんまりうるさい事も言いたくねえけど…俺だって心配だし」 『ごめん。もうしないから…気をつける』 と、すぐに祈織は謝った いや、別にそんな怒ってねえけど 謝るようなことでもねえし 『でも、おれも、大人だから…大丈夫だよ。ご飯買っといてくれたのは嬉しいけど』 「…まぁ、そうだよな、」 そりゃそうか、 下の事情はどうあれ祈織はもう年齢的に見れば立派な大人だ 遊びたいざかりに決まっていた それなのに友人と遊ぶことを同居人の俺に逐一報告しろって言うのも変な話か 車のローンだって返し終わってるし 貯金だってちゃんとあるだろう 世間一般的に見れば祈織はちゃんと大人だ なのに俺が無理やりここに縛り付けている気もしてきてしまう でもやっぱり俺としてはただの同居人とは思えないからな… 「…そうだな、悪かったよ。もう言わねえから」 もやっとした物が更に広がるが 気付かない振りをして 食事を続けていると 祈織がこちらを見ていることに気付く 「どうした?」 『きょうへい、もしかして、』 「なに?」 『ご飯食べんの、おれのこと待っててくれたの?』 「…いや、べつに、まぁ」 そうだけど 『…ごめん』 「なんで謝るんだよ」 『お腹、空いてたかなって』 「いや、べつに。色々やってたらこの時間まで食えなかっただけだし」 嘘じゃねえ… まぁ祈織待ちながら色々家事とか終わらせてたってのもあるけど 「そういや、結構飲んだの?楽しかったか?」 『あ、そんな、飲んでない』 「そうなの?」 『うん、飲むと、おしっこすぐしたくなっちゃうから少しにしておいた』 「あぁ、気を付けたんだ。偉いな」 『うん。ちゃんと練習するって決めてるから』 と、飯を食いながらも眠そうに欠伸をしていて 何やら今日は疲れているようだった 気合いが入っている所悪いが 多少なりとも酒は飲んだようだし 疲れて熟睡コースだから今日はおねしょしちゃいそうだな… 「祈織」 『ん?』 「眠そう」 『うん、ねむい、疲れた』 「早く風呂はいって寝ちゃいな」 『きょうへい、今日は一緒にお風呂入りたいんだけど、ダメ?』 「…いや、いいけど。なに?なんでそんな控えめなの?」 『ひかえめ?』 「お前いっつも『きょうへいおふろいっしょにはいるー』って勝手に決めんじゃん」 『…そんな事ないし』 「まぁいいや。一緒に入ろ。祈織風呂で寝ちゃいそうで俺が心配だし」 『うん。やったー』 と、うれしそうに笑うから頭を撫でてやる 大人になんかならなくていいのに。 遠慮なんて覚えなくていいから 風呂だっていつでも一緒に入るしちゃんと甘やかしてやるのにな

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