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第178話

なに、おれとおそろいって なんか嬉しいような恥ずかしいような 困る… つか、おれときょうへいって、 おそろいとか似合わなくない? 洋服は体型もタイプも違うから2人とも似合うやつとかないし そもそもおそろいの服とか恥ずかしすぎて死ねる それなら見えないところ、と パンツとか靴下とかは全部きょうへいが買ってくれてるし だいたいきょうへいが黒でおれが色んな色のヤツで色違いだし おそろいだったらサイズが違うにしても混ざって分かりにくくなるし アクセサリー、はおれもきょうへいもしないし… つか、アクセサリーなんて柄じゃないかな そこで あぁ、靴。と思い浮かんだ 会社に行く靴じゃなくて普段の靴、 スニーカーがいいな きょうへいと遊びに行く時とか 実家帰る時も履けるし、 サイズが違うから間違うこともない 靴くらいならおそろいでもそんな目立たないから恥ずかしくないし、 あと落としたりしないから安心だし、と 3年くらい前にきょうへいにもらった手袋を落として泣いた事を思い出す 仕事で他社に行った時に無くしてかえって 会社に帰ってから気づいて 仕事のあと、探しに行ったけど結局見つからなかったし、 帰るのが遅くなってきょうへいに心配かけたし せっかくきょうへいがくれた物を無くしてしまったのがショックで情けなく泣いてしまった きょうへいはすぐに新しいのを買ってくれるって言ったけどまた無くしたら嫌だったし あれが良かったんだ、とどうしようもないわがままを言って困らせた その後もマフラーも1回無くしたことがあってその時もおれ泣いたかも 泣き虫じゃないと思ってたけどきょうへいの前だとおれちょう泣き虫で恥ずかしい でも、きょうへいがくれた物だったから嬉しかったし気に入っていたのになくなってしまってショックだったんだ そういやパンツも温泉で無くしたことあったな おれ結構物無くしやすいのかも 今度からちゃんと名前書いてもらおうかな… まぁその悲しい記憶はさておき 靴にしよ。スニーカーと、 銀座の靴屋さんに向かって どれにしようかな、と何足か試着して New Balanceか NIKEか adidasか CONVERSEか なんかどれがいいかせめて聞いてくれば良かったなと思いながら これにしよ、と一番カッコイイデザインだったadidasの靴を買うことにした きょうへいならNIKEかadidasっぽいし おれのサイズときょうへいのサイズ2つともちゃんと在庫があって良かった プレゼント渡したら防水スプレーして汚れないように大事にしよ せっかくきょうへいとお揃いにするんだし それにちゃんとプレゼントを用意出来て良かった と、ちょっと満足した気分で 店を出て駐車場に向かおうと歩いたところで あ、とアクセサリーショップが目に入る いやいや、もうプレゼント買ったし それにおれもきょうへいもアクセサリーなんて柄じゃない 店内は少し混雑してそうで まぁ明日クリスマスだから色々買いに来てる人がいるのかも、と 比較的男性が多い店内はいつもと違う感じがした まぁ、アクセサリーなんて おれはつける理由無いから付けないだろうなあ 結婚も、多分しないだろうし ◇◆ とりあえず 家に帰ってからきょうへいはまだ帰ってないようだったから きょうへいのプレゼントはベッドの下に隠しておいて明日まで内緒にすることにした きょうへいはなかなか帰ってこなかったから なんか食いもん、と 冷蔵庫を漁って サラダチキンを勝手に食う 早く帰ってこないかな きょうへいいないとなんか1人で待ってんのつまんないんだよなぁ きょうへいはおれが来る前はこの広い家に ずっと1人で住んでたのかな 寂しいとかないのかな いや、俺が来る前とかは彼女とかいたのかもしれないしな 俺はきょうへいいないと寂しいけど。 何時くらいに帰ってくるの、とLINEをして すぐにタブレットとクッションを持って玄関に向かう 早くきょうへい帰ってこないかな しばらく動画を見ながら待っていたが 「祈織?こんなとこで寝んな」 と、きょうへいに揺すられて起こされて きょうへいが帰ってきた事に気が付く あれ、おれ寝てた 『きょうへいおっせえんだもん』 「こっち寒いんだからあっちで待ってろよ」 『寒くねえ、平気』 「お前そうやってすぐ風邪ひくだろ」 『きょうへい、抱っこ』 「向こうでな」 ええ、と抱っこしてもらおうと思って伸ばした手を引っ込めた時に気が付く 『おしっこ、』 結構したくなってた 危ない、と急いでトイレに駆け込んでおしっこをして少し安心した よかった、おもらししなかった おしっこ出る前に気付けた おれ最近おねしょはするけどおもらしはしてない、治ったかも 「祈織おしっこ?」 と、トイレから出るときょうへいに声をかけられる 『うん』 「間に合った?」 『うん、見て』 パンツ濡れてないし、とスウェットを下げて見せる 「本当だ、濡れてないな」 と、きょうへいは言った 褒めてくれるかと思ったけど 特に褒めてもくれなくて まぁ大人だから普通か、とスウェットを元に戻して先を歩くきょうへいの後をついて行く 「飯食ってきた?」 『サラダチキンだけ』 「ええ、食ってきたんじゃねえの?先帰ったから食ってたのかと思った」 先帰ったのはきょうへいのプレゼントを探しに行くためだったからなあ 飯食うの忘れてきた 『きょうへいごはん』 「ご飯じゃねえよ。食ってくると思ったから買ってきてねえし」 『ええ』 「なんか買いに行くか」 『じゃあいいや。めんどくせえ』 「めんどくせえってお前な…冷凍うどんあったかな」 と、すぐにキッチンに行くきょうへい 『きょうへいのご飯は?』 「俺は食ってきた」 『きょうへい、じゃあご飯よりだっこ』 きょうへいにくっつきたい、とキッチンにいるきょうへいの背中にくっつく 『だっこ、はやく』 「どうした、今日は随分甘えん坊だな」 『そんなことねえよ、大人だもん』 「じゃあなんでそんなくっついてんの?」 そんなの、きょうへいのことが好きだからに決まってんじゃん と、きょうへいにくっついていたら きょうへいの匂いがして なんか下半身がもぞもぞしてくる あんまり意識してなかったけど やっぱり明日きょうへいが仕事入れて、 帰ってくんの遅くなるのが寂しいのかも 明日も1人で待ってなきゃいけないんだって思ったから 少しでもきょうへいにくっついていたい 『きょうへい、』 「祈織、うどんねえや。飯どうする」 『きょうへいの精液飲ませて』 「…とりあえずココアでも飲んどくか」 なんだよ、本気なのに でもココアも好きだからいいや 牛乳を温め始めたきょうへいの後ろにしゃがむと 頭を撫でてくれる 「祈織、怒ってんの?明日のこと」 『怒ってねえよ』 ちょっと寂しかっただけ 「できるだけ早く帰ってくるから」 あぁ、おれまたきょうへいを困らせてる 『ありがとう、きょうへい』 と、顔を上げると 温かくしたココアをくれる この時期しか温かいココア飲まないけど ココアを飲むと色々満たされるから好き 『ココア、満足する』 「祈織、あっち行くぞ」 と、キッチンに座っていたおれの腕を軽く引く 『なんで?』 「だっこするんだろ?ずっと待ってたもんな」 そっか、だっこしてくれんだ ようやくおれ満足できそう

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