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第181話

「なんだこれ、」 リビングに行くと 机の上には 俺が注文したチキンと 祈織が買ってきたケンタッキー そして なにか散らかしたような紙切れ なんだこれ、とその紙切れをつまんで持ち上げるとなんかテープで繋がってる事に気付く 「祈織、これなに?」 『きょうへいがなかなか帰ってこないかなから飾り付けしてた』 「飾り付け…あー、輪飾り」 なるほど、たしかに言われてみればそうだけど ハサミとか使わずに手でチラシをちぎっていたようでガタガタだしなかなかパッと見ではわからなかったな しかもクリスマスなのにお節のチラシだし とりあえずせっかく作ったようだし飾っておくか、と テーブルの端っこに祈織作の輪飾りを貼っつけておく つか輪飾り知らねえのかな 普通輪っかと輪っかが重なるはずなのに ∞みたいに〇〇と並んだ輪の間をテープでくっつけていた 「なぁ、お前こういうの作ったことねえの?」 と、チキンを温めながら聞いてみると 祈織は輪飾りの続きを作り出した 『んー、ない?わかんね、ちっさい頃はやった事あるんじゃん?』 「へえ、」 『なんで?』 「いや、…あー、パーティーみたいだなって。男2人だけど」 『見てた動画に、出てきたから作ってみた』 「へえ、かわいい」 『かわいくねえよ、べつに』 かわいすぎて困るけど。 『きょうへい、先にケーキ食べたい。お腹すいた』 「ええ、先にケーキ食っちゃうの?」 『だって、あ』 と、何故かすぐに寝室の方に行ってしまう祈織 なんだ、急に、と思っていたら すぐに何やらゴソゴソと持って戻ってくる 「何?」 『クリスマスプレゼント』 「あぁ、持ってきてくれたのか?」 『うん。きょうへいにバレないように隠してた』 「へえ、全然気付かなかった」 恐らくベッドの下だろうな、寝室から来たし 祈織が物を隠す場所はだいたいベッドの下かテレビの裏だ 祈織の部屋がないから あいつにプライベートスペースはない まぁ祈織はそれでいいと以前確認しているが 物を隠す場所がないから そこにおねしょとかおもらししたパンツも隠したりする事もある 今朝は洗濯機の横の棚の下だったけどな 考えたな 『開けていいよ』 「おお」 と、包装を開けると 靴ということがわかる 『靴にした、仕事じゃない靴』 「おお、かっこいいやつ選んでくれたな。履いてみよ」 と、その場で少しだけ試着してみる 『きょうへい、に、にあうかなぁ、って、』 と、ちょっと恥ずかしそうに言ってくるあたりがさらにかわいい 「おお、かっけえなあ。どう?」 『…うん、いいんじゃない?』 「祈織、ありがとな、すげえ気に入った。かっこいい」 『…うん、よかった』 と、目を逸らしながら言うが少しだけ耳が赤くなっている かわいいなぁ、こいつ ぐしぐしと頭を撫でてやると かわいい顔で少しだけ俺を見てくる 「あ、そういや、」 『なに?』 「この靴、お揃い?」 『……うん、』 「へえぇえ、」 『なんだよ』 「いや、嬉しいなぁって」 お揃いの物、 俺のリクエストだが半分くらいしか期待してなかった それにお揃いと言ってもあんまり目立たない物とか選ぶとおもっていたが まさか靴というお揃いで嬉しくなる 「見せて、祈織のやつ」 『…同じだよ、そんなん』 「それでも見たい」 と、いうとまた寝室から包装されていない箱を持ってきて見せてくれる 色も同じ靴、サイズが少しだけ祈織の物の方が小さい 「後で防水スプレーして汚れないようにしような」 『うん、おれもそう思ってた』 その時だオーブンが止まる音がして チキンができたことがわかる 『あ、できた、チキン』 「あ、待って。俺からもプレゼントある」 と、思ったが 「車に忘れてきた」 『ええ』 「いや、いそいでこっち来たから」 すっかり忘れていた 『明日でもいいよ。先にチキン』 「えぇ、俺だけ貰いっぱなし」 『だって。もうお腹限界』 「そっか。じゃあ食ったら取りに行ってくる」 と、先にチキンを出してやろうと 手掴みで食べそうだからチキンは骨から解して食べやすいようにお皿に出してやる ケンタッキーの方はまぁもう手で食うだろう 付け合せのサラダとスープも置いてやるが今はチキンに夢中で見えていないようだった 「酒飲む?」 『…いいや、やめとく』 せっかくクリスマスだからシャンパンでも、と思ったがまぁおねしょを心配して祈織は飲みたくないようだ シャンメリーとか子供用のやつ買ってくれば良かったな、アルコールないやつ 『いただきます』 「あぁ、いただきます」 と、俺が挨拶をしたのを確認して すぐにチキンを口に入れる 『うまぁ』 そうとう腹減らしていたのだろう 食べるのも早いし うまい、とおいしそうに食っている 「うまい?」 『腹減ってるからなんでもうまい』 「おい」 まぁおいしいならいいか、と 祈織の皿が空いたら 食べやすいように次のチキンの身を解してやっていると 『なぁ、きょうへい食わないの?』 「食うよ?」 『おれのばっかりしてる。おれ自分でできるのに』 「お前手掴みすんだろ。お手手汚す」 『お手手じゃねえもん、赤ちゃんじゃねえし』 あ、膨れた かわいい、とついついからかいたくなるし甘やかしたくなる 「ほら、ちゃんと食いな。スープも」 『んー、食べれてるよ』 と、ある程度お腹が満足してきたのか フォークを咥えながら俺の手元をじっと見ている 「サラダもな」 『なぁあ、やっぱりケーキたべたくなっちゃった』 「我慢できなくなったか?」 『ケーキ食いたい。なぁあちょっとだけ。見るだけ』 「ええ、まだ残ってるし食えるだろ?ちょっとしか食ってねえじゃん」 『んー、ケーキがいい。きょうへいぃ、』 と、急にご飯を終わらそうとして おかしいと思ったら ある程度お腹が満足して眠くなっていることに気付く ぐずってんな、これ もう時間も遅いしなあ 「よし、じゃあチキンもうおしまいにしてケーキにするか」 『うん、ケーキ』 「じゃあ先にお手手洗いな」 『おててじゃねえって』 「おててじゃねえなら自分で洗えるだろ」 『んー、きょうへい、拭いて』 赤ちゃんだな、まったく と、手を拭いてやるが 食ったらすぐ寝ちゃいそうだな そんなすぐ寝たら消化に悪いだろうな 「ケーキ出してくるからちょっと待ってな」 『んー』 と、頷き ソファの方に移動した祈織 ダメだこれ、もう寝るやつ 「祈織、」 『ケーキ』 「ほら、ケーキ」 と、冷蔵庫からケーキをだし 皿にのせてやると 『わぁあ、チョコのやつ』 と、ツヤツヤのチョコレートケーキを 嬉しそうに見る祈織 ヨダレ垂らしそうな顔してんな 「中祈織の好きな味」 『赤いやつ?』 「あぁ、赤いやつ」 『やったー』 と、写真を撮って すぐに上の飾りのチョコレートを手で食べるから直ぐにフォークを持たせる 「ほら赤ちゃん。手で食うな」 『赤ちゃんじゃねえって』 「俺のチョコも食いな」 と、上のチョコの飾りを俺も指で摘んで差し出すと そのまま あ、口を開けて食べる あぁ、かわいい。 『食べていい?』 「あぁ、いいよ」 『いただきます』 「ケーキ食ったら寝ような。今日遅くなっちゃったし」 『ええ、まだやる事あるのに?』 「やる事?お前もう眠くなってんだろ。明日にできるなら明日にしな」 『眠いけどやらなきゃいけないことだし』 「やらなきゃいけないこと?なんか仕事残してきたか?」 『ちっげえし』 「なに?」 『ケーキくうのと』 「いや、」 べつにそれ明日でもいいだろ 義務じゃねえし 『あときょうへいとえっちもまだしてねえじゃん』 それも義務じゃねえけど 眠そうなとろんとした目で俺の事を見てくるもんだからそれは是非とも寝る前にしたい 「じゃあちゃんとエッチするまで起きてろよ」 こんなやる事が詰まってるなら 何がなんでも早く帰って来るべきだったな まぁ明日休みにしてるし ちょっと夜更かしさせるか

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