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第185話
『んんんん、』
そろそろ休憩するかな、と言うタイミングで
祈織がもぞもぞと動き唸り出す
寝てたのがどうやら起きたらしい
「祈織、腹減ったろ。なんか食お」
『…きょうへい、』
「うん、サービスエリア好きだろ」
『おねしょ、』
「え?おねしょしちゃったか?」
『うん、おねしょ、』
「いっぱいでた?」
『…ちょっと、』
「そっか、じゃあサービスエリアついたらトイレいっておむつ替えるか」
『かえる、』
「うん、替えるから」
『じゃなくてもう、帰る、おれ行きたくない』
「…無理だよ今更。みんな楽しみにしてるぞ」
『きょうへいだけ行けばいいじゃん。おれやっぱり行きたくない』
「…じゃあやめとくか。サービスエリアよってトイレ行ったら帰ろ」
『…え?』
「そんな無理に行かなくてもいいし。俺がお前付き合わせてるだけだからな」
『…え、でも、』
「なんかサービスエリアで食おうか。せっかくここまで来たし」
と、できるだけトイレの近くに駐車をして
着替えやら荷物を持ち
車を降りるが祈織はなかなか降りようとしない
「寒いから上着持ってこいよ」
『…うん、』
と、ようやく俺に言われてもぞもぞとコートを着て車から降りるから
「まずトイレ行こうか」
と、多目的トイレに2人で入り
オムツ替えシートの上に荷物を置く
「おしっこは?でる?」
『…でるかも、』
「じゃあしちゃいな」
と、いうと頷いておずおずとトイレの前に立つが
『なぁ、本当に帰るの?』
「だって行きたくねえのに無理に行くことないって。今日お前あんまり調子よくねえだろ」
『…だって、』
「ほら、おしっこ」
と、後ろに立ってトイレに向けてセッティングしてやるとようやくちょろちょろとおしっこをした
うーん、量は出ないな
「おむつ替えちゃおう」
と、すぐにおしりふきで股間周りを拭いてやりおむつを脱がすが
おむつの中にもそんな出ていなかった事がわかる
寝てたら勝手に出ちゃったんだな、こりゃ
「おむつでいい?」
と、確認を取ってから
おむつを広げて足から通してやるが
ずっと下を向いていてやっぱり元気がない
行きたくないんだろうけど
俺もやめるって言ったことを気にしているのだろうか
「よし、なんか食おうか」
『…いらない、』
「ええ、ポテトとかたこ焼きとか好きだろお前」
『…あんまり食欲無い』
「え?まじで具合わるいの?」
朝から失敗続きで普通にテンション下がって調子が良くないのかと思っていたがどうやらそれだけじゃ無さそうだ
おでこを触ってみたが熱いような熱くないようなよくわからない
「気持ち悪いとかは?」
『気持ち悪くない』
「帰るか。やっぱり。これから熱上がったりするかもだし」
『…やだ、帰んない。きょうへいいかなかったらみんなさびしいじゃん』
「でも祈織具合わるいだろ」
『本当は、おれだって行きたい、』
「行きたいの?」
『…うん、だって、コタにも行くって言ってるし…お母さんも、唐揚げ作ってくれるって』
「まぁ、そうだけど…行きたくねえんだろ?」
『行きたいけど、失敗しそうだから嫌なんだ。迷惑かけたくない』
「だったらこのまま行くか」
こいつを家に1人で返すなんてありえねえし
それだったら具合悪そうでもそのまま連れて行って向こうでゆっくりさせてやればいい
『…でも、』
「大丈夫だよ。失敗しても俺がどうにかしてやるし」
『どうにかって?』
「みんなに内緒でキレイにしてやるし。つかいつもそうしてんだから大丈夫だろ?」
『…うん、そうする、』
「よし、じゃあ行くか」
食べ物はいらないと首を振るから
飲み物を何種類か買ってやり車に戻ると
もぞもぞとだるそうにシートに寄りかかる
「このままどこも寄らないで家行くから」
『…おしっこ、したくなったら?』
「したくなったら寄るから。とりあえず寝ちゃいな」
『んんん』
と、すぐに目を閉じたから
恐らくすぐに寝てしまうだろう
◇◆
シバ具合悪いから布団敷いといて。すぐ寝かせるから
と、家に着く直前に連絡して
家に着く頃には熱が上がってきたのか
だるそうにしているが
『ちゃんと歩ける、』
と、眠そうに目を擦りながら車からのそのそと降りて
荷物を持ってやると俺の1歩後ろに隠れるようにして着いてくる
「いらっしゃい。早かったのね。お布団敷いてるからシバくんは寝ちゃいなさいね」
『こんにちは、』
「こんにちはシバくん」
「うん。シバ、上行こ」
と、俺の部屋にすぐ連れていくけど
その間もシバは下を向いて俺の後ろに隠れていて
なんだか最初の頃に戻ってしまったようだ
部屋に連れていき荷物を置き
コートをかける
「熱出た?」
と、おでこを触ってみるとやっぱり少し熱い気もする
『でてない、』
「いや、ちょっと熱い」
『んー、そうかも』
「寝てるよな?靴下脱ぐよな。後は?」
と、敷いてある布団の横に飲み物やらを置き
すぐにエアコンを付けるが古い家だからそんなすぐに暖かくならない
「湯たんぽ貰ってくるか」
と、部屋から出ようとしたが
『…おむつ、』
と、祈織が俺の袖を掴んで止める
「あぁ、替えようか」
と、すぐにおねしょマットをだして布団の上に敷くとごろ、とだるそうに横になるから
そのまま頭を撫でてやる
『おねしょ、』
「あぁ、濡れてるな。ごめんな、気づかなかった」
そういや体調悪い時は寝るとすぐ出しちゃうよな、こいつ
というかいつもより緩くなるというか多分尿意を感じにくくなっているんだと思う
そのせいで我慢できなくていつの間にかほぼ無意識で漏らしてしまうことも多い
これは体調悪い間はおむつだな
「寒いから温かいタオルするから。ちょっと待てるか?」
『んん、や。きょうへい行かないで』
「…じゃあおしりふきにするから。ちょっと冷たいぞ」
『うん、』
と、おしっこを出してしまった時ように
タオルも準備してから
おむつを開くと元気なくふにゃりと転がっている祈織のちんぽ
「うーん、そんな出てねえな」
『でてない?』
「ちょっと湿ってるけど量はでてない」
『うーん、』
「出そうなら出してみな」
と、先っぽをすりすりと触ってみてもおしっこは出ない
おかしいな、さっきもトイレでちょっとしか出なかったからおしっこ溜まってると思うんだけどなあ
「ほら、祈織。おしっこして」
『んん、でなぃ、』
「でるよ、ほら、しー、しー」
と、タオルで包んで言い聞かせてやると
ようやく、といった感じで
ちょろちょろとおしっこをこぼしてから
そのまま少し勢いよくしょわわ、と排泄する
「おお、でたでた」
と、タオルでそれを全部吸い取ってやってから
出し終わった事を確認して
おしりふきでキレイにしてテープのおむつをつける
『はずかしいからそういう事させないでほしいのに』
「はずかしい?」
何が?
俺の前でおしっこすることか?
そんなん今更だろ
『きょうへい、おむつ、やだ』
「寝てる時だけだから。いいだろ?」
『でも、』
「風邪うつっちゃ大変だから部屋に入らないようにってみんなに言っておくし」
『…うん、』
「だから気にせずゆっくり寝てな。寝たら熱も下がるかもだし」
『うん、きょうへいは?』
「俺も早起きしたからとりあえず一緒にねるかなー」
と、隣に布団を敷くと
少し顔を隠しながらも嬉しそうにする祈織
『一緒に寝るんだ』
「あぁ、一緒に寝よ」
『うん』
「なんだよ。嬉しそうな顔して」
『…だって。1人になるのやだし。きょうへいいてくれるの嬉しいんだもん』
「かわいいやつ」
妙に素直でかわいいな、と
頭を撫でてやると満足したとでも言うように
すぐに目を閉じる
ちょっと寝させたら飲み物飲ませなきゃなー
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