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第186話

1時間半ほど寝ただろうか ふと目を覚まし 隣のシバを見るとまだ眠っていて 顔が少し赤い気もする 汗もかいてないか、少しおでこを撫でて 触るとやっぱり少し熱くなっていた 『んん、』 あ、おむつ、と そっと布団をめくってチェックするが スウェットの上からではそんな膨らんでいる感じがしない 出てないのか、と一応スウェットを下ろして確かめるとそんなに膨らんでいないが おしっこ出たよサインが青くなっているのがわかる こいつが目を覚ます前に替えておこうと 寝ている祈織のおむつを開くが やっぱり量は出ていなくて まぁ寝る前にちょっとさせたからかもしれないけど少し心配になる 水分取らせとこ、と 新しいおむつを履かせて スウェットと布団を元に戻してから 祈織の使用済みおむつを袋に入れ口を縛って 下の階のキッチンに向かう 「あら、起きたの。シバくんは?」 と、母親がすぐに俺に気付き声をかけられ さりげなくゴミ箱に袋は捨てておく 「あぁ、まだ寝てる。やっぱり熱も少し出てきたかな」 「汗は?かいてたら冷えるから着替えなさいよ」 「汗かかねえんだよなぁ。熱もそんな上がんないけどだるそうだし」 「しっかり水分取らせてるの?具合悪い時は沢山飲ませなきゃなダメよ?」 「サービスエリアでお茶渡したけどあんまり飲まなかったな?気持ち悪くなりそうで飲めなかったのかと思ったけど」 「吐き気とかあるの?」 「それは無いって言ってたけど」 「だったら飲ませなさいよ。はちみつレモンでもいるかしら?」 「あー、あいつそういうの好き。作って」 と、母さんにお願いをして 祈織にはちみつレモンを飲ませることにした 「おしっこは?ちゃんと出てるの?」 「…いや、あいつも大人だから流石にそれは」 「沢山飲んで沢山汗とかおしっこで出すものよ。普通は」 「…おしっこもそんな出ねえ」 「あら。ちょっと脱水症状とかじゃないでしょうね?」 「いや、単純に飲んでねえから出ないだけだと思うけど。それにちょっとずつは出てるみたいだし」 「心配ねえ…少しづつでもいいからしっかり水分取らせてあげなさいね。他にも欲しいものあったら声掛けなさいよ。シバくんも寂しかったら降りてきてもいいから」 と、出来上がったはちみつレモンを俺に渡しながら言う母さん いや、うん、祈織虎太郎より大きいんだけどなぁと思いつつ はちみつレモンを持って部屋に戻ると ガバッと起き上がった祈織と目が合う 「おお。起きた」 『どこ行ってたの?』 「これ。取ってきただけだって」 『置いてかれたかと思った』 「そんなわけないだろ」 と、そのまま祈織にはちみつレモンを渡して隣に腰を下ろす 『なに?』 「はちみつレモン。飲みな。喉乾いただろ」 『はちみつ、』 と、それを少し見て 少しだけ口を付けた祈織 「うまい?」 『きょうへいが作ってくれたの?』 「いや、母さん」 『きょうへいのと同じ味する』 「そうか?」 そういうもんなのかな チビチビ、と口を付けるだけでほとんど飲めてない気もするが 数口飲んで横に置いた祈織 「熱い?飲めないか?」 『いっぱいは、飲めない』 「飲めるだけ飲みな」 『…そんなに、のめない、』 「気持ち悪い?」 『ち、ちがう、』 と、もじもじいう祈織にようやく分かった 「お前。おしっこ出ちゃうから飲み物飲まないようにしてるとかないよな?」 『…だって、』 「沢山飲んで沢山おしっこしな」 『…漏れちゃうかも、』 「今日はずっとここで、俺と2人だからいいだろ?いつまでも具合悪いままだと明日もおしっこ漏れちゃうぞ?」 『それはやだ、』 「じゃあ飲みな。はちみつレモン。母さんがいっぱい飲めって作ってくれたから」 『うん。うまい。これすき、』 と、やっぱり我慢していたようで嬉しそうにはちみつレモンに口をつける 「なんか食うか?作ってもらうけど」 『まだいい』 と、祈織はしばらく俺の事を見て 首を傾げる 「どうした?」 『…抱っこは?』 「ああ、」 と、隣に座っていた俺に さも当然のようになんで抱っこしないのか聞いてきて それがおかしくてかわいくて すぐに後ろに回って抱っこしてやると 嬉しそうにすりすりと体を擦り付けてくる 『朝早かったから起きんの辛かっただけなんだけど』 「そうか?ちょい熱あるけどなー」 『測ってないからわかんないじゃん』 「お前抱っこしてたらわかるよ」 『なんで?』 「体熱いし。ちんぽもふんにゃりしてる」 『おれのちんぽみたの?』 「…さっきな」 『なんで?えっちなの?』 「ちげえよ。おむつ替えた時だろ」 『おしっこ出てないよ?濡れてない』 「だから寝てる時に替えたんだろ」 『おねしょしたくねえのに』 と、少し膨れてしまった 「あんまり出てなかったから」 だから沢山飲みな、とはちみつレモンを飲ませる うん、ちゃんと沢山飲んだな 『んん、?』 と、何故かゴソゴソとお腹の辺りを弄る祈織 「どうした?」 『ちんぽ触ろうとしたのにテープのやつじゃん』 「なに?触りたくなったの?」 『ちげえけど。きょうへいがふにゃちんって言うから確かめようとしただけじゃん』 「あとでオムツ替える時見れるだろ」 『きょうへいに見せてあげようと思って』 「お前が寝てる時に見たから平気」 『でも寝てる間にしないで』 「なんで?」 『赤ちゃんみたいで恥ずかしいじゃん、』 「そうか?起きてる時もちんぽ見られんの恥ずかしいだろ?」 『…そうだけど。寝てる時のおむつとふにゃちんはだせえじゃん』 いや、よくわかんねえけど 「とりあえずちんちん触んねえの。大人だろ」 と、手を取り出してやって 飲み終わったカップも回収する 「どうする?寝る?なんか食うか?」 『うーん、目が覚めてる』 「じゃあなんか食お。お前朝からなんも食ってないから」 『お腹空いてないから食ったら気持ち悪くなっちゃうかも』 「残してもいいから食べれるだけ食ってみよ。お粥とか持ってくるから」 『お粥あるの?』 「母さんに作ってもらう」 と、話していた時だ 部屋の扉の前でパタパタと足音が聞こえる事がわかり2人で顔を見合わせる 足音が俺の部屋の前をパタパタと往復しているが中には入ってこようとはしない そっと扉に近付きドアを開けると 「わっ、おじさ、しばは?」 と、部屋の前をうろついていたのは虎太郎で まぁ足音の感じからしてなんとなく察してはいたがもじもじと聞いてきた おそらく祈織に会いたくて来たものの 部屋に入ってはいけないと言われているため部屋の前をうろついていたのだろう 「シバ起きてるよ」 と、少し避けてやると 『こたー』 と、シバはすわったまま扉の虎太郎に手を振る 「しば、おねつ?」 『うーん、ちょっとおねつみたい』 「これ、ばあばが。しばに。あとこれこたがしばにおてがみかいたから」 と、タオルにくるまった物を渡してくる 「おお、湯たんぽ。シバよかったな」 「はい、しば」 と、ドアの所で手を伸ばすから 「こた、ちょっと入ってもいいぞ。シバマスクして」 『んー、マスク』 と、マスクをするのを確認して 虎太郎を部屋に入れると 「はい、しば」 と、湯たんぽとお手紙を渡した虎太郎 『ありがと、こたろう』 「あしたは?あしたはあそぶ?」 『そうだね。あしたは遊ぼう』 「うん、はやくげんきになるんだよ」 と、虎太郎はお兄さんみたいな事を言って 手を振って部屋から出ていく 『手紙くれた』 「なんて書いてある?」 と、手紙を覗き込むと 丸と点で描かれた顔に しば げんきになつてね と、文字が書いてあって 「虎太郎もう字かけんのかよ」 『な。いつの間に』 「早く元気になんないとな」 と、頭を撫で 湯たんぽを布団の中に入れてやる 『きょうへ、なんか食べる』 「お、食えそう?」 『うん、早く元気になるから』 「そうだな。母さんにお粥貰ってくるからちょっとだけ待っててな」 『うん』 と、祈織が頷いた事を確認してお粥をとりに向かった 機嫌良さそうでとりあえず安心だな

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