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第190話
『きょうへい、お母さんがそろそろ起きてだって』
と、部屋に戻ってきょうへいに声をかけると
部屋はエアコンがついて暑くなっているのに
きょうへいはおれの布団に入っていて
さらに自分の掛け布団も引き寄せていた
そう言えばおれが起きた時も匡平おれのお布団に入ってたな寒かったのかな?
おれは湯たんぽあったし
きょうへいもいたし寒くなかったというかむしろ暑かったけど
きょうへい体温高いし
『きょうへい?起きないの?』
と、枕元に行ってきょうへいの顔を覗き込むが
「あー、起きるけど、」
と、起きないまま言うから違和感を感じる
『…きょうへい?寒いの?』
「あぁ、さむい、」
この部屋ポカポカだし布団2枚かけてるのに、と違和感を感じて少しだけきょうへいの手を触ると
『あ、あつう』
まさか、
『きょうへい、熱?』
「……わかんねえ」
わかんねえって言ってるけど絶対熱出てる
だって熱いもん、きょうへい
『おれのうつった?』
「…ちげえ、休みだから疲れ出ただけ、」
『やっぱりお熱出てんじゃん』
「…コタにお年玉代わりに渡しといて」
と、白状するように熱が出たことを認めたらしい
そう言えばおれが起こしても起きてくれなかったもんな
眠いだけかとおもったけど
きょうへいいつもは起きてくれるし
『お母さんにいうよ?』
「…あぁ、」
『きょうへい熱出たのやだ』
「…わるい、」
『………、』
そんなわがまま言っても仕方ないことわかってるけど不安になる
『………、きょうへい、』
どうしよう、ときょうへいの隣に丸くなってくっつく
「祈織、シャワー浴びたの?」
『あびた、』
「ゴミは?」
『……お母さんに、ゴミ箱教えてもらった、』
「そっか、やってやれなくてごめんな」
『…うん、自分でできたし、』
「今日は…パンツか」
と、布団から手をだして俺のおしりを触って確認するきょうへい
こんな時でもきょうへいはおれのことばっかりだ
『…おれはもう治ったし、』
「病み上がりだからパットだけ入れとこうな。ほら、こっちおいで」
よいしょ、と起き上がって
さっき黒い袋を出したバッグの中を確認するきょうへい
『パットいる?』
「念のため。付けてやるからおいで」
と、言われて仕方なくきょうへいの前に行くと
パンツを下ろされて恥ずかしい姿にされて
はずかしい、と手でちんぽを隠してると
その間にきょうへいはさっさとパットをつけてパンツを元に戻してくれる
『熱はかる?』
「あー…体温計持ってきて」
『お母さんに聞いてくる、』
「うん、頼んだ」
『他は?飲み物とか』
「昨日のポカリまだあると思うからここ置いておいて。ポカリとコップ」
『うん。分かった』
と、言われた通りリビングに降りると
「シバ!おねつは?」
と、すぐに虎太郎が寄ってきて
よしよしと頭をなでる
『おねつ下がったよ、でもきょうへいおじさんお熱』
「おじさんおねつなの?」
『うん、あ、ちょっと待っててね』
そういえばコタにお年玉、
おれも用意してるしきょうへいも渡しといてって言ってたんだ
部屋にあるから飲み物持って行く時に取りに行かなきゃ
『お母さん、きょうへい…さん、熱出たみたいで、』
「あら、あの子も。あの子責任感強いのか昔から学校休みになったら熱出すのよ」
と、お母さんがさっそくお湯を沸かし始めた
『体温計、とポカリ持っていくので』
「体温計はそっちの引き出しの中、ポカリは冷蔵庫の野菜室に入ってるわ」
と、言われた通り
体温計を取ってから
冷蔵庫を開けると1/3くらい中身が減った2リットルの大きいポカリ
おれが飲んだやつの残りか
それとコップも持って部屋に向かおうとするが
「シバくん、悪いんだけどそれ部屋に持っていったら湯たんぽ持って降りてきてくれる?中変えちゃうから」
『あ、はい』
と、頷いて一度部屋に向かうことにした
コタのお年玉も渡すからちょうどまた降りてこなきゃ行けなかったし
『きょうへーい、持ってきた、体温計とポカリ』
「あぁ、ありがとな」
と、きょうへいはよっこいしょと身体を重そうにしながら起き上がるから
『飲む?』
と、聞いてからポカリをコップに入れる
『湯たんぽ、中変えちゃうから持ってきてって。あとコタにお年玉』
と、戻ってきた要件を伝えると
きょうへいはバッグからお年玉をだして手渡される
「これがコタでこっちがお前のな」
『だからコタと同列』
「いいだろ、もらえるもんは貰っとけ」
『……ありがとう』
と、とりあえずそれは片付けて
おれが用意したコタのお年玉と
布団の中をゴソゴソ漁って湯たんぽを取り出す
『あれ?これ』
昨日は気づかなかったが
湯たんぽを入れている袋に匡平
と、名前が書いてある
「…あぁ、俺が昔使ってたヤツだから。よくとってあるよな。小学生の時とかだぞ」
と、言われてまじまじとそれを見ると
なんだか嬉しくなった
『なんで名前書いてるの?』
「兄さんとミサのもあったからな。混ざらないように」
『へえぇ、』
なんか、それ…
『ちょっと一度下いくね。すぐ戻るから』
「おぉ、転ぶなよ、あと」
と、きょうへいはなんか言ってたけど
とりあえず早く行って戻って来ようと
階段を降りて
まずはコタの所に行く
『こたー』
リビングに入ってコタを呼ぶとすぐに近寄ってくる虎太郎
「シバはもうおねつだいじょうぶ?」
『大丈夫だよ、こた、あけましておめでとう』
「おめでとー」
と、すぐおれの前にちょこんと座るから
頭を撫でてやる
『あと誕生日おめでとう』
「コタもう5さいだよ」
『へえぇ、すげえな』
時経つの早すぎんだろ
この前喋るようになったと思ったのに
先ずは本題、と
『これがおれからで、これがきょうへいからね』
と、お年玉をコタに渡す
「ありがとー」
『お父さんかお母さんに預けときな。それか好きな物買いな』
「おかあさんにあずける!」
と、いい子のこたの頭を撫でてからキッチンのお母さんの所に行く
『湯たんぽ、』
「ありがとう、あとこれもきょうへいの所に持って行ってくれるかしら?」
と、トレーにのせたマグカップが2つ
はちみつレモンだ、おれも昨日飲んだやつ
『うん、持ってけます』
「良かったらシバくんも飲んでね」
だから2つだったんだ、
『昨日も、美味しかったです、はちみつレモン』
「生姜も入れてるから温まるでしょ?あの子が熱出したら毎回これ飲ませてたのよ。そしたらいつもすぐ治すから」
『へぇえ、』
だから、同じ味だったのかな
きょうへいがいつもおれが熱出した時にはこれを作ってくれていたのがなんとなく嬉しくなった
なんか、お母さんがきょうへいのこと話すと
きょうへいはもう大人なのに子供みたいに感じる
『お母さんが、話してると子どもみたい、』
「お兄ちゃんの事?あの子は昔から手がかからなかったけどそのまま本当にしっかり育っちゃって」
そうなんだ、
昔からなんだ、
おれはきょうへいがいっしょにいてくれると
甘えっぱなしだけど
きょうへいは甘えたいとかあんまり思わないのかな?
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