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第191話
よしよし、となんとなくきょうへいの頭を撫でてみた
するとすぐに目が開いてきょうへいと目が合う
『寝てた?』
「…いや、起きてた」
『これ、湯たんぽ入れるよ』
と、布団の中にお湯を変えて暖かくなった湯たんぽをいれる
「おお、ありがとな」
『あとはちみつレモン、お母さんが』
「おー、のも」
と、きょうへいはゆっくりと起き上がったからマグカップを渡すがなかなか受け取らないきょうへい
「先にお前のみな。起きてからあんまり水分取ってないだろ」
『あ、おれの分もお母さん作ってくれた』
「おお、そうか。よかった。さっきも水分取れって言おうとしたのにお前話聞かないで下いくから」
『だって、色々やる事あったし』
「ちゃんと祈織も水分取れよ、我慢しなくていいから」
『…きょうへいはおれのことばっかりだな』
「祈織だって病み上がりだろ」
まぁ、そうだけど…今熱出てるのはきょうへいなのにおれのことばっかり心配する
『これ、お母さんが昔からきょうへい熱出たら飲んでたって』
「…あぁ、そうだったか?あー、そうかもな」
『だからきょうへいが作ったのも同じ味がしたんだなって』
「昨日も言ってたよな、それ」
『うん、おれこれ好き』
「まぁ、俺も…これ飲むとすぐ治んだよ、熱」
だから、おれにも作ってくれてたのかな
「お前と初詣行きたかったけど明日に持ち越しだな」
『今日はゆっくりしよ。お父さんは町内会の集まり行くって』
ちなみに今年はみーちゃんはまだ帰ってきてない
今日の夕方頃、顔出すかもってことだった
「お前はリビング行っててもいいぞ?暇ならテレビ見てな」
『いい。きょうへい一緒じゃないとやだ』
「いや、俺はきょうは、寝てるから…」
『一緒にねてる、』
「せっかく元気になったのに?」
『だってきょうへいと一緒の方がいい、』
「お前本当甘えん坊だよなぁ」
よしよし、と隣りに寝転がるおれの頭を撫でてくれる
『甘えん坊じゃねえよ?』
きょうへいと一緒にいたいだけ、
きょうへいが好きなだけ
「寝るならおねしょ心配だからおむつにするか?」
『…しない、寝ない』
「寝るんだろ?」
『…となりに、くっついてるだけ』
「眠くねえなら起きてればいいのに」
『ちがうし、』
きょうへいと一緒にいたいだけじゃん、
「…寒いからちゃんと布団入りな」
と、きょうへいの隣りの畳に寝転がろうとしたら
きょうへいは場所を移動しておれの布団を空けて寝るスペースを作ってくれる
『きょうへい布団2枚じゃないと寒いんじゃん、』
「湯たんぽあるし、部屋もだいぶ温まってきたから」
『ふーん、』
よいしょ、とせっかく空けてくれたスペースに座ってはちみつレモンを飲む
「そういや祈織起きてからおしっこしたか?」
『…してない、寝てる間におむつにしたし、』
「じゃあ横になる前にしてきな。その方がお前も安心だろ」
『ええ、でない』
「今日俺こんなんだからお前がもし失敗してもキレイにしてやれねえぞ?」
と、そう言われると恥ずかしいのと
少し寂しくて不安になった
『…おしっこ、してくる』
と、言ったけど
きょうへいから離れたくないな
『やっぱりおしっこここでするからおむつちょうだい』
「は?ここですんの?」
『だって、きょうへいと一緒がいい』
「シバ、トイレ1人で嫌なら俺も着いてってやるからおむつじゃなくてトイレ行こう」
『やだ、』
「じゃあどうすんの?」
『だって…、』
きょうへい具合悪いのに迷惑かけてしまう
でもきょうへいと一緒にいたいし…
きょうへいの家のトイレ、一人で行くの嫌だな、
ずっとおむつしてたからまだ今回は1人でトイレ行ってないし
「ほら、行くぞ」
と、きょうへいは立ち上がろうとするけど
『大丈夫、1人で行けるから』
と、先に1人で立ってきょうへいを制止すると
「えらいじゃん、行っといで」
と、きょうへいは少し笑って送り出してくれる
ひとりでトイレ行くなんてなんでもないことだ
なのにちょっと心細くてなんか嫌だった
今おしっこだってしたくないしやめちゃおうかな、と
少し戻りかけたけど
きっときょうへいには聞かれるし
嘘つきたくないから
大人しくトイレに行って
おしっこをすると
まぁ案外おしっこも出たし
トイレを流してパンツをちゃんと戻す
たいしたことない事だった
普通にいつもしてる事で
昨日は熱があったからちょっと上手く出来なかったけど
普通にトイレでおしっこを済ませるのはなんともない事だったし
でも1人でうまくできた、とちょっとだけ達成感も感じる
きょうへいのところ戻ろ、と
手を洗って
部屋に戻ると
きょうへいは横になっていたから
おれも隣に寝てぴったりくっつく
『きょうへい、』
「どうした?」
『ちゃんとトイレ行ってきたよ』
「濡れたりしてねえ?」
『うん。ふつうにした』
「へえ、えらいじゃん。1人でちゃんと行けたな」
『うん、おとなだし』
と、なんでもない事なのにきょうへいはいつもほめてくれる
今日もほめてくれるってわかってて言ってみたらやっぱり褒めてくれた
『きょうへいおれのこと甘やかしすぎだなぁ』
「祈織だって甘やかされんの好きだろ」
『うん』
と、うなずいてきょうへいの目を見ると
きょうへいはよしよしと頭を撫でてくれる
『ほら、きょうへいはもう寝なよ。おれきょうへい熱出てると嫌だから』
「わかってるよ、じゃあ寝るか」
と、きょうへいは少しだけ寝やすい体勢に身体を動かして目を閉じた
きょうへい、
実家帰ったタイミングで熱出すなんて気が抜けたのかな
いつもはおれと2人だから熱だせねえんじゃないのかな?
今はいいけど、ずっとだったらやっぱり疲れちゃうんじゃないかな
5年?くらい一緒に暮らしてるけどきょうへい熱出したの1回くらいしかないよなあ
おれは季節の変わり目とかよく熱出るけど。
いつまでも今のままでいられないんじゃないのかな、と少しだけ頭の端に浮かんで
すぐにその考えを振り払った
きょうへいの熱治ったら
きょうへいにもちゃんとおれのこと頼っていいって教えてあげよ
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