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第196話

熱が下がったけど 実家にはかえらず 残りの正月はゆっくりしていた 会社が始まってふと気付く 『あ』 結局初詣行ってないや 熱が下がったあとも なんかあんまり元気が出なかった 『きょうへい、』 「どうした?」 『…』 初詣行こ、と言おうか迷って 今更って思われそうだから言うのをやめた 『あ、あの、さ、』 「うん」 『熱出して、どこにも行けなかった』 「お前の実家帰れなかったな、今度の休みにでも行くか」 『うちはいつだって行けるから』 「いや、挨拶はちゃんとしなきゃだろ?」 『うん、それは分かったけど』 「あー、今月末まで俺らで土日休み合わせられそうな日ないかもな」 平日なら休み合わせられるけどお父さん休みの日考えて土日の事言ってるんだろうけど それより初詣、 まだお願いしてないんだよな きょうへいとずっと一緒にいられますようにって 1人で近くの神社探して行ってこようかなってちょっと考えたけど やっぱりきょうへいと行きたかった 「お前1人で行っといで、俺なんか挨拶で祈織の実家に送らせてもらうから。親御さんも早くお前に会いたいだろ」 『ええ、でも。いいよ別に。おれだって前からそんな帰ってなかったし』 「だからこそだろ。今はちゃんと勤めてるんだから実家に挨拶行け、大人だろ」 と、少し怒られて なんか嫌になる 別に実家なんて帰る用事ないのに 『わかったよ、もう1人で行くから』 「じゃあ来週の土曜、お前だけ休みにするからちゃんと行けよ」 『…きょうへいと行きたいのに』 「ごめんな、挨拶しといて、お父さんとお母さんに」 と、頭を撫でられて ふん、とそっぽを向いて仕事に行く準備を始める 『…もう、早く、仕事の準備しよ』 「そうだな、朝飯は?」 『なんでもいい、』 「…祈織、そんな顔すんなって。かわいい顔が台無しだろ」 『別にかわいくねえし』 ほら、ネクタイ と、ふん、とそっぽを向くおれを自分の方に向かせてネクタイをしてくれるきょうへい 目の前にきょうへいがいるから きょうへいの顔を見てると キスしたくなる、と、目を見る ネクタイを結び終わったあと きょうへいの手がおれの顔に添えられて キスしてくれる、と目を閉じようとした 「あ、祈織のパンツの中にパット入れてねえ」 と、きょうへいが言うから 肩透かしというかガッカリして目を開ける 『…そんなんいらないし』 「でも寒いからおしっこ我慢しにくいだろ、今」 『やだ、いらない』 「この前初詣の時も寒くて出ちゃっただろ」 『…それは、』 そうだけど…… 会社の時はヒートテックのやつも履いてるし 会社の中はそんな寒くないから平気なのに 一昨日は1回パンツの中にしたけど、 昨日だっておもらししなかったし、 『入れない、昨日おもらししなかったし、』 「昨日パンツに半分くらい出ちゃってただろ。あと今日はおねしょだったろ」 『……おねしょ、いっぱいじゃなかったじゃん。寝るとき用のパンツに収まるくらいだったし…途中起きて残ってたのちゃんとトイレでできた』 「泣きべそかいてたろ、パンツ濡れたって」 『…だって、』 「おねしょもパンツ濡らすのも大丈夫だったら大人パンツにしよ。今日は我慢」 冬だからちょっとパンツ濡れるくらいちびることなんてよくあるのに、おもらしじゃねえのに きょうへいは厳しいんだよなあ それに子供扱いももう嫌なのに ゴソゴソとなんのえっちな気なしに 股間を弄られているのが逆に恥ずかしい 昨日はもこもこパンツだけだったのに 今日はパットも入れられたから なんか降格した気分だ よし、ときょうへいはおれのパンツを元に戻して 自分の準備を続けるのが気に食わなくて 『………』 おれは椅子にすわって おしっこでるかな、と そのままお腹の下に力を入れる 朝トイレ行ってからまだそんな少ししか経ってないけど しょろ、 しょろろろ、 と、お腹の中で作られたばかりの 温かいおしっこがパンツの中にじんわりと広がる ふぅ、おしっこでた、 「祈織、朝やっぱりフレンチトーストの所にするか、年明け初めてだし」 『きょうへい、おしっこ』 「おしっこ?トイレ行っといで。一緒に行くか?」 『ちがう、パンツの中』 「は?漏れたの?」 『うん、漏れた』 「まじかよ、見せて」 と、きょうへいは髪をセットしていたから 手を洗ってから すぐにおれの所に来てくれて パンツの中を覗いてくる 「あー、本当だ、出ちゃってんな。とりあえずパット替えるか」 『うん、』 「とりあえずソファの方行ってな」 具合悪い?と心配されると 申し訳ないのと 嬉しいの両方で ちょっと自己嫌悪 『…ごめんなさい、』 「おしっこしたくなっちゃったか。キレイにしよ」 『…うん、』 すぐにきょうへいはパットを剥がして 新しいパットに付け替えてくれる そして汚したところも拭いてくれるけど 「祈織、なにが嫌だった?」 『え?』 「やっぱり俺と一緒に実家行きたかった?」 『それは、』 「俺に構って欲しくて漏らしたのかなって」 『…だって、』 「ほら、キレイになった」 『…だって、パットやだった、』 「パットがやだったか」 と、きょうへいは笑って できた、とおれの服装も元に戻す 『怒った…?』 「怒ってねえよ。まぁ俺が言うこと聞いてやらなかったからな」 『…ごめん、本当は、きょうへいに構って欲しかっただけ、』 「うん、知ってるって」 と、きょうへいはまた少し笑った おれ、きょうへいに構って欲しくて漏らすの 本当にガキみたい でも、きょうへいはそれをわかってて許してくれるんだ 悪いことしたなって思った でも、そんなおれの事わかっててくれるきょうへいに嬉しくなって 『きょうへい、ごめんね。もうわざとしないから』 「いいよ、お前が嫌だった時またしな」 と、きょうへいは頭を撫でてくれた ごめんね、 もうわざとしない わざとこんなんしなくても、 きょうへいはおれに構ってくれる わかってたはずなのにな でも不安になってきょうへいを試してしまった もうやめよ、そんなんしなくても大丈夫だった

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