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第200話

おねしょなかった、と 今日も朝のパンツの中を確認して 安心すると同時に少しのもやもや 『きょうへい、』 「どうした?起きたくねえの?まだ眠い?」 と、先に起きていたきょうへいが 歯を磨きながらベッドの中の俺を覗き込む 起きたくない、身体が重かった でも起きなきゃ置いてかれる、と 『おきる、』 「じゃあおいで」 『おねしょ、』 「してなかったろ?」 『うん、』 「暖かくなってきたしな。このままおねしょ卒業だな」 『できるかな、』 「大丈夫だろ、ほら、顔洗っといで」 『うん』 まずはおしっこ、と 朝まで我慢できたおしっこをちゃんとトイレで済ませてから 顔を洗っておれも準備を始める 「朝飯どうする?」 『なんか、フルーツ食いたい』 「フルーツ?朝飯?」 『うん、さっぱりの気分』 「フルーツかー、なんかあったかな」 と、きょうへいが髭を剃りながら考えてくれるから きょうへいの後ろの床に座ってそれを眺める 「洗面所待ち?ちょい待ってな」 『さき着替えてるから平気、今日はまだ時間あるし』 今日の出勤の時間はゆっくりの予定だった 顔は洗ったし、と スーツとネクタイを選んでリビングに持っていく 喉乾いたな、とウォーターサーバーの水を飲む 朝だから冷たいのでいいや なのに、さっきトイレ行ったばっかりなのに 冷たい水を一気に飲んだからか 背筋がぶるっと震えて じわり、と股間があたたかくなった 『え?』 なんだ?とすぐにスウェットのゴムを引いて確認すると 『ぅわ、きょ、きょうへい』 「なんだ?どうした?」 『おしっこぉ、』 「は?」 『おしっこでた』 びっくりしておもわずきょうへいを呼んでしまった 「は?おしっこ?漏れたの?」 『うん、』 と、濡れてしまったパンツを見せる 先っぽのところに丸く 大きな染みができてしまっていた 「どうした、急に」 『水飲んだら出ちゃった』 「お腹ん中ちょっと残ってたのかもな」 『なんで、』 卒業って、話してたのに 「ちょっと濡れただけだろ、そんな顔すんなって」 『だって、急に』 「パンツ替えちゃお」 と、さっさとおれのパンツを脱がして 情けないおもらしちんぽを拭いてくれる 新しいパンツを出して足元に広げてくれるけど やだ、と首を振る 「どうした?」 『…パンツ、やだ』 「なんで、ちょっと出ちゃっただけだろ」 『急にでたじゃん』 「ん、じゃあおむつにしよ。今日は。調子悪いのかもしれねえし」 おむつはちょっとやだった もこもこしてかっこ悪いから 『…うん、』 「何ちょっとチビったぐらいで情けねえ顔してんだよ」 『だって、』 ほら、とおむつを上まで上げて ズボンと履かせてくれる 「今日はネクタイそれにすんの?」 『うん』 「貸して」 と、ワイシャツも着せてくれてネクタイも巻いてくれる 置いてかれないように、 ネクタイの巻き方も見て 最近はちゃんと時分で巻けるように覚えたけど 今日はやって欲しいから全部きょうへいにやってもらうことにした 着替えをやってもらったら なんか大丈夫な気がしてきて 自分で髪も支度の続きもした 「よし行くか」 『うん』 と、荷物を持ってきょうへいの後ろをついて行って車のいつもの席に座る 「今日は出張持ってくプレゼン資料まとめるか」 『うん、おれでも今日送迎いれちゃった』 「何時くらい?」 『16時から3時間くらい』 と、きょうへいは運転しながら今日一日の予定を確認する 「あ、やべ。新幹線とホテル取ってねえじゃん」 『あー、それおれもう取ってる』 「は?やっといてくれたの?」 『うん』 「ええ、まじで。そんなんやってくれんの」 『だって、ヤナギさんやってたじゃん』 「そうだけど。まじか。助かった、さんきゅ」 『出張一緒に行くのおれだけどいいよね?』 「あぁ」 『ん。じゃあ今日中に紙もだしとく』 と、やる事を手帳に書いておいて忘れないようにする 「最近お前言わなくてもやってくれるから助かるな」 『うん、きょうへいの役にたちたいし』 「偉いなあ。給料上げなきゃなー」 『いいよべつに。今まで通りで』 「そういう訳には行かないだろ。つかお前欲ねえな。出世欲とか物欲とか」 『んー、べつに。きょうへいの所で働いてるからべつに偉くならなくていい』 と、ぼーっと窓の外を見ていたが なんかもやもや、 もぞもぞ? いや、くらくら? あ、これ、 『…きょうへい、きもちわるい』 「きもちわるい?酔った?」 『…かも、』 きもちわるい、 胸の中がもやもやするような 頭がくらくらするやつ 「ちょい窓開けるな。我慢できる?袋、」 と、きょうへいは運転しながらも 窓を少し開けてくれて 黒いビニールをおれの膝のところに置く まだ、吐きそうな程じゃない、 でも1度きもちわるいのを認識したら どんどん気持ち悪いって事ばっかり考えてしまって 『ぅ、んん、きもちわるい、』 気持ち悪いし、なんか悲しくなってくる 「気持ち悪いな、止まるからちょい我慢な」 と、ちょっと車を走らせてから 車は止まってきょうへいがドアを開けてくれる 『どこ?』 「ん?コンビニ。ちょい休憩しよ」 『休憩…、』 「うん」 おいで、と車から下ろしてくれて コンビニの横のベンチに座らせてくれる 『ふぅ、』 「降りたらちょっとマシだろ」 『うん』 「ちょっとそこで空気当たってな」 『きょうへいは?』 「ちょいコンビニで買ってくるから」 『…うん、』 車から降りたけど 気持ち悪い、まだ頭がくらくらする 太陽の光が気持ち悪くて 日陰に移動して下を向いて顔を隠していると ちょっとしてからきょうへいが帰ってきて隣りに腰を下ろした 「ほら、飲み物色々買ってきたから。飲めそうなやつ飲みな」 スポーツドリンクに 温かいお茶 あとはオレンジジュース おれが飲みやすいやつ選んできてくれたのかな その中からスポーツドリンクを選んで1口のむ 冷たくてスッキリした 「1度家帰るか」 『ええ、会社は?』 「具合悪いと仕事出来ないだろ」 『…だって、…ごめんなさい』 また迷惑かけた、と悲しくなった 「いや、最近休み取れてなかったから俺のせいだよ。ゴメンな。1回家帰って大丈夫そうなら午後家で仕事しよ」 『…うん、』 「プレゼン資料、家でもできるしな」 『そうだけど、』 「やっぱり今日ちょっと調子悪かったな。何となく気付いてたのに連れてきたの俺がダメだったな」 『…おれ、自分でも調子悪いのあんまりわかんなかった』 「貧血かな?熱ねえよな」 と、おれのおでこを触る 『うん、熱ないと思う』 「寝不足かもなあ。最近忙しかったし」 『ごめんなさい』 「謝んなくていいって。ちょっとマシになってきたら帰ろ」 『…うん、大丈夫かも、』 「そっか、じゃあ家帰って寝よ」 と、きょうへいはおれが飲まなかった物が入ったコンビニ袋を持って先を歩くから おれも後ろをついて車に戻る 『おれ、結構すぐ体調悪くなるじゃん、きょうへいは滅多に体調悪くならないのに』 「個人差だろ、そんぐらい。あきらくんなんて二日酔いでたまに休むだろ?」 『…ヤナギさんは休まないよ』 「タキだってこの前おたふくなって休んだろ」 『おれも、年末年始熱出た、』 「それは俺も出た」 『…そうだけど、』 「気持ち悪かったら我慢しなくていいから。袋もっときな」 と、おれが隣りに座ると直ぐにエンジンを掛けて黒い袋をくれる ちょっと外に出たし飲み物飲んだから気持ち悪いのマシになった おれ、身体強くなんないのかなぁ きょうへいにまた迷惑かけた、 「今回自分で気持ち悪いのちゃんと言えて偉かったな。お前が教えてくれなかったら俺もそのまま会社連れてってたし」 『だって、気持ち悪くなっちゃったから』 「祈織、前言えなかったろ。言えるようになって偉いって言ってんの」 『偉くないよ、』 「偉いよ。お前体調悪くてもあんまり自分から言わねえじゃん」 『だって、迷惑、かけたくないから』 でも、我慢したらもっと迷惑かかるって 気付いたし 「だろ?俺もなかなか言えねえもん」 そっか、 気持ち悪くなって帰ることになったから 迷惑かけたって思ったけど きょうへいが褒めてくれたから ちゃんと言ってよかった ちゃんと言えるようになったから、 あとは、体調悪くならないように 身体強くなったらいいなあ きょうへいみたいに鍛えたら 強くなるかな?

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