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第2話

入学式が終わり、HRが終わった。 悠星のクラスは割とお喋りな生徒が多くて賑やかな感じだった。 そして彼の後ろの席は、さっき友達になったばかりの翔太。翔太について分かった事と言えば、明るく気さくで友達が多い...なだけではなく。 「翔太、ってさ」 「ん?」 「随分モテるんだな」 HR中ずっと感じていた熱い視線。それはもちろん悠星に対してではなく、後ろに座ってたイケメンに対してのもの。 「さっきから女子がチラチラお前の事見てるし」 「あーあんま気にしてなかった。...羨ましいか?」 随分と余裕そうに翔太が笑い返した。 「っ!!なわけねーよ!」 「ほんと?」 「からかってくんな!」 「ははっ、だってお前面白いし」 「.......っ!」 会ったばかりのこいつに遊ばれるとか...!!ムカつく! するとそんな悠星の思いに気づいたのか、翔太が俺の頭をぽんぽんと叩いてきた。 「まぁまぁそんなに怒るなって。確かに俺はモテる。でも俺以外にもモテる奴はいるよ。例えば...安田先輩とか」 その名前を聞いた瞬間、壇上で喋っていた彼の顔が、声が、頭に浮かんだ。誰にでも爽やかな笑顔を振りまき虜にする。でも彼が振りまいてるのは蜘蛛の糸。餌食になってしまえば、もうそこから逃げられない。 黙ってしまった悠星を不審に思った翔太が、彼の顔を覗き込む。 「...悠星?なぁ聞いてる?」 「えっ、あぁ聞いてる聞いてる」 「大丈夫か?あ、そういや入学式の時も顔色悪かったよな?知り合い?」 「...幼馴染」 やっぱりあいつの話をするのは楽しくない。 ...胸がモヤモヤする。 「え!?マジで!?」 「うん...ってこの話はもういいからさ、帰ろう。」 そう言って立ち上がった時だった。独特の呼び出し音が校内に鳴り響く。 『1年A組、田口悠星君。至急、生徒会室に来て下さい』 「...は?」 一瞬耳を疑った。しかしそれは嘘とは告げてくれない。 『繰り返します。1年A組田口悠星君。至急、生徒会室に来てください』 クラスの奴らが悠星を見て驚いてる。 いや一番驚いてんのは俺だからな!? でも、何で生徒会に呼び出されなきゃいけないんだ?嫌な予感しかしない。 「悠星...お前何かやらかした?」 「いや?全く」 「じゃあなんで...」 「そんなの俺が一番知りてーよ!!」 思わず悠星は声を荒げた。その声は予想に反して教室に大きく響き、周りの生徒が一斉に悠星を見る。この異様な空気のお陰で逆に落ち着いた。 「あ...悪りぃ」 「や、大丈夫。...どうする?」 翔太の不安そうな顔を見て申し訳なく思うが、今日はまさかの出会いのせいで落ち着かない。 「帰るに決まってる」 悠星と翔太は荷物を持って廊下へ向かった。 あいつには絶対に関わるもんか。 そのはずだったのに。

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