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第4話

決心してここまで来たものの、プレートに書かれた文字を見るとどうしても後ずさりしたくなる。 『生徒会室』 悠星と堺はその扉の前に立っていた。そして未だに堺は俺の腕を掴んだまま。来る途中何度も何度も離してくれと言ったが、その度に駄目だと言われ続けたので悠星は諦めた。 堺の手がスッとドアに伸び、軽く2回ノックをすると、中から聞こえて来たのは式典で聞いたのと同じ声。 「どうぞ」 その艶を含んだ声に、思わず身震いする。堺の後に続いて...というか腕を引かれて悠星は前へ進む。恐る恐る中へ入ると、そこは会議室の様だった。コの字に並んだ長机に椅子。またサイドの棚には沢山の資料が綺麗に並んでいた。 部屋の中の様子を見渡している頃には、堺の手は腕を離れていた。そしてこの中心にドアとは対極にある、真正面の椅子に座っている1人の人物。逆光でよく分からないが、恐らく整っているであろう容姿に目がいく。 逆光の中にあるそいつがゆっくりと口を開いた。 「久しぶり」 何度も聞いた懐かしい声にビクッと肩を震わせ、思わず一歩後ずさる。 その長い指にスッとこちらを見据える瞳。一つ一つが俺のものとは違う。本当に同じ人間なのだろうか。 そんな事に思いを巡らせていたら、もう一度その口がゆっくりと動く。そして艶のある唇から紡がれたのは。 「悠星」 自分の名前だった。まるで耳元で囁かれているみたいなその声に、身体全身にビリッと電気が流れた気がした。 何か言わなきゃ。 でもあいつに見られてると、まるで心のうちまで見られているようで思うように声が出ない。 数回の口パクをした後、やっとの思いで悠星は声を出した。 「...何の用だよ」 さっきの放送の時からずっと思っていた事だった。 「久々の再会だよ?ゆっくり話したくて」 雅樹はそう言って悠星の元へ歩いて来た。歩き姿までもが絵になる姿に思わず見惚れかける。ニコニコと、まるで悠星に会えるのが本当に嬉しいみたいに。今更そんな態度取るんじゃねーよ。 「俺は話す事なんて何もない」 「まぁまぁそんな事言わずにさ」 雅樹は少し困ったような笑顔をしてくる。 だがその宥めるような扱いをしてくるのも気に入らない。 「そんな無駄な話をするために呼んだのか?なら帰る」 お前に割ける時間なんて少しもねぇよ! そんな毒を心の中で吐きながらドアの方へ向かった。 しかし。

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