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第8話 side 雅樹

悠星が飛び出て行ったドアをジッと見つめる。 あんなに必死になっちゃって...どうせ明日も会うのにな...ああ本当可愛いすぎる...!!! 額に手を当ててそんな事を考えていたら、怪訝な顔をした亮介に呼ばれた。 「...おい」 「んー?」 「逃してよかったのか?」 「別にー。どうせまた明日も会えるし。というかもう俺から逃げらんないし」 「......」 ドン引きされてる気がする。まぁいいけど。 「...つーかお前、知ってたんだな。あいつが帰ってくる事」 「もちろん。予定通り来てくれて良かったよ」 「予定通り?」 「ああ」 引っ越して来てから、隣の家の悠星は雅樹にとって本当の弟のようだった。周りの大人からも、そんな雅樹達は兄弟のように見守られていた。 だから、悠星の母親は、信頼出来る雅樹が居るところの方が安心だと言って悠星を彼のいる学校へ入学させたかったらしい。 雅樹に任せていれば安心だと思っていたのだろう。 まぁ、当然の如くこの先も一緒にいるつもりだったから、この時点で雅樹と、悠星の母親との利害は一致。 あとは、雅樹がいると知ったら逃げるであろう悠星を、どうやって、バレずに誘き(おび)寄せるか...。 じわじわと、 外側からゆっくりと、 でも確実に、コマを進めてきた。 全ては計画通り。 あの絶望の顔も、快楽に堕ちないよう足掻く姿も全てが予想通り。 まぁ一つ疑問に思うのは、感度が良すぎたこと... いやこれは考えすぎか。 あぁ本当、 早く、早く俺のものにしたい。 俺が居なきゃ生きていけないように............... 「雅樹」 振り返ると、呆れた顔をしてこちらを見る亮介がいた。 「お前って本当...敵に回したくない男だな」 「それは褒め言葉として受け取っていいの?」 ニッコリと視線を向けると、頭を軽く叩かれた。 「痛っ!」 「どこが褒め言葉なんだよ...もう帰るぞ」 既に荷物を持った亮介がドアへと向かう。 慌てて荷物を持って後を追った。 これからが楽しみだ。

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