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第18話
翔太も悠星同様、棚からちらりと顔を出して店の外を見てみると、私服姿の雅樹と堺が並んで歩いていた。
「あ、ほんとだ。あの二人って意外と仲いいよな」
「なー…、つーか休みの日まで見たくなかったわ…」
「ははは」
悠星と翔太は周りの客に怪しまれないよう、近くにあった靴を手に取りながら小声で話していた。
「まぁここ、学校からも割と近いしね。それにもうこっちには来なさそうだよ」
翔太の言う通り、雅樹と堺は店を通り過ぎて行った。
「はぁぁぁぁ…。ごめんな急に」
悠星は謝りながら立ち上がる。翔太は近くの椅子に腰掛け靴の試し履きをしていた。
「ううん。ていうか悠星ほんとに先輩達苦手なのな。あ、コレ良さそう」
「苦手…というか条件反射で…」
「ははは。俺ちょっと店員さんとこ行ってくる」
「おう」
翔太は悠星の返事を聞くなり頭をくしゃっと撫でてから、試し履きをしていたスパイクを手にして店員の元へ歩いて行った。
悠星は撫でられた頭を軽く押さえながら、先程雅樹達がいた辺りをじっと見る。いちいち反応してしまう自分に嫌気がさして溜息が出た。
翔太は色々試した結果、お気に入りの一足を漸く見つけ購入した。
「やっぱ新しいスパイクはテンション上がるな!」
と、いつも以上に嬉しそうだった。
そのあと悠星と翔太は、本屋を見たり文具を見たり。普段からあまりオシャレに興味の無い悠星は、翔太に予算内で見繕ってもらったりした。
「私服カッコよかったから興味無いとか意外だな」
「はは…これも選んでもらったやつなんだ」
「へぇ、誰に?」
「あー…友達?」
「歯切れ悪りぃのな」
「…相手が年上だからさ。友達って言っていいのかちょっと微妙で」
「なるほどな」
その後も話しながら、翔太は俺の体に何着もの服を当てながら選んでいった。
3、4回のファッションショーを終え、服を購入した2人が店を出てきたのは時計が14時を回った頃だった。
「あー…腹減った」
悠星がお腹をさすりながら眉を下げる。
「あ、もうこんな時間か!楽しすぎて気づかなかったわ」
!!!!!
…こいつ結構ストレートだよな
へへっと眦 を下げて笑う翔太を見て、頬が少し熱くなった悠星は俯いて顔を隠そうとする。しかしそんな悠星の内心を知らず、翔太は逆に心配して顔を覗き込んで来た。
「どうした?あ、腹減りすぎて気分悪い?」
「ちげーわ!つかほんと腹減った。どこ行く?」
顔の火照りを隠すように近くに館内案内の看板がへズンズンと向かおうとすると、あ、と翔太が呟いた。
「ここから10分くらい歩いた所に喫茶店があるんだけど、そこでいい?」
「え?うん」
喫茶店…?
普段あまり外出しないので思い当たる場所が無い。こいつ何でも知ってるのな…と半分感心していると、翔太がモールの出口へと歩き出した。
「隠れ家みたいなとこなんだけど、雰囲気落ち着いてるし絶対気に入ると思う」
「へー、そうなんだ。楽しみだな!何でそんなとこ知ってんだ?彼女と行ったことがあるとか?」
「違うし!というか俺彼女居ないし」
「じゃあ元カノ?」
「それも違う!…兄ちゃんから教えてもらったんだよ」
「そうなんだ」
2人はたわいない話をしながら喫茶店へと向かって行った。
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