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第25話
翌日月曜日。
この日のお昼も悠星達4人は一緒にご飯を食べていた。
因みに天候や気分によってこの集まりは場所を変える。大体あまり人が来ないところになるので屋上か生徒会室が主だが、ごくたまにベンチのある中庭や食堂になる事もあった。
今日は晴れたので、いつもの通り屋上だった。昨日も晴れていたし、梅雨明けはもうしているのかもしれない。
悠星はこの所、おかずをほんの少し多めに作って来ていた。理由は簡単で、みんなが美味しいからと欲しがったからだ。毎回毎回強請られ交換して…を繰り返していたので(その事自体は嫌では無かったが)、もう別に作る事にした。
それを見た悠星以外の3人が次の週、同じように自分の弁当とは別におかずを持ち合い、今では小さなピクニック状態だった。これが毎日だったら流石に大変だが、週一の昼食でだけの事なので、みんな楽しくやっている。
「亮介先輩それなんですか?」
悠星は、亮介の持ってきたタッパーを指して聞いた。中には乾燥したれんこんやいんげんが入っていた。
「野菜チップスだよ」
「へえ!」
それに食いついたのは翔太だった。
「食っていいすか?」
「どうぞ」
亮介の差し出したタッパーかられんこんを一つ取って口へ運んだ。
「美味いっす!」
「そう?良かった」
亮介は5人兄弟の長男だ。悠星とは違った理由で料理や家事が上手かった。
「さすが亮介だな。まあ悠星には負けるけど」
雅樹が悠星の作った卵焼きを食べながら得意げにしていた。
「俺を引き合いに出すんじゃねえ」
悠星が亮介のおかずを一つ食べた。目をぱっと見開いた後、美味いっす、とぽそりと亮介へ言った。亮介はそうかと柔らかく微笑んだ。
因みにピクニックが始まってから何回目かの月曜日になったが、悠星が雅樹のおかずを食べたことはまだ一度もない。
「あっ」
予鈴が鳴る5分前。翔太がハッと顔を上げる。
「やばい日直じゃん!!」
翔太が急いで弁当箱を片付ける。亮介も、あ、と一拍遅れて片付け始めた。
「あれ、亮介も?」
雅樹が亮介へ尋ねた。ああ、と短く返事をして翔太に続いて立ち上がる。
「悠星ごめんな」
「いいよいいよ」
翔太の謝罪に悠星は首を振る。彼の返事を最後まで聞いてから、翔太と亮介は共に出口へ走っていった。走り去る2人をじっと見つめながら、悠星はこの空間に居る理由もないと弁当を片付け始める。
「悠星」
雅樹は悠星の後ろ姿に声をかけた。
「…何」
悠星は後ろを振り返らず、雅樹にそっけない返事を返すだけだった。
「…これ、作ったんだけど、食べてみてくれない?」
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