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第39話

中に入ったとたん目に入ってきたのは、パソコンで猛烈な勢いで資料作成をしている雅樹だった。気迫が物凄くて思わず二度見をする。 「あの…。アレ、のせいで俺が呼ばれたってこと…ですか?」 若干…いやかなりドン引きながらも、悠星は両サイドの先輩たちに説明を求めた。 「やばいよねー…。まあ色々理由があるんだけど」 そう言いながら神野は机の上に弁当箱を置き、雅樹の元まで歩いていく。 「会長、”愛しの”悠星くんが来てくれたよー」 ぽん、と雅樹の肩に手を置く神野を悠星はガン見した。 愛しのって何だとか、来てくれたんじゃなくて半分攫われて(?)来たんだとか諸々を突っ込むよりも早く、雅樹がガタンと椅子を後ろにひっくり返しながら立ち上がった。 そのままずんずんと悠星のもとへ歩いてくる。彼の気迫に気圧された悠星はくるっと背を背け廊下へ出ようとしたが、藤井に肩を掴まれ再び雅樹と向き合うことになる。 あれ、なんかデジャヴだな… 頭の隅でそんなことを考えているうちに、いつの間にか正面から雅樹に抱きしめられていた。 「ちょっ」 「あー悠星だー悠星がいるー」 雅樹は悠星に頬を擦り付けてきた。いつもより覇気の無い雅樹の甘えに違和感を感じつつも、周りからのにこやかな視線を感じてどんどん顔が熱くなっていく。しかし、彼から早く離れようと身を捩れば捩るほど雅樹は更に抱きしめてきた。 「く、苦しいってば!」 「悠星悠星悠星~」 話にならない雅樹をそのままに、悠星は顔だけ藤井に向けた。 「…説明お願いします」 「…ああ。もうすぐ夏休みだろ?2学期入ったら文化祭あるから、その事前準備で今生徒会の忙しさが尋常じゃなくてだな…」 そう話す藤井にも少し疲れが見て取れた。 悠星や生徒会以外の生徒たちは期末テストも終えて夏休みを待つだけだったが、まさかそんなことになっていたとは。 「夏休みとかにも分散させれば…」 「遊びたいから無理!!!」 後ろから食い気味に神野の声が飛ぶ。 「…というみんなの意見の一致でな。まあみんなで頑張ってたんだけど、一昨日堺がぶっ倒れたんだよ」 「まじですか」 言われてみれば今日廊下で雅樹を見た時、隣に亮介は居なかった。割と二人でいることが多い印象だったので、少し不思議に思ったのだ。 「うん。だから亮介くんの分の仕事をみんなで分担してるんだけど、大半は雅樹くんが肩代わりしてくれてて…」 「ああ…」 神野の視線の先、首に顔を埋めたままの雅樹をそっと見上げた。 因みに生徒会メンバーは雅樹、亮介、神野、藤井の4人で全員2年生。常に人は募集中だがなかなか集まらない。ただ行事ごとに各クラスから委員会メンバーが集められるので、その面々とより協力してこなしていく。まあ、この形式は現メンバーが皆優秀すぎるので成り立っているのだが。

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