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第45話

不思議がる2人を見て、亮介は苦笑しながら説明してくれた。 「ああ、えっと…、俺の母親の弟にあたる人なんだがな。毎年夏休みに海の家をやってんだ」 「その手伝いを俺らがさせられてるってわけ」 この二人が店先に立つって… 悠星は、海パンに身を包んだイケメン2人が海の店で働いている所を想像した。なんか凄いフェロモンが溢れ出てそうで、そりゃあ客寄せにはぴったりだ…なんて思わず頷くくらいには様になっていそうだ。 「先輩たちがやってたらめっちゃ売れそうっすね」 翔太がニヤニヤと笑いながら言った。悠星も隣で頷く。 「ま、否定はしないかな」 雅樹もまんざらではないと言うように頷いた。 「でも辰正(たつまさ)さんめっちゃこき使ってくるんだよ。相当疲れるよ」 辰正とは亮介の叔父、海の家の店長だ。 「その分賄いと、あと少ないけど給料出してくれる」 亮介が話し終えた時、顔をパッと輝かせて雅樹が悠星達を見た。 「ねぇそれさ、2人も来ない??」 「…海の家?」 悠星が怪訝な顔で雅樹に問いかける。 「そう!いつも人手不足だもんね?」 雅樹が隣の亮介へ尋ねる。 「まぁ…うん、いやかなりそうだな…。わざわざ俺らを呼ぶくらいだし…」 亮介がうーんと悩んでから、悠星と翔太へ顔を向けた。 「2人がいいなら、是非来て欲しい。ただ予想以上に忙しいと思うから、嫌なら断ってくれて構わない」 「あ、俺らは去年1週間くらい居たんだけど、帰る前日は早めに上がらせてもらって近くでやってるお祭りに行ったよ。その分のお金も出して貰ったし」 「…海、お祭り、…花火もやりません?」 翔太がニヤリと提案した。 「いいじゃん!今年は賑やかになるな!」 翔太の提案に雅樹が嬉しそうに笑った。 「ただ俺部活なんすよ。1週間は居れないんでケツ3日間とかじゃだめすか?てかいつですかそれ」 雅樹と翔太でどんどん話が進んでいく。確かに夏休みっぽい事…海に祭りに花火(しかも友達と)は楽しそうだが本当に行くのか…? 「悠星はどうしたい?」 不安気に2人を見ていると、亮介が優しく尋ねてきた。 「俺は…」 「嫌なら断っていいんだぞ。強制じゃないからな」 「い、嫌じゃないです。でも俺バイトした事ないし上手く出来るか不安で…」 「仕事に関しては俺らがフォローするから安心して。でも多分、悠星なら大丈夫だと思う」 「え」 沈みかけていた顔を上げると、亮介の優しい眼差しと視線が合う。お父さんみたいだなとつくづく思う。 「生徒会での仕事ぶりが本当に良かったからな。俺はそんなに心配してないよ」 顔が熱くなるのを自覚した瞬間、翔太がこちらをくるっと向いた。 「な!悠星も行かね!?」 翔太の嬉しそうな笑みに、亮介の信頼に、斜め前でそわそわしながら返事を待つ雅樹に断る気にはなれず、悠星は笑った。 「…行く。夏休み楽しみだな」

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