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第47話
「…ていうかそんな簡単にいいんですか?」
「うちの学校の生徒会には、本来役員以外のサポートしてくれるメンバーの”秘書”が居る…はずなんだ。俺らの代には居ないけど…。でもそれならいくら増えても大丈夫」
藤井が横で苦笑しながら説明した。常に人は募集中、とはこの事だ。本来なら毎年少なくとも2〜3人秘書はいるが、今年は集まらなかったらしい。
「夏休み明け、でもいいですか。返事するの」
このメンバーでなら、多分楽しくやれると思う。…けど、雅樹とずっと一緒に何かをやることは、まだ怖かった。
「…うん。考えてくれるだけでも嬉しいよ」
そう言って笑ったくれた亮介の顔を、悠星は正面から見ることが出来なかった。
―――――
夏休みのとある日。
翔太達サッカー部が5人で遊びに来てた所に悠星が合流した。と言っても本屋に居た所を翔太に発見され、気付いたら一緒に遊ぶことになったのだが。
そして今は、ジャンケンで負けた翔太ともう1人がみんなの分のジュースを買いに行っているのを待っている。
「悠星って俺らの事嫌いなのかと思ってた」
「なんで!?」
「だっていつも翔太としか居ねーじゃん」
「それは翔太の方が来るのが早いからだろ」
「ゆうせー!」
「ほら」
その時飲み物を買いに行っていた翔太達が戻って来た。
「いっつも翔太が最初に俺のこと呼ぶから…」
その翔太はというと、両手に炭酸を持っていたが、何故かそのうちの1本を全力で振っているではないか。
「はい、悠星これね。お前はこっち」
悠星と話していた奴に、翔太は遠慮なく振りまくった炭酸を渡す。
「はぁ!?なんでだよ!!」
「俺の悠星といちゃつくな!」
「お前は悠星の何なんだよ!!」
至極真っ当な反論をしているのに何故か痴話喧嘩のようになる2人を他のメンバー達は笑って見ていた。そんな中悠星だけがじっと静かに彼ら見ていたかと思うと、突然小刻みに震え始めた。そんな悠星の異変を翔太と買い出しに行っていた男子が気付く。
「田口?どうした?」
「いや…、あいつら…バカ過ぎて…」
心配しなくていいと言おうと顔を上げたのだが、どうしても視界に翔太達が入ってる。しかも、無事な炭酸を取り上げようとして両手の炭酸を振り上げている為、あれではどちらももうアウトだ。それに気付いた瞬間、
「…ぶふっ」
悠星は笑い過ぎてとうとうしゃがみ込んでしまった。その様子に後から気付いた翔太が心配して走り寄ってくる。
「悠星!?どうした??大丈夫か??」
翔太とやり合っていたもう1人も異変に気付いて焦り始めた。
「え!?何?大丈夫か!?」
「…ら…」
翔太が悠星の隣で同じようにしゃがみ込んで背中に手を添える。彼らの心配が逆に火に油で、悠星はますます笑いが止まらない。
「お前ら…バカじゃん…あははははっ」
顔を上げた悠星が涙を流すほど笑う光景を見て、当事者以外も皆笑い始めた。
「悠星やべえ」
「笑いのツボおかしいだろ」
「お前面白いな」
ようやく理解した翔太達も、少々照れながら一緒に笑った。
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