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第50話

翌日11時。 到着早々に深月の部屋に荷物を置き、2人は車で大型ショッピングセンターに来ていた。因みにここはスーパーとデパートが別フロアに入っており、以前翔太と来たところとは違う場所である。 着いて早々何を買うのかと思えば、自宅用のトイレットペーパーやペーパータオルからシャンプーや洗顔・洗剤などの日用品、食品など。買い物中は明日のことについて話していた。海の家に行くと言った時、訝し気な顔をしながら深月が悠星に尋ねた。 「…お前、サングラスは?」 「え?ない」 「キャップは?」 「ない」 「日焼け止めは?」 「…ない」 悠星は、段々詰め寄ってくる深月から顔を背けていく。そんな彼を許すはずもなく、腕を掴んでサングラス、キャップ、日焼け止めを買った。海を舐めるんじゃねえと怒られながら。そしてお互いにぱんぱんのビニール袋を両手に持ち、ようやく駐車場へ戻ってきた。 「結局俺は荷物待ちかよ…」 はぁ、と大きくため息を吐きながら、悠星は車のトランクに荷物を置く。隣に一緒に荷物を置いた深月がニヤッとしながら言った。 「だって中々買いに来れないからさ。ありがとな」 髪をわしゃわしゃと撫でられてしまうと怒る気も失せてしまう。手元の購入した品を全て車にしまい終え、深月はトランクを閉めた。 「飯どこ行きたい?」 2人とも車に乗り込んでから、深月は助手席に座る悠星へ尋ねた。もう時刻は13時を過ぎていた。今まで敢えて考えないようにしていた食事の事を聞かれ、悠星は一気にお腹の空き具合を実感した。 そして、お腹をさすりながら視線を窓の外に向け、小さな声で呟いた。 「…ス」 「ん?」 「オムライス。…深月の」 自分の顔が急速に熱を持って行くのを感じる。両手で顔を覆った時、背中にぐっと重みを感じた。 「そんなに美味かった?」 深月の吐息が耳にかかる。深月の声から伝わる色気に身体の奥が疼く気がして思わずぶるっと震えた。身体を固くして縮こまっていると、ふっと耳に息を掛けられた。 ビクッとして耳を抑えながら深月への方へ向く。ムスッとしながら見ると、深月は肩を震わせて笑っていた。 「深月!何すんだよいきなり!!」 「何って…。聞いただけだけど?」 相変わらず笑い続ける深月にまた恥ずかしくなってそっぽを向く。そんな悠星を見ながら深月はそっと悠星に近づいた。 「可愛い」 耳元で呟くと、悠星は膝に置いていたショルダーバッグで顔をガードした。深月がそれにまた笑ってから、車を発進させた。

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