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第67話
予想通り翔太には散々からかわれ、亮介には子供を見守るような眼差しを向けられ、雅樹には手を繋ぐことを強要させられた。断固拒否!…は到着早々やらかしたので他の二人からも却下された。
…おかげで手汗を気にする日が来るとは思わなかったが。
「どこか行きたい所あるか?」
前を歩く亮介が、隣の翔太へと尋ねた。
「射的やりたいです!あと焼きそば食いたい」
「本当に期待を裏切らないなあ。悠星は?」
「え…えっと…」
答えに少し戸惑っていると、雅樹がきゅっと手を握ってきた。優しい眼差しの彼を見て、悠星はゆっくりと口を開いた。
「俺も、射的…。あと、たこ焼きとイカ焼き…、とか。なんか美味そうなもの、がいい、です」
「よし、全部回ろう。ね、先輩達!」
悠星の答えを聞いた翔太がニカッと笑って彼らへ提案した。
「そうだな」
「もちろん」
「や、みんなが先でいいから…」
「そういうのないから!悠星、行きたいとこあったらちゃんと言えよ?」
翔太がぐりぐりと頭を撫でてくる。
「お前まで子供扱いするな!」
笑いが飛び交いながら、4人で出店を見て行った。
両手にたこ焼き、焼きそば、りんご飴に唐揚げ等、それぞれ何かしらの食べ物を持って歩いていると、射的の出店を見つけた。
「あ!射的!」
見つけるや否や、翔太がその出店に向かって駆け出した。
「あいつの方が子供じゃねーか…?」
翔太の後ろ姿を見ながらぼそっと呟く悠星の言葉に、雅樹と亮介が笑った。
「どっちもどっちだよ」
「でもお前の方が子供だよなー」
「そ、そんなことねーもん!」
ニヤニヤと覗き込んでくる雅樹に、悠星は頬を膨らませながらそっぽを向いた。
「翔太、どれ狙うの?」
悠星達が翔太の元へ着いたときにには、彼は既に屋台のおじさんにお金を払って射的用の銃にコルクを詰めていた。
「とりあえずまずは2段目の…」
そう言って打ったコルクは見事命中。お菓子の箱をゲットした。
「へえ、上手いじゃん」
「まあなー」
その後も翔太は5発中3発を当て、お菓子2つとランダムのミニプラモデルの恐竜をゲットした。
「それ欲しかったのか?」
「こういうのはやるのが楽しいんだって。悠星もやってみろよ」
「…そうだな」
翔太に言われ、悠星もお金を払って屋台のおじさんからコルクを受け取った。
「悠星はやった事あるのか?」
亮介から聞かれ、コルクの詰め方も分かっていなかった悠星はギクッと肩を揺らす。
「い…いや…ない、です…」
尻すぼみになっていく声を聞き、雅樹が悠星の持つ銃へ手を伸ばした。
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