80 / 88
第80話 ※
いつの間にか深月の手に馴染んでいたローションが、悠星の後孔をじわじわとほぐしていく。
「あぁ、あ…、んんっ」
彼の節くれた長い指に内壁を抉るたび、優しく擦られるたびに、下腹部はビクビクと跳ね、熱がどんどん溜まっていく。悠星が嬌声を上げるたび、彼の指使いはどんどん激しさを増していく。
「ね、いつまで、そんな…んんっ」
「俺は"エロ魔王"なんだろ?ご希望には添えてやらないと…」
「いいっ、そんな、希望、してな…ひぁッ」
そりゃあ、言ったよ?言っちゃったけどさ!だって雰囲気も何か違ったし。ていうかエロかったし!?現在進行形で雰囲気増してってるし?もういいだろそんなの……!
そう言いたいのに、胸中で言葉は沢山出てくるのに、悠星の口から出てくるのは甘い声だけ。
「あっあ、あああッ、ま、て、ミツ…ッ」
前立腺をぐりっと擦られ、ますます声が漏れてくる。そんな悠星の声にニヤリと満足げに口角を上げた深月は、後孔のふちに引っ掛けるようにして指を抜いた。「ぁうっ」と可愛らしい声を上げた悠星を見下ろしながら、今度は腹に付くほど立ち上がった己の雄を彼の後孔へとあてがった。
ぐちゅ、と厭らしい水音を立てながら、悠星の体内で徐々に存在感を増していく。この行為はもう何度目か分からないくらに重ねてきたのに、何度やってもこの瞬間だけはやっぱり慣れない。深月の腕に縋り付きながら思わず息を詰めていると、挿入が止まった。
まだ全部じゃないよな…と、頭の片隅でぼんやりと考えていた時、優しくキスされた。
「……っ」
パッと顔を上げて視界に入ってきたのは、目を細めて微笑んでいる、深月の優しい顔だった。
「なんつー顔してんだよ」
「ぁ…ごめ」
「息吐け」
「…は」
深月はゆっくりと悠星の頬を撫でながら、顔じゅうにキスをする。
おでこ、眉、瞼、こめかみ、鼻先、唇。
彼の優しい誘導のおかげで自然と力が抜け、目がとろんとする。その表情に再び微笑みを浮かべた深月は、今度こそ自らの雄をぐっと押し込んだ。
「あ、あ、あああ、んんッ」
ぱちゅんという音を立て、深月の熱を腹全体に感じる。この異物感に体が拒否反応を起こすことはもう無くなっていた。体内で感じる彼の熱に、頭が沸騰しそうだ。
は、は…と短い呼吸を繰り返す悠星をじっと見ていた深月は、ますます紅く色づいた悠星の身体を見て、楽しそうに笑った。
「はっ、悠星、可愛いな」
「か、わいく…っひぁ」
抗議の声を上げようとしたが、ずるりと彼の雄が体内を抜ける。ぞわぞわっと身体を駆け巡る快楽を自覚する暇もなく、深月が激しく腰を動かし始めた。
「ひっ、あ、あ、ああッ、ん」
「は…悠星、ゆうせ…ッ」
「ミツッ、あぁああ、あ、あっ」
ガンガンと身体が揺さぶられる。悠星は快感に振り落とされないように、深月の身体へ四肢を絡みつける。
「あ、ミツ、ダメ、イきそ……ッ」
「ハッ、イけよ、オラッ」
「あぅッ、ダメ、や、イく、イく、ぁぁああああッッ!!!」
頭が一瞬真っ白になり、視界がチカチカと瞬く。先ほどとは比べ物にならないくらいの快感を感じて一気に力が抜ける。
「ハ…」
深月の首に回していた腕をだらりとベッドに降ろして呼吸をゆっくり整えていると、深月が優しくキスをして、言った。
「まだ終わんねぇよ?」
え?と疑問が上がるのも待たずに考えが霧散する。
両足の内ももをがっちりと掴まれたかと思うと、深月の腰が激しく前後し始めた。
「あっ、ミツ!」
「俺イってねぇし」
「そう、だけどッ、んあぁッ」
「遠慮しなくていいぜ、ほらまたイけよッ」
ぐりッと最奥を抉られたかと思うと、溜まっていた熱が一気に放出される。
「あああああッッ!!」
「悠星…、ゆうせいッ」
「あ、まだ、イってる…ひぁッ」
「はは……ッ、イけよ」
「や、もういらな…」
既に悠星のモノからは潮を吹きだしていた。彼に突かれるたびにぴゅくぴゅくと液体が飛び出し、腹の上にも水たまりが出来ていた。
頬を赤らめ、己にいいようにされながらも熱い視線を送ってくる悠星に、深月は眉根を寄せながら苦し気に笑った。
「俺も、イくッ………ッ……」
その言葉と共に、どくんどくんと深月の熱がじんわりと悠星の腹の中に広がった。
「んアッ!」
深月の放出に刺激され、悠星のモノからも勢いの衰えた液体がぴゅくりと零れ出た。
互いの息遣いが響く中、深月は抱えていた足を降ろし、悠星へと覆い被さった。
ともだちにシェアしよう!