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side さくら 「どうしてですか? ソープなんて…」  怜の不満そうな声が聞こえてきた。 「うん…ソープでさ、いつもお願いしてた人がいるんだ。その人に会っておきたいなって思って。恋人が出来たって伝えたいし」 「さくらちゃんは、その人の事を特別に……」  怜がそこまで言って、頭を振った。 「いえ、そうですよね、対等な関係ってそういう事なのでしょう…」  怜がそう言って頷いた。 「俺も、出来ればセックスはしない…って、ソープ行ってそういうのってどうなんだろうなぁ? お金払うしなぁ。まぁ、良いや。怜もやってきても良いし、どっちでも良いよ。ただ、次は無しにして欲しい。俺も今後はもうソープ行かないから」  そう宣言したら、俺は何だか気持ちがすっきりした。  鼻歌を歌いながら食器洗いの続きをしていると、怜の声が再び聞こえた。 「あの、さくらちゃん、もしかしてソープ以外に女性関係って…」 「え?」  彼女が居た時期もあったけど、ここんとこずっと恋人なんて居なかった。 「違いますね…女性でも男性でも、他にはいらっしゃいませんよね? 恋愛関係だった方」  怜が心配そうに聞いてきた。そんなに心配しなくても大丈夫なのにな。 「あぁ、居ないよ。この数年、稼ぐことにかけてたし、性欲処理は時々ソープか店の客。でもどっちかっていうと、右手のお世話になってたことの方が多いかな」  俺がサラッとそう言うと、怜が小さな声で「うーん」と唸ったような気がした。 「もう、さくらちゃん…。何だか正直すぎて、私はちょっと悲しいです」  怜の声が少し怒っているみたいだった。 「隠しておくことでもないだろ…俺のなんて気持ちが入ってないやつばかりだし。でも、怜は愛あるセックスがほとんどだったんだろ? エロOLはそうじゃないって言ってたけどさ」 「まぁ、そうですけど……」  そう言った後、怜が急に立ち上がって台所にやって来た。 「さくらちゃん…」 「わっ」  怜が急に後ろから抱きついてきて驚いてしまった。皿を洗うのに邪魔なんだけど……。 「何だよ、怜…」  そう聞いたけど、怜はしばらく黙ったまま俺に抱きついていた。 「私、自分がこんなにヤキモチ妬きだとは思っていませんでした」  そう言って怜が俺の首筋に唇を寄せた。 「うわっ、くすぐったいよ」 「さくらちゃんは、私にセックスして来ても良いって言ってくれるのに、私はさくらちゃんが私以外の人と抱き合うなんて考えたくないんです……」 「そっか…ふふっ」  俺は怜がそんな風に思ってくれたことが嬉しくて、つい笑ってしまった。 「ごめん、怜。俺、単純に嬉しい。愛されてる感じがメチャメチャ嬉しい。だからさ、早く用件すませて、帰ってこようよ。時間によっては、一緒に食事して帰ろうぜ」 「わかりました。では、すぐに着替えます」  怜がやっと俺の身体から離れて、着替えに行った。俺も急いで食器を片付けて、出かける準備をした。 「じゃあ、また後でな」  駅まで一緒に行って、それぞれの目的地に向かった。

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