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side 怜 「沙江子さん、申し訳ありませんが。私には一緒に暮らし始めた人が居るんです。前から一緒に住んでいるのですが、その方と恋人と言うか、正式にパートナーとして…」  沙江子さんの腕を外しながらそう言ったのですが、沙江子さんは気にもとめない様子で、豊満な胸を私に押し付けてきます。 「別に…恋人が居るとか決まっている人が居るって気にしていなかったのに。私たちはただのセフレでしょ? だから、これからだって今まで通りで良いじゃない…」  沙江子さんの手が私の服のボタンを外そうとしています。私は慌てて沙江子さんの身体を押し戻しました。 「いえ。そうはいかないので…」  私は沙江子さんの服を拾い上げ、彼女に渡しました。 「そうなの? あなたが黙っていれば良い事じゃなくて? 私みたいに――」  沙江子さんはとても不機嫌な顔になってしまいました。こういう場合は、やはり行為を止めるべきでは無いのでしょうか…大変失礼にあたる気がします――。  おや? 「……沙江子さん…? 『私みたいに』っておっしゃいましたか?」  言い方が気になって聞き返しました。 「話していなかったかしら? そうよね、この間もあなたは私が眠っている間に帰ってしまったものね」  沙江子さんは気だるそうに私が渡した服を羽織りました。 「と言うことは?」 「前に付き合っていた人が、やり直そうって言って来て。だから…」  その言葉を聞いて、私はほっとしました。これで別の男性を探す必要はなくなりましたし、思ったよりも早く帰れそうな気がします。 「それは良かったです」 「まぁ、良かったんだけど…私、あなたの濃厚なセックスが好だったのにな…。やっぱりね、彼のセックスは全然物足りないのよ」  沙江子さんは羽織った服の前をはだけて、豊満な胸を私に見せつけているようでした。 「それは…沙江子さんが彼氏さんに教えてあげたらいかがですか?」 「でも…そんなことしたら、私がイヤラシイ女だって思われそうで――」  沙江子さんは充分イヤラシイですけど…と心の隅で思っていましたが…まぁ、本当の姿を見せられない関係は寂しいものですよね――。 「男性はイヤラシイ生き物ですから…。沙江子さんが普段見せないような姿を見たら、喜ぶかも知れません。あ、あの、いきなり見せてはいけないかも知れないですが――」 「そうね、そうかも知れない。ありがとう…」  沙江子さんがお礼を言ってくれたので、もうすぐ帰れる…と私は思っていました。ですが、やはりそうはいかなかったのです。

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