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side さくら
怜とわかれた後、俺はバーで働くようになってから行きはじめたソープに向かった。
その店に行くようになったきっかけは、店のママが「知り合いが居るから行ってみてよ」って紹介してくれたからだ。
怜に「やってきて良いよ」と言ってしまったし、怜はきっとエロOLの誘いを断れないだろうから、俺もルリコさんに気持ちよくしてもらってこよう。
だって、この先、女とセックスする機会はなくなるだろうから…。そう思っても残念な気持ちにもならないのは、怜の事がとても好きだからかな…。
いや、それもあるけど、俺ってもしかしたら男性として女性相手に奉仕するセックスよりも快楽をもたらしてくれる人との行為の方が性に合っているのかも知れないな――。
駅から続く道を歩きながらそんな風に思っていた。所々に看板が出ているこの裏道を通るのも今日が最後かも。って、別にそんなに頻繁に来ていたわけでもないし、また来ようと思えば来れるけど……あ、怜にはもうソープには行かないって宣言したんだったな。
いかにもって感じの看板が出ているビルの階段を上がって店の中に入り、ルリコさんを指名してから、半個室の待合室で飲み物を飲みながら雑誌を読んでいた。
しばらくすると、顔見知りのボーイが顔を出したので、少し話をしていた。
コータと言うそのボーイは、俺がオカマバーで働いているのを知っているからなのか、自分がソープで働いているうちに女性不振になってしまい、女性に興味を持てなくなったという話を始めた。
そこの店には居ないけど、他の店には、普通のOLや大学生が小遣い稼ぎの為、アルバイト感覚でソープ嬢をやっていることもあるのだ。で、コータは自分の親友の彼女が、この近くのソープで働いているのを見てしまったんだとか…。
親友にはそのことを黙っていたけど、結局、彼女がソープでアルバイトしていたことが原因で、親友と彼女は別れてしまったそうだ。
まぁ…自分の恋人がソープで働いていたら嫌かも知れないな――。これは、オカマバーで働いている俺が言えたことじゃないかもしれないけど。
それで、親友とその彼女のいざこざに巻き込まれてしまい、彼女が開き直って親友を攻めている姿を見ているうちに、今までもあまり女性に興味がなかったコータは、ますます女性が苦手になってしまったらしい。
女性がダメなら男性はどうなんだろう? って、出会いを求めゲイの集まる店に行ってみたけれど、男性が相手でも、好きになるとか付き合うのは違うような気がしたんだとか。
同性にしろ異性にしろ、出会いが少ない場所で恋愛するのは難しいかもな…とコータの話を聞きながら思っていた。
コータはひとしきり話をすると、他のスタッフに呼ばれ、慌ててスタッフルームにって戻って行った。
俺は時間をつぶせたから良かったけど…あいつ、怒られないと良いな――。
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