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side 怜 「さくらちゃん、急いで帰りましょう」  今すぐ、さくらちゃんの体温をこの腕に感じたいと思いました。 「何だよ…急に?」 「私、嫉妬しています、ルリコさんっていう人に。早く帰って、さくらちゃんを抱きしめたいんです」  そう言った私に、さくらちゃんが小さな声で「やった!」と言いました。 「え…?」 「何でもない。怜が嫉妬してくれて、嬉しいような気分だよ」  さくらちゃんが私の手を取って、ユラユラと揺らしました。 「そうなんですか?」 「そうそう。あー、『抱きしめたい』って、すっげー嬉しい感じ。怜がエロOLとやって疲れてるなら、今日は俺が頑張るよ。なぁ、コンビニで弁当でも買ってさっさと帰ろうぜ」  さくらちゃんがそう言って繋いだ手にギュッと力を込めました。 「せっかくだから、美味しいものテイクアウトしましょうよ」 「おう、賛成!」  それからふたりで、美味しいステーキ屋さんのお弁当を買った後、お花屋さんで小さなアレンジメントフラワーを買って家に帰りました。 「ちょっと待ってて下さい」  私はテーブルの上に、お花を飾りました。本当は料理をオシャレなお皿に盛りつけたい気持もありましたが、今回はやめておくことにしました。  ワインを開けて、お互いのお弁当をつまみあいながら楽しい夕食の時間を過ごしました。 肉を食べてワインを飲んだおかげで、私の身体も気持ちも良い感じに元気になってきました。  さくらちゃんがいつもよりも酔ってしまったようだったので、私はさくらちゃんがウトウトしている間に、片づけを簡単に済ませました。 「あの、さくらちゃん?」  私が声をかけると、さくらちゃんがビックリしたように目を覚ましました。 「あ、ごめん…俺、寝ちゃってたんだ?」 「ほんの5分くらいじゃないですか。お風呂に入ります? それとも…」  そこまで言うと、さくらちゃんが目をキラリと輝かせました。 「さ、ベッドに行こう。俺、頑張るよ」  そう言えば、朝もさくらちゃんに口で奉仕して頂いたような気がしますが――。 「食事をしたので、私も体力回復しましたし…2人で夜を楽しみましょう」 「おう」  私がさくらちゃんを抱き上げようとすると、さくらちゃんが「今日は俺が連れていくから」と言いました。 「大丈夫ですか?」  私はさくらちゃんにお姫様抱っこされていました。 とても奇妙な気分です。今まで何回ともなく女性を抱き上げてベッドに連れていくことはありましたが、自分が連れて行ってもらう事態が起きてしまうとは…。 「大丈夫だよ、俺だって男なんだぜ。経験はそんなに多くないけどさ、怜よりも重い女の子だって抱き上げてきたんだから」  さくらちゃんがそんな話をしながら私をベッドの上に下ろしました。 「さくらちゃん、もう女性の話は止めて下さい」

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