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強く 抱きしめて 4

剛さんはこういうちょっとしたことでも、ちゃんと『ありがとう』って言ってくれるから、好き。 ボクがやるのが当たり前じゃなくて、ボクがやりたくてやったことに対してちゃんと言ってくれるから、もっともっと色々やってあげたくなってしまう。 熱い美味しいと言いながら、二人でお鍋を完食する。こうしてボクの作ったご飯を美味しいと言って食べてくれるのが、本当に嬉しい。 ちょっと多めに作ってしまったので、締めの雑炊までたどり着けなかった。 しょうがない・・・雑炊は明日の朝ごはんにしよう。 そんなことを考えながらお鍋に残った出汁を別皿に移して、ラップをかけて冷蔵庫へ入れた。 剛さんは缶ビールを2本空けて、お腹一杯と笑っている。 ボクは下戸だけど剛さんは酒豪だ。 日本酒を一升(いっしょう)飲んでもケロリとしているので、缶ビールなんかジュースみたいなものらしい。 ボクは本当に無理。 だいぶ前に、試しに飲ませてもらったビール3口でぶっ倒れてしまった。 世界が回るあの感覚と、翌朝の酷(ひど)い頭痛と吐き気は、二度と経験したくない。 ヤバイ薬打たれた時も大変だったけど、あれと同じくらい体調も気分も悪くなる。 お酒飲める人の体ってどうなってるんだろうって、本気で不思議。 ボクはお皿や箸をキッチンに下げて、洗い始める。 洗い終えたお皿を水切りカゴに入れていると、不意に、剛さんが後ろから抱きしめてきた。 「つ・・・剛さん?」 滅多(めった)にないことにドギマギしていると、剛さんの低い太い声が耳元で響いた。 「明日・・・非番なんだけど・・・」 「え・・・?」 「・・・ダメ?」 背筋がゾクゾクする。 剛さんの低い声が耳から入ってきて、背中を駆け抜けて、腰にまで達する。 ずくん・・・とお腹にたまって掻(か)き回される感覚。 そういえば、最近してなかった・・・。 以前は毎日犯らないと気が狂いそうだったのに、今は月に2〜3回くらい、こうして剛さんの休みに合わせてするだけで、充分になった。 ボクはお皿や箸を全部洗い終えて、剛さんの腕にそっと触れて・・・小さく頷く。 きっと耳まで真っ赤になってる。 顔も首も全部熱くなってる。 剛さんが太い大きな腕で、ぎゅっと、ボクの全部を抱きしめる。 「シャワー・・・一緒に浴びたい」 それは、バスルームでしたいっていう、誘惑だった。

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