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妄執 3-4

 信じていた片山によって手錠をかけられ、孝司は拘束された。  細い腰に馬乗りになり、ナイフを向ける仁科を見て、孝司はまったく身動きが取れなくなった。  仁科は片山を追い出すのではなく、部屋に留まるように指示を出した。これから何が起きるのか囚われた孝司には考える術もなかった。 「髪……とてもよく似合っている」 「……嫌だ」  仁科の手が迫ってくる。孝司は顔を背けようとしたが、おとがいを掴まれ、仁科の正面に固定される。 「さあ、始めようか。大丈夫、怖がることはないよ」 「……っ」 「私にすべてを委ねればいい」 「止め……っ!」  昨晩仁科に囁かれた言葉を聞かされ、抵抗しようとした孝司の口は、仁科のそれによって塞がれた。口の中に仁科の舌が入ってくる。  蛇のようなねっとりとした動きに孝司はおののき、思わず奥歯を噛みしめた。 「……っう」  低い呻き声を上げ、仁科の口が離れる。孝司は荒く息を吐き、仁科を睨みつける。  だが孝司の反抗的な目は仁科を苛立たせた。仁科は胸倉を掴み上げ、ナイフを逆手に持ち替えると、一気に孝司のシャツを切り裂いた。 「……っあ」  孝司は今の自分の状況が信じられなかった。この男が自分に何をするつもりなのかを、理解してしまったからである。  孝司が呆然としている間に、仁科は破れたシャツをさらにビリビリと引き裂いていき、孝司の上半身をあらわにした。 「震えている……可愛いよ、長瀬くん」  仁科が持つナイフが頬から喉、胸、腹へと伝う。ときおり皮膚に強く押しつけられ、孝司は短い悲鳴を上げた。 「君は乳首で感じたことあるかい?」  仁科はそう言いながら、孝司の胸の突起にナイフをあてがう。 「答えてよ、長瀬くん」  孝司は口を真一文字に結び、屈辱に耐えた。不意に左胸に鋭い痛みが走る。乳首のすぐ下に薄く切り傷がつけられていた。 「痛っ……」 「君はここで感じるの?」  仁科はもう片方の突起に手を伸ばし、軽く揉んで、孝司の反応をうかがった。 「いやっ……わ、わからない……」 「そうか。ならば私が教えてあげよう」  仁科はにやりと笑い、ナイフを持つ手はそのままに、血の滲む乳首に歯を立て、それを愛撫した。 「いやだ、何……これ……っ」 「気持ちがいいだろう? こっちも試してみようか」  仁科は口での愛撫を続けながら、もう片方の乳首に爪を立て、荒々しく育てあげる。 「ひぁっ……あ、やめ……」  孝司は唯一自由な頭を振り、身体の奥底からこみ上げる快感を逃そうとした。 「乳首を弄られるのは初めてかい? 男でもここは感じるんだよ。ほら、その証拠に――」  仁科はナイフの柄を孝司の股間に押し当てた。 「ひっ!」  孝司のそこは布越しでもわかるくらいに勃ち上がっていた。  孝司の健全な反応を見て、仁科は口元を吊り上げ、愛撫の手を止めて孝司を見すえた。 「男同士でセックスするのは初めてだろう? 私がリードするから安心してくれ」  仁科は孝司のズボンの留め具を外し、下着と一緒に取り払う。孝司の顔は羞恥の色に染まった。  勃ち上がった自身から淫靡な汁が滴っていたからだ。

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